アジア・中東・アフリカで活動する国際協力NGOです。
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現地ブログ from スーダン

スーダン日記

スーダン駐在の今井が、日本ではほとんど知られていないスーダンの情報をお伝えします。

井戸の修理と村のもめごと(1)

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2014年8月 5日 更新

JVCスタッフが到着すると、既に工具を手にした村の男たちが待ち構えていました。

巨大なスパナのようなその工具は、地中に延びた井戸のパイプを引き揚げるための道具です。これから、村人による井戸の点検・補修が始まるのです。

「みなさん、おはようございます。JVCスタッフのタイーブといいます。こちらは、水公社(水公社:Water Corporationは、スーダン政府の給水事業体。日本でいう水道局にあたる)から来てくれた技師のアルヌールさんです。きょう一日、皆さんの作業を見ながらアドバイスをしてくれます。分からないことがあったら何でも聞いてください」

タイーブが紹介したアルヌール技師は、普段は新しい井戸の建設に従事しています。今日は忙しい合間を縫って、村人を手助けするために来てくれました。
「よし、さっそく始めようか」
工具を手にした村人が声を掛けると、十人以上が立ち上がって目の前の井戸に取り掛かりました。

私たちはこの半年間、避難民や地域住民が作る菜園に灌漑用水を供給し、同時に生活用水としても利用するため、5つの集落で計10本の手押しポンプ付き井戸を補修してきました。今回の「現地便り」では、そのうちのひとつ、ムルタ・ナザヒン地区のトマ集落で6月に行った補修の様子をご紹介します。

トマは、カドグリ市街から北に20キロ、カドグリ空港の滑走路の奥にある集落です。空港といっても、民間定期便はありません。軍用機と国連機だけが離着陸する空港です。

カドグリからの電話

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2014年7月29日 更新
「封鎖地区」の村の様子(紛争勃発前、2011年にカドグリ南方のブラム郡にて撮影)「封鎖地区」の村の様子(紛争勃発前、2011年にカドグリ南方のブラム郡にて撮影)

それは、6月初旬のことでした。

「おい、この音が聞こえるかい?」
電話口からは、会話がかき消されそうなくらいの轟音が響いてきます。
「何だって?何の音だい?」
私の声も、自然と大きくなります。
「軍のヘリコプターだよ。いま、町の上を低空飛行していった」

電話の相手は、カドグリ市内に住むアリ君。年齢は30歳前後でしょうか、単身赴任で中学校の英語教師をしています。首都ハルツームにいる私とは、ときどき携帯電話を掛けあう仲。よく「英語でしゃべる機会が少ないから、いい練習になるんだよ」と言って笑っています。私が訪問することのできないカドグリの様子も、折に触れて教えてくれます。

村長が消えた

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2014年7月22日 更新

「ウムダは、いらっしゃいますか?」
JVCスタッフのアドランがそう尋ねると、
家の前で談笑をしていた年配の女性が振り向いて、
「おや、援助団体の人だね。あいにくだけど、昨日の夜から戻ってないよ」
と教えてくれました。

ムルタ・ナザヒン地区の子どもたちムルタ・ナザヒン地区の
子どもたち

スーダンの村落部で、住民リーダーは「ウムダ」「シエハ」と呼ばれています。集落の長がシエハで、幾人かのシエハを束ねるリーダーがウムダです。日本で言えば、村長にあたる存在です。
ここムルタ・ナザヒン地区では、野菜種子の支援を予定しています。その打ち合わせをするためにウムダを訪ねたのですが、不在ならば仕方ありません。今は種まきのシーズン。昨晩から戻っていないということは、遠くの畑に泊まり込みで出かけているのでしょうか。
「いつ頃に戻ってくるか、分かりますか」
「そうだね。じきに戻るだろうよ」
「じきに」といっても、いったい何時間かかるのか、見当もつきません。
「分かりました。それでは、また出直してきます」

【番外編】アフリカの紛争地から、
集団的自衛権「駆けつけ警護」を考える

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2014年7月11日 更新

7月1日、日本では、集団的自衛権の名のもとに海外での武力行使を容認する閣議決定がなされました。
集団的自衛権を行使する理由のひとつに、首相は「駆けつけ警護」というものを挙げています。私のような、海外の紛争地に派遣されているNGO職員が「武装勢力」に攻撃された時に、自衛隊が「駆けつけて救出する」というものです。
これについて思うところを、実は、閣議決定の前に新聞記事向けに書いたのですが、ちょっと長すぎたらしく(笑)新聞には掲載されませんでした。原稿をこのまま眠らせておく代わりに、「現地便り」読者のみなさんにお届けしたいと思います。

