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現地ブログ from スーダン

スーダン日記

スーダン駐在の今井が、日本ではほとんど知られていないスーダンの情報をお伝えします。

ハリマさんの集金簿

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2015年2月26日 更新

「だって字が書けないんだから、集金簿なんて付けられないよ、ねえ」
二人は顔を見合わせてそう言いました。

水汲みの人々でにぎわうウォーターヤード水汲みの人々でにぎわうウォーターヤード

JVCが運営を支援しているティロ避難民向け住居のウォーターヤード(揚水機・給水塔付きの井戸)。
ハリマさんとアワディヤさんの二人は住民から選ばれた井戸管理委員としてウォーターヤードの見張り番を任されていますが、それに加えて、こんどは住民からの集金も担当することになりました。

「家計を預かっているのは女なんだから、女性の委員が集金に回った方がカネも集まりやすいだろう」と言ったのは、男性である委員長のブシャラさん。それはその通りかもしれませんが、どうも、面倒くさい役割が女性に押し付けられた感じがします。

閉まったままのウォーターヤード(2)

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2015年1月15日 更新

数日して、アフマドさんから電話がありました。
「アドラン、きのう井戸管理委員会の話し合いをして、新しいメンバーを決めたよ」 「そうですか。どうなりました?」
「男ひとりと女がふたり。男のほうはオマルってやつに入ってもらって、自分と二人で操作係をやる。女は、ハリマさんとアワディヤさんが引き受けてくれた」
「門番の件は?」
「うん。ハリマさんにはもうカギを渡したよ。アワディヤさんと交代で門番をやってもらうことにした」
「それはよかった。うまくいくといいですね」

アドランは、少しほっとしました。ハリマさんもアワディヤさんも顔見知りですが、活発な人たちです。これで、多少はうまくいくのではいかと思いました。
1週間ほどして、様子を見に行ってみました。ウォーターヤードではハリマさんかアワディヤさんが門番をして、女性たちが水汲みをしているだろうと想像しましたが...あれ? ウォーターヤードは閉まっています。

あわててハリマさんの家を訪ねてみました。
「ハリマさん、ウォーターヤードが閉まっているのですが?」
単刀直入に聞いてみました。
「だって、カギがないから開けられないよ」
「えっ?だって、アフマドさんは、ハリマさんにカギを渡したって...」
「そうだよ。でもね、それから2、3日したらブシャラが私のところにやってきてね」
ブシャラさんは、井戸管理委員会のリーダーです。
「『女には当番はできない』って言って、カギを持っていってしまったんだよ」

閉まったままのウォーターヤード(1)

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2015年1月15日 更新
ウォーターヤードの仕組み。白い小屋の中に設置された発電機で起こした電気で、右端に見える井戸からポンプで青い給水タンクに揚水。そこから配管を通じて左側の共同水栓に水が供給される。ウォーターヤードの仕組み。白い小屋の中に設置された発電機で起こした電気で、右端に見える井戸からポンプで青い給水タンクに揚水。そこから配管を通じて左側の共同水栓に水が供給される。

ずいぶんと長い間、ティロ地区のウォーターヤードの話から遠ざかってしまいました。皆さん、覚えていらっしゃいますでしょうか。避難民家族向けに建設された住居230戸への給水を行うため、2013年11月にJVCが建設した施設です。

写真を見てお分かりのように、発電機で起こした電気で井戸から貯水タンクに水を汲み上げ、配管を通じて蛇口から水が出てくる仕組みになっています。

完成後は住民に引き渡され、住民から選ばれた井戸管理委員会が運営を担っています。JVCは委員会の相談に乗ったり、委員会メンバーへの研修を実施したりという形での支援を続けています。

引き渡しから1年が経過し、住民運営も軌道に乗ってきました...と言いたいのですが、そう簡単にはいきません。軌道はジグザグを描きながら、時に停滞したり動いたりを繰り返しているのが正直なところです。

今回からは、そんなウォーターヤードのここ数か月間の様子をお伝えします。

交渉決裂、再び故郷は遠く

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2014年12月15日 更新

カドグリの町は、三方を丘に囲まれています。北側、南側、そして西側。イザディーンさんの家は、その西側の丘の麓にありました。

「おお、よく来たな。まあ、ゆっくりお茶でも飲んでいってくれよ」
アドランとタイーブが庭先の椅子に腰掛けると、シャイ(紅茶)と山盛りの砂糖が運ばれてきました。砂糖をたっぷり入れるのが、スーダン流です。
イザディーンさんは、水道関係の工事をしている業者さん。JVCが設置したウォーターヤードの建設にも参加しています。今日は、仕事帰りのJVCスタッフ二人を家に招いてくれました。

