アジア・中東・アフリカで活動する国際協力NGOです。
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現地ブログ from スーダン

スーダン日記

スーダン駐在の橋本が、日本ではほとんど知られていないスーダンの情報をお伝えします。
前回から続く)
整備工場の会計担当、ドゥドゥさん整備工場の会計担当、ドゥドゥさん

整備工場の敷地に入ると、右手に見える整備スペースではエンジンの分解修理が行われています。
私の訪問に驚いている整備士たちと再会の挨拶を交わし、事務所の扉を開けると会計担当のドゥドゥさんが帳簿を付けていました。
「あらまあ、久しぶりだねえ・・きょう来るなんて、全然知らなかったよ」
事前に連絡はしていたものの、確かに日付までは知らせていませんでした。それにしても、そんなに目を丸くして驚かなくても・・と苦笑しながら、
「ドゥドゥさん、元気でしたか?それに、工場のみんなも」
「みんな元気だよ。いま、工場長のサイモンはちょっと留守だけどね、すぐに戻るからね」
「じゃあ、ここで待たせてもらっていいですか?」

工場長を待つ間、2013年12月の市街戦についてドゥドゥさんに尋ねてみました。
「怖かったけどね・・整備工場は無事だったよ。このあたりは、戦闘が起きた場所からちょっと離れていたんだよ」
「ドゥドゥさんの家は?」
「ウチのあたりも大丈夫だったさ。家族も全員無事だよ」
ドゥドゥさんの家は、ジュバの西のはずれにそびえ立つ山の麓にあります。
「じゃあ、どこで戦闘が起きたのですか」
「軍の施設がある、あっちのほうさ」
ドゥドゥさんが指さしたのは、ニョクロンと呼ばれる地域。市の南西部にあたります。
「それと、ムヌキだよ。たくさん人が死んだって・・」

ムヌキは、市街地の北西に広がる住宅地です。南スーダンを構成する多様な民族グループの人々が住んでいますが、その中に、反大統領派リーダーの出身民族である「ヌエル」と呼ばれる人々が多く住む区域があります。大統領の出身民族である「ディンカ」の武装したグループが「ヌエル」を襲撃、または両者が戦闘をしたとの報告が多く寄せられています。殺戮、略奪、焼き打ちが行われ、恐怖を生き延びた人々は国連施設に逃げ込みました。襲撃や戦闘を行ったのが正規軍なのか、民兵、または武装した住民なのか、そしていったい何人が犠牲になったのか、その全体像は今も明らかにはなっていません。

南スーダンの首都、ジュバを訪問して(1)
-繰り返される内戦-

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2015年10月 7日 更新

スーダンにいる私のもとに、日本の新聞社から立て続けに電話が入りました。

「安全保障法案が可決されて、政府はさっそく、南スーダンに派遣している自衛隊に『駆けつけ警護』の任務を与えようとしていますが、それについてお話を聞かせていただけませんか?」
「ちょ、ちょっと待ってください。私がいるのはスーダンで、南スーダンではないのですが」
「はい、それは分かっていますが、でも、何かコメントを・・」

確かに、私は2007年から3年間、JVCの駐在員として独立前の南スーダン(当時はスーダンの一部)で生活をしていました。その後も「隣国」になったスーダンにいるわけですから、南スーダンの情報は色々と入ってきます。
今年6月には、久々に南スーダンの首都ジュバを訪問しました。今回の「現地便り」(4回連続)は、ジュバ訪問記を中心に自衛隊や「駆け付け警護」についても少し触れてみたいと思います。

スーク(市場)の種屋さん

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2015年7月23日 更新

青ナイル川にかかる橋を渡って、乗り合いバスはバハリと呼ばれる地区に入っていきます。

青ナイルと白ナイルの合流点に位置する首都ハルツームの都市圏は、川によって三つの地区に分けられています。ナイル左岸のオンドルマン、右岸のバハリ、そして青ナイルと白ナイルに挟まれた真ん中がハルツームです。
政府庁舎が集中し高級住宅地も広がるハルツームにくらべて、オンドルマンやバハリは庶民の町。ハルツームに比べて物価は安く、スーク(市場)は多くの人で賑わっています。私たちを乗せたバスはモスクの前を通り抜け、スークの雑踏の中で止まりました。
JVCハルツーム事務所のスタッフ、モナと私の行き先は、スークの外れにある種屋さんです。バスを降りてしばらく歩き、オート三輪の音がうるさい裏道に入ると、両側では揚げ魚を山積みにして売っています。ナイルの流れが近いからなのでしょう。威勢のいい売り子の声を受け流して進んでいくと、食品市場、鶏肉市場、そして住宅建材の店が続き、その先に、種屋が軒を連ねています。

菜園づくりで、子どもを大学に!?