現地駐在員、今井スーダン現地駐在員、今井

ウォーターヤードの白熱議論

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2014年7月11日 更新

JVC事務所の机の上に大きな紙を広げて、スタッフのアドランが何か書き込んでいます。
「なんだよ、それ?」
同僚のタイーブが不思議そうにのぞき込みました。
「なんだ、忘れたのか?このまえ、アフマドさんの青いノートを見ながら、家畜の給水料金を誰が払っていて、誰が払っていないのか、整理したじゃないか。それを紙に書いているんだよ」
「おお、そうか。そうだったな。今日の井戸管理委員会の話し合いで使うんだな」
「そうだよ」
「ふーん、そうして一覧表にすると、分かりやすいな...おい、そろそろ時間だぞ」

アドランとタイーブは、赤いクルマに乗ってティロ避難民向け住居へと向かいました。
乾季も終わりに近い4月半ば、避難民向け住居のまわりは茶色く乾燥した大地が広がっています。その中になぜか1本、緑の葉をつけて真っ直ぐに伸びた木があります。その下が、いつもの話し合いの場所です。

輪になって座ったメンバーは23人。井戸管理委員会だけでなく、ウォーターヤードに隣接した菜園で野菜作りをしているメンバーも、ずらりと並んでいます。今日は、合同の話し合いなのです。

2月の話し合いで、菜園メンバーは「ウォーターヤードの水を利用する代わりに、ポンプの燃料代として分担金を払う」ことになり、菜園に水を引くホースが取り付けられました。しかしその後、菜園メンバーから「ウォーターヤードの管理人がホースに水を流してくれない」との不満が噴出。一方で管理人は「菜園メンバーが分担金を払わない」と逆に文句を言い始め、互いの「いがみあい」が続いていました。

今日は、それを解決するための話し合いです。

青色のノート

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2014年6月24日 更新

(前回から続く)

「収支がハッキリしたのはよかったし、銀行に預金もできた。でもさ、それでいいのかい。牧畜民にはずいぶん『タダ飲み』されてるんじゃないか?」
天井から吊るされた扇風機が回るJVCカドグリ事務所で、スタッフのタイーブがブツブツ言っています。
先日、ティロ避難民住居で行われたウォーターヤードの運営についての話し合いで、家畜からの給水利用料などの収支が報告され、手元に残ったおカネは井戸管理委員会の銀行口座に入金されました。
しかし...

ロバに乗り、ウシの給水にやってきた持ち主。牛追い用の長いステッキを手にしているロバに乗り、ウシの給水にやってきた持ち主。
牛追い用の長いステッキを手にしている

はじめての銀行預金

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2014年6月24日 更新

JVCが設置したティロ避難民住居のウォーターヤード。前回までは、菜園への灌漑用水をめぐる「いざこざ」について書いてきました。菜園メンバーからすれば、井戸管理委員会は家畜給水の収入があるくせに、菜園には水を流さない「悪者」のようにも見えます。はたしてどうなのでしょうか。
そこで、今回は井戸管理委員会の側にスポットを当てて、家畜給水にまつわる話をご紹介します。

乾季が始まって間もない12月頃、300キロも北の乾燥した地域で雨季を過ごしたウシたちが、カドグリの周辺に戻ってきます。その数は1万頭とも2万頭とも言われます。郊外の草原に牧営地を設け、牛飼いの男性たちはドーム型のテントを張ってウシと生活を共にします。
牧営地のまわりには、長年にわたり使われている水場があります。それはハフィールと呼ばれる大型の溜池であったり、牧畜民が自分たちの手で掘り込んだ井戸だったりします。もちろん利用料金などありません。しかし、乾季が半ばに差し掛かる2月頃、それらの水場は枯渇していきます。そうなると、牧畜民は料金を支払ってでも各地区にあるウォーターヤードの水を利用することになります。カドグリ周辺のウォーターヤードは地下30~50メートルの帯水層から取水しており、乾季でも水が豊富です。