「ステキな場所に家がありますね」
タイーブは、上の方を見上げて言いました。庭には大きな木が枝を広げ、その後ろはすぐに丘の斜面がせりあがっています。
「そうだろ。オレは山のそばが好きなんだ。村にいた時は、山の中に住んでいたくらいだ」
「どこの村の出身ですか」
「ブラムの近くの、小さな村だよ。そうだ、写真見るか?」
ブラムと言えば、今は反政府軍の実効支配地域の中です。そこに近づくことすら、できません。

村の家々、イザディーンさんの出身村ではないが、同じブラム郡のJVC元活動地(2011年撮影)村の家々、イザディーンさんの出身村ではないが、同じブラム郡のJVC元活動地(2011年撮影)

イザディーンさんはパソコンを開いて、保存されている写真を何枚か見せてくれました。
「みんな、紛争が起きる前に撮った写真だ」
穏やかな村の様子。とんがり帽子のような草ぶき屋根が、丘陵の尾根まで連なっています。斜面には石垣で固めた段々畑が続き、長い柄のついたショベルを持った村人が畑仕事をしていました。

「今の紛争が終わったらな、あんたらの団体、なんて言ったっけ?日本なんとか...」
「JVCです」
「そう、そのJVCも、うちの村に来て活動をしたらどうだ」
「紛争は、終わると思いますか」
 思わず、アドランが尋ねました。州政府関係者に知り合いの多いイザディーンさんなら、何か分かるかも知れません。
「終わるさ。終わらない訳ないだろ」

*  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *

ディナールさんと避難民姉妹

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2014年12月15日 更新
婚礼準備の装飾品婚礼準備の装飾品

JVCスタッフが訪れた時、ディナールさんとその姉妹は婚礼に向けた準備で忙しそうでした。化粧品や装飾品など、結婚前には普段と違う特別なものを揃えなくてはなりません。すでに、様々な小物が台座の上に並べられていました。

「おめでとう」
婚礼前だと知ったスタッフのサラが声を掛けると、
「ありがとう。でも、これ、初めてじゃないのよ」
と言って笑うディナールさん。どう見てもまだ十代の若さなのに、2回目の結婚でしょうか。
「最初の人が、死んじゃってね」

JVC一座の巡業(2)

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2014年11月10日 更新

トマ集落での劇が、いよいよ始まりました。
現場の雰囲気はなかなか伝えられませんが、そのストーリーをご紹介します。

劇を演じた役者さんたち(「巡業」2日目に撮影)劇を演じた役者さんたち(「巡業」2日目に撮影)

スーダン、南コルドファン州のある村でのお話...

「ママ、新しい井戸ができたのよ!」
娘のアイシャちゃんに言われて母親のハワさんが見に行ってみると、数日前に掘削をしていた井戸の工事が終わり、村の女たちが集まって水汲みをしています。

「こんどの井戸は近くていいわね。アイシャ、さっそく水汲みよ」
ポリタンクを持って井戸端で順番を待っていると、近所に住んでいるアダムさんが帳面を持ってやってきました。

「こんど、村の井戸管理委員に選ばれてね。みんなから、井戸を運営するためのおカネを集めることになったんだ」
「なんのおカネを集めるですって?」
「井戸の点検をしたり修理の部品を買ったりするためのおカネだよ。1家族あたり月に2ポンド(註)でいいんだ」
「何言ってるのよ。そんなおカネ払いたくないわ。井戸はできたばっかりなのよ。修理なんて必要ないじゃない」

JVC一座の巡業(1)

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2014年11月10日 更新
トマ集落でJVCが補修を支援した井戸トマ集落でJVCが補修を支援した井戸

ワゴン車に音響機材を積み込んで、JVCスタッフは幹線道路を北に向かいました。

行き先は、カドグリの町から20キロほど離れたトマ集落。今日はそこで、あるイベントを行うのです。そのために、クルマの中には役者さんや音響業者の人たちも乗り込んで、わいわいと賑やかです。

イベントとは、劇の上演を通じて、村の人たちに井戸の保守管理の大切さを理解してもらおうというもの。私たちにとっては初めての試みです。

JVCは今年、国内避難民が新しく住み始めた地区を中心に、生活に必要な水を供給するための井戸を掘削、設置してきました。また、故障したまま長らく放置されていた井戸の改修も行いました。いずれも手押しポンプ型の井戸で、新しく設置したものが7本、改修は10本にのぼります。

しかし、大切なことは井戸の設置よりも、それが何年間にもわたって稼働し、使い続けられることです。残念ながら、南コルドファン州には設置して2、3年も経たずに故障し、修理されずに放置されてしまう井戸が数多くあります。この「現地便り」の記事でも、そうした事例をご紹介してきました。