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2015年7月23日 更新

5万人もの避難民が生活を送る南コルドファン州の州都カドグリの周辺で、JVCは避難民や地元住民とともに菜園づくりの活動を続けてきました。
子どもたちがルッコラやモロヘイヤ、オクラなどの野菜を食べて栄養を付け、家族で食べきれない分は市場で売って家計を助けようという取り組みです。

とはいっても、菜園づくりの活動がどの地区でも順調に進んでいるわけではありません。この「現地便り」でお馴染みのティロ避難民住宅の人々は、どちらかと言えば菜園づくりには関心が薄いようです。JVCが呼び掛けてもあまり反応がありません。
「毎日水をやらなくちゃいけないんでしょ。大変じゃないの?」
「野菜なんか作らなくたって、薪を集めて市場で売ればおカネになるわよ」
そんな声をよく聞きます。避難民住宅の大半の人々はブラム郡(カドグリ南方に広がる丘陵地帯)から戦火を逃れてきた人たちですが、ブラム郡ではもともと野菜づくりは盛んではありませんでした。

識字教室が始まった(2)

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2015年5月14日 更新

前回から続く)

右がアラビア語、左が算数の教科書右がアラビア語、左が算数の教科書

識字教室の準備が着々と進んでいました。
この分野で経験豊富な現地NGOの協力で、2名の女性教員を紹介してもらうことができました。二人ともプロの学校教師ではありませんが、以前に研修を受け、これまでに何度も識字教室での指導の経験があります。

「いつも、教材はどんなものを使っているのですか?」
教員のひとり、マルカさんにJVCスタッフのアドランが尋ねました。
「教育省が作った初級のアラビア語と算数の教科書を使っています」
マルカさんはそう言って、実物を見せてくれました。アラビア語も算数も、文字や数字の読み方や書き方が、本当に初歩から学べるようになっています。
「いいものがありますね。でも、これをどこで手に入れたらいいのでしょう?」
そう尋ねるアドランに、もうひとりの教員、ラシャさんが笑いながら
「同じものは、もう手に入らないわよ。その教科書、いつのものだと思う?」
「えっ?」
アドランが手にした教科書を引っくり返して見ると、そこには「1999年」と書かれています。きれいに保管されているので新しそうに見えましたが、なんと16年前に発行されたものでした。
「もう、ずっと前から識字教室ではその教科書を使っているんだけど、まだ倉庫に山のように残っているのよ。ノートや鉛筆だってあるわ。今回も、それを使いましょう」
結局、新しく購入する必要があるのはチョーク1箱だけでした。

識字教室が始まった(1)

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2015年5月14日 更新

「えっ、なんですって?識字教室?」

JVCハルツーム事務所で電話を受けたスタッフのモナが、驚いた声を上げました。
「ちょっと、それ、本当に避難民住宅の人たちが自分たちで始めたの?誰から聞いた話?」
「しばらく前に、井戸管理委員のナフィサさんから・・」
電話口の向こうで答えているのは、JVCカドグリ事務所のアドランです。カドグリでの活動の様子を報告するため、700キロ離れた首都ハルツームの事務所に毎日電話を掛けてくるのです。

「まあ、アドラン、しばらく前から知っていたのね。でも、今まで報告してくれなかったじゃない」
「えっ、その、そんなに大事なことなんでしょうか?」
アドランは、ちょっとあわてました。JVCが支援をしてきたティロ避難民住宅の井戸管理委員会について近況報告をしようと思ったのに、識字教室のことで突っ込まれるとは・・
「あたりまえよ。みんなが識字教室に関心を持つなんて、すごいじゃない。読み書きができるようになれば、井戸管理委員会の活動だって、もっとやりやすくなると思わない?」