カドグリ郊外のハフィール(今年1月撮影。もう水量がわずかになっている)カドグリ郊外のハフィール(今年1月撮影。もう水量がわずかになっている)
牧畜民は涸れた川底のあちこちに穴(井戸)を掘り、ウシに飲ませるため汲み上げた水を溜めておく牧畜民は涸れた川底のあちこちに穴(井戸)を掘り、ウシに飲ませるため汲み上げた水を溜めておく

ウォーターヤードの「暑い」日々(2)

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2014年6月10日 更新

3月下旬、暑さと乾燥のピークを迎えて、ティロ避難民住居のウォーターヤードはフル稼働していました。水を求める人々、そして家畜。さらに、菜園への水の供給を巡り、菜園メンバーと井戸管理委員会とのやり取りが続いています。

そうした中、私たちは井戸管理委員会と協力してウォーターヤードの利用調査を行いました。調査といっても、朝から夕方まで、給水所にやってくる人数とポリタンク、そして家畜を数える単純作業です。
1日だけの調査ですが、結果として、利用者はのべ298家族(母親と子供などが連れだって来たら「1家族」とカウント)、水を汲んだポリタンクの数は840個。利用者数については、同一の家族が午前と午後の2回にわたって来ることが多いので、実際には、約半数の150家族が利用していると見るのが妥当かも知れません。この避難民住居には全部で230家族が入居しているのですが、残りの80家族は、ウォーターヤードとは反対の南側にある手押しポンプ井戸で水汲みをしているのでしょう。

利用調査を行うタイーブ利用調査を行うタイーブ

ウォーターヤードの「暑い」日々(1)

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2014年6月10日 更新
給水所はポリタンクを抱えた人が絶えない給水所はポリタンクを抱えた人が絶えない

灼けつく大地の向こうに、ティロ避難民住居のウォーターヤードが見えてきました。給水塔の脇にクルマを停めて外に出ると、暑さに息が詰まりそうです。雨が完全に止まって既に4か月、3月の南コルドファン州は1年間で最も暑く乾燥した季節を迎えています。気温は40度をゆうに超え、45度くらいでしょうか。しかし、ここでは温度を気にする人など誰もいません。
ウォーターヤードの給水所は、ポリタンクを抱えた女性や子どもたちで一杯でした。水の消費量もぐんぐん上がっているようです。地下水を汲み上げるための発電機の音が鳴り響いています。
JVCスタッフのタイーブはそんな光景を眺めながら、フェンスを隔てた菜園に足を向けました。

前回の「現地便り」でご紹介したように、2月に行った話し合いでは、共同菜園にウォーターヤードの水を引くため、菜園の参加メンバーは発電機の燃料代として分担金を払うことになりました。しかし、「ウォーターヤードは家畜に飲料水を提供して利用料収入があるはずなのに、どうして私たちからおカネを集めようとするのか」といった意見も多く、分担金の支払いは滞っていました。
タイーブは菜園の中に、ジャラビーヤ(スーダン男性が身に付ける白いガウン状の衣服)姿のクワさんを見つけました。クワさんは、前回の話し合いにも参加しています。その後、どうなったのかを尋ねてみました。

ウシと菜園 ~その後のウォーターヤード

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2014年5月27日 更新

カドグリの郊外、東に5キロほどにティロ避難民向け住居(以下、避難民住居)があります。
紛争によって村を追われた230家族が、再定住の地として昨年7月に入居。水を汲み、畑を耕し、木材や藁を集めて家を増築し、生活を築いてきました。私たちは、昨年11月にウォーターヤード(電動ポンプ汲み上げ式井戸による給水施設)を支援、その様子はこの「現地便り」でもご紹介しました。そして1月からは、食生活改善と収入向上のために、共同菜園での野菜作りも支援しています。

今回から何回かにわたっては、ウォーターヤードのその後と、共同菜園についてお伝えします。
話は、いったん2月下旬までさかのぼります。

ウォーターヤードの仕組み。白い小屋の中に設置された発電機で起こした電気で、右端に見える井戸からポンプで青い給水タンクに揚水する。そこからの配管で、左側の蛇口や(写真には見えないが)家畜給水桶などに水が供給される。ウォーターヤードの仕組み。
白い小屋の中に設置された発電機で起こした電気を使い、右端に見える井戸からポンプで青い給水タンクに揚水する。そこからの配管で、左側の蛇口や(写真には見えないが)家畜給水桶などに水が供給される。

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