いつのまにか井戸が...(2)

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2014年10月27日 更新

週末をはさんで翌週の始め、アドランはマフムードさんに電話して、先週の井戸の視察について報告しました。

「そうだろう、2本しか動いていないんだ。分かってくれたか」
「でもマフムードさん、今まで村人が自分たちで修理してこなかったのは、どうしてなのでしょう?」
アドランは、修理が必要なのは分かったけれども、村人がどうやって井戸を維持運営していくのか、話し合ってほしいとお願いしました。
「そうか、話し合いをしなくちゃいかんな。でも、すまないが、今週もタフリには戻れそうにないんだ」

マフムードさんは、相変わらず忙しそうです。公務員だという話を聞いていましたが、「副業」として個人で商売をしていて、それに忙しいのかも知れません。カドグリでは、そうしたことは珍しくはないのです。

「だから話し合いをするのはちょっと無理そうだが・・井戸のことだったらシャディアという女性に会って話をしてみてくれよ」
マフムードさんには、「話し合い」の意味がうまく伝わらなかったようです。アドランは村人同士の話し合いをして欲しかったのですが、マフムードさんは「JVCがマフムードさんと話したがっている」と受け取ったようです。だから、自分の代理としてシャディアさんを紹介したのでしょう。

「シャディアさんというのは、誰ですか」
「タフリの住民だけれど、以前に井戸の研修を受けたことがあって、井戸のことをよく知っているんだ」

いつのまにか井戸が...(1)

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2014年10月27日 更新

毎日のように活動地をまわっているJVCスタッフのアドランですが、今日は事務所で少しゆっくりしています。パソコンでメールのチェックをしていると携帯電話が鳴り始めました。
「あれ、マフムードさんだ。珍しいな。何かあったのかな?」
表示された名前を見てそう思いながら、端末を取り上げました。
「おお、アドランか。どうだ?元気にしているか?」
久々に聞く声です。

マフムードさんは、カドグリの町の西のはずれ、タフリ村の地区会長です。
丘陵地帯の入口にあたるこの村では、昔ながらの農業で暮らす人々もいれば、カドグリの町に出て仕事をする人も徐々に増えていました。

しかし3年前に紛争が起きた時には、丘陵地に陣取る反政府軍と市内の政府軍との間で激しい戦闘が繰り広げられ、村のほぼ全住民が避難。やがて人々は元の家に戻り、今ではすっかり落ち着いていますが、そのまま村を離れた人も少なくはなかったようです。

私たちは昨年、この村で農業を再開する人たちに種子と農具の支援を行いました。地区会長のマフムードさんとは、その時からの知り合いです。しかし最近では会うこともなかったため、突然の電話にアドランも少し驚いたのです。

井戸の修理と村のもめごと(2)

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2014年8月 5日 更新

前回の続き

「もめごと」が起きた井戸(5月の調査時に撮影)。ポンプは取り外されている。周囲にはクレーター状に窪んだ家畜の水飲み場が見える。「もめごと」が起きた井戸(5月の調査時に撮影)。ポンプは取り外されている。周囲にはクレーター状に窪んだ家畜の水飲み場が見える。

3本目の井戸をめぐる、村のもめごと。いったい、何が起きたのでしょうか?
JVCスタッフのタイーブが後から聞いたところ、次のようなものでした。話は1年半前にさかのぼります。

その井戸の周辺は、トマ集落の中でも牧畜民の人たちが多く住んでいる場所です。何十頭、或いはそれ以上の家畜を所有しています。井戸管理委員会のメンバーであるハミスさんも、そんな一人でした。

井戸の周りには、クレーターのような形の家畜の水飲み場がたくさん作られ、牧畜民の人たちは井戸で汲み出した水をバケツでそこに注ぎ込んで、家畜に飲ませていました。ハミスさんは、いっそのこと井戸の手押しポンプを取り外し、電動ポンプをつけてホースで直接に水を引くことを考えたようです。そうすれば井戸は家畜専用になってしまいますが、実際にそのような井戸は牧畜民が多い地域に行けば珍しくないのです。そして、電動汲み上げの井戸にした場合、そこで給水する牧畜民は利用料金を支払うことが通例です。

ハミスさんは、井戸管理委員会やシエハ(住民リーダー)に説明し、カドグリの町まで出向いて水公社(日本でいう水道局)の承認まで取り付けた上で、自分で電動ポンプを購入して取り付けました。ポンプを動かすディーゼル燃料も自己負担です。ハミスさんは自分の家畜に水を飲ませ、そして、牧畜民から利用料金を集めるようになりました。

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