帰らない命

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2015年4月28日 更新

「みんな、カドグリから逃げ始めている。バスは毎日予約で一杯だ。バスに乗れない人がトラックの荷台にあふれている。カドグリはもうすぐ空っぽだ」

電話口のマルガニさんの声は、切迫しているというよりは、何か怒りを抑えているように聞こえました。カドグリ市内で商店を営む彼は、ずっと以前、私がカドグリに駐在していた頃からの知り合いです。首都ハルツームの私にかけてきた久々の電話で、何かを訴えたかったのかも知れません。

「いったい何のための選挙なんだ」
「マルガニさん...」
「選挙なんて、争いのもとになるだけだ。4年前のこと、覚えているだろう」

4年前、州知事選挙を引き金に始まったカドグリの市街戦。私は無事に首都ハルツームに退避しましたが、彼は店を略奪され、財産を失いました。マルガニさんだけではありません。戦闘は州内に広がり、村々は空爆を受け、家は焼かれ多くの家族が引き離されました。それは南コルドファン州の人々の記憶に深く刻まれたまま、今また「選挙」が近づいてきたのです。

操作係は女には無理?(3)

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2015年4月22日 更新

前回から続く)

研修初日、操作パネルの使い方を学ぶ。カラフルな服装の二人ですが、後ろ姿の写真しかなくてすみません研修初日、操作パネルの使い方を学ぶ。カラフルな服装の二人ですが、後ろ姿の写真しかなくてすみません

10日間の研修が始まりました。

初日の今日は、ハリマさんもアワディヤさんもカラフルなよそ行きのトブ(スーダンで一般的な一枚布の女性の着衣)を着て水公社の事務所にやってきました。まだ学生のように見える若いムサさんも一緒です。JVCスタッフのアドランも付き添いに来ています。

「では、研修を受ける皆さんはこちらに集まってください」
担当の職員が、3人を部屋の中に案内しました。
「ええっ、あなた方、研修を受けるのですか」
女性二人を見て、職員は少し驚いたようです。

「なんてこったい!」
とは言いませんが、顔にはそう書いてあります。研修参加者については事前に水公社に伝えてあるのですが、担当者にはそこまでの情報が届いていなかったようです。

操作係は女には無理?(2)

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2015年4月22日 更新

前回から続く)

閑散としたウォーターヤード閑散としたウォーターヤード

カドグリでは雨季が終わりを告げ、どこまでも青い空の下で例年になく涼しい乾季を迎えていました。家庭での水の需要もさほどではないらしく、ウォーターヤードの給水所は少し閑散としています。

給水塔の下で椅子に座っているのは、井戸管理委員会リーダーのブシャラさんと操作係のアフマドさん。JVCスタッフのアドランがその横に腰掛けました。

「で、アドラン、話っていうのは何だ?」
「はい、ブシャラさん。実は、井戸管理委員会のメンバーにウォーターヤード操作の技術研修を受けてもらってはどうかと思っています」
「研修か。そりゃいいな」
「はい。今はアフマドさんがほとんど1人で操作を行っていますが、このまえのようにアフマドさんが用事で外出してしまうと、代わりの人がいなくてウォーターヤードが止まってしまいます。このあと暑い時期が来て、ウォーターヤードが止まってしまったらみんな困ります」
「わかった。で、誰を派遣する?」

操作係は女には無理?(1)

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2015年4月 9日 更新

(前回「ハリマさんの集金簿」から続く)

ウォーターヤード(揚水機・給水塔付きの井戸)。白い小屋の中に発電機があるウォーターヤード(揚水機・給水塔付きの井戸)。白い小屋の中に発電機がある

ハリマさんとアワディヤさんが集金をしたおかげで、ティロ避難民向け住居の井戸管理委員会に少しの資金が入りました。発電機を操作するアフマドさんが、さっそく燃料の軽油を買ってきました。

「これで、しばらくは大丈夫だろうよ」
白いトタン板の小屋に設置された発電機に給油をすると、アフマドさんは脇についているハンドルを回し始めました。ハンドルは重いため、はじめはゆっくりと、そして徐々に勢いがついて回転が速くなると、ド、ド、ドドドと大きな音を立てて発電機が始動しました。

「それ、アハマドさんが毎日動かしているんですか?」
脇で見ていたJVCスタッフのアドランが尋ねました。今日は、久し振りにウォーターヤードの様子を見に来ているのです。
「今はまだ涼しいから、毎日ってわけじゃないね。でも、これから乾季になって暑くなったら毎日動かさなくちゃいけなくなるな」

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