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HIV/エイズ 活動詳細
2007年7月17日 更新
[現地スタッフ]

南アフリカ事業担当:渡辺直子

プロジェクト地の概要

■リンポポの夕焼け

リンポポ州は3つの旧ホームランド(黒人居住地域)と旧白人居住地域が統合された州で、南アフリカ共和国の最北端に位置し、モザンビーク、ジンバブエ、ボツワナとの国境に面しています。全人口のうち97.3%が黒人で、その割合は南ア9州の中で最も高くなっています。15歳から65歳の経済的に活発な労働人口を見た場合、失業率は約50%にものぼり、これがさまざまな社会問題の要因のひとつとなっています。また、リンポポ州は豊かな自然を有し、農業などの潜在能力が高いと考えられているものの、それを有効に活用できておらず、水道や電気などの社会インフラの整備状況も他州と比較し低位で、貧困州に数えられています。

プロジェクトの内容


 

HIV陽性者への適切なケアの提供
 (地域のボランティアによる在宅介護活動の強化)

陽性者が地域の中で適切なケアを受けられるよう支援しています。
 (カプリコーン郡レペレ・ンクンピ地区、ベンベ郡マカド地区)

■村内の結核患者を訪問して話を聞く
 ボランティア

HIV陽性者のなかには、自分が感染していると公表できず、精神的に追いつめられると同時に、必要な情報にアクセスすることができずに症状を悪化させ死にいたる人が多くいます。また交通費・治療代などの問題で病院にアクセスできない人もいます。

こうした状況に対応するため、トレーニングを受けた地域のボランティアが村内の家庭を定期的に訪問し、ケア、家族へのサポート、カウンセリング、治療などについての適切なアドバイスを提供していくことが重要です。エイズ遺児についても、各家庭を訪問し、学校と連携しながら日々の状況を確認するなどしています。このように、HIV陽性者やエイズ遺児を支えていくには、地域の在宅介護ボランティアの存在が欠かせず、その活動を強化することが急務とされています。

カプリコーン郡レペレ・ンクンピ地区において、JVCは地域のボランティアを対象とした治療や栄養に関する研修やボランティア同士の情報・経験共有の勉強会、他のNGOとの経験交流の機会などを提供することで、ボランティア個々の能力とネットワークを強化し、ボランティアによる介護内容と地域におけるHIV陽性者のサポート体制の向上を目指します。

また、ベンベ郡マカド地区では、JVCは2005年度に在宅介護活動の現状把握調査を実施し、2006年度はそれにもとづき、ボランティアを対象にHIV/エイズへの対応を含めた在宅介護トレーニングを実施しました。2007年度は、トレーニングを受けたボランティアたちが、トレーニングの成果を各村での介護活動に活かしていくためのフォローアップを実施します。

 

HIV/エイズに対する正しい知識が普及するような予防啓発活動

感染拡大を予防し、地域にHIV陽性者を受け入れる土壌ができることを目指します。
 (カプリコーン郡レペレ・ンクンピ地区)

■HIVで現在問題になっている女性への
 暴力をテーマにした劇を演じる若者たち

HIV/エイズは性感染症であり、感染拡大予防を考える際、青少年の行動変容は欠かせません。

JVCでは地域の青少年らに対し、HIV/エイズ、治療、予防、行動変容を含めた研修を行い、彼らが「ピア・エデュケーター(予防啓発を担う人)」として予防啓発に関わっていくことを目指します。研修は、キャンプのような場で自由な雰囲気で青年たちが意見を出し合いながら学んでいくことができるようにしていきます。

予防啓発活動が活発になることで、最終的には地域におけるHIV/エイズに対する正しい知識や態度が培われ、地域にHIV陽性者を受け入れる土壌ができることを目指していきます。

 

HIV陽性者自身による活動の支援

HIV陽性者がポジティブに生きていくための支援をしています。
 (カプリコーン郡レペレ・ンクンピ地区)

■治療に関するトレーニングを受ける
 HIV陽性者たち

地域で陽性者に対する適切なケアを提供することにより、陽性者の健康が保たれ、陽性者自身も地域での予防やケアの活動に関わることが可能となります。そして、陽性者自身が活動に参加することは、地域でのHIV/エイズに対する恐怖心や偏見を軽減させることにつながります。それは、HIVに感染しているかを調べる血液検査(HIV検査)を受ける人が増えることにもなり、陽性者の活動を支えていくことは重要です。

JVCは、地域のHIV陽性者グループを対象に、病気・治療について知識を得るための研修や、他地域で活動する陽性者を招いての懇談会、他地域の陽性者グループとの交流を実施し、陽性者グループが十分な知識や情報を持ち、前向きに生きていくために支援していきます。

 

エイズ遺児やHIV/エイズの影響を受ける子どもたちへの支援

ボランティアが日々のケアにあたり、地域で彼らを支えていきます。
 (カプリコーン郡レペレ・ンクンピ地区)

■ドロップ・イン・センターに来る
 ケアの必要な子どもたち

HIV陽性者が増えるなか、親を亡くす、介護を強いられる、などエイズの影響を受ける子どもが増加しています。中には子どもだけで生活する家庭もあります。JVCの活動地にも、200人弱のエイズの影響を受ける子どもがいます。

JVCは、地域のNGOおよびボランティアが運営するドロップ・イン・センター(略してDIC。親のいない子どもたちに一日3回食事を提供する)で子どもたちが食事をするだけでなく、学校終了時から夕方までの時間を充実して過ごせるよう本や絵具、遊具を提供します。同時にDICボランティアを対象にした栄養トレーニングを実施し、子どもたちに栄養に富んだ食事を提供できるようにしていきます。また、子どもたちが経験や悲しみを語り合ったり、楽しく創造的な時を過ごす場としてのキャンプを開催します

 

家庭菜園の促進 

在宅介護ボランティアやHIV陽性者を対象としたトレーニングを実施します。
 (カプリコーン郡レペレ・ンクンピ地区、ベンベ郡マカド地区)

■遺児のデンゼルの畑では大きな
 かぼちゃが収穫できた

HIV陽性者が健康を維持していくためにバランスのとれた栄養を摂り、免疫力を高めることは不可欠です。また、ウィルスの増殖を防ぐ抗レトロウイルス薬は、強い薬で副作用もあるため、治療を始める前に栄養状態も含めできるだけ体調を整えておく必要があります。しかし、じゅうぶんな食料を購入する資金がなく、食べることすらままならない人も多くいます。

HIV陽性者やエイズ遺児が新鮮な野菜を食べることができるよう、野菜栽培のトレーニングを実施します。彼らをサポートする地域のボランティアもトレーニング対象とします。ボランティアたちは、自分が作った野菜やハーブをエイズ遺児などに配給します。この活動にはJVCが東ケープ州カラ地区で行っている環境保全型農業プロジェクトの経験を活かしていきます。

カプリコーン郡レペレ・ンクンピ地区において、JVCは陽性者やその家族が家庭菜園に取り組むための活動を実施します。トレーニングの対象者は、陽性者、在宅介護ボランティア、DICボランティア、青年リーダーなどです。この活動にはJVC南アフリカの他地域における農業プロジェクトの経験を活かし、お金をかけずに、地域にある資源を活用してできる農業を実践し、無農薬有機栽培で栄養価の高い野菜を栽培します。また、DICの敷地内にモデル菜園をつくり、センターに来る子どもも野菜栽培に取り組むと同時に、DICで新鮮な野菜を使った食事を提供できるようにしていきます。

また、ベンベ郡マカド地区では、2006年度は、陽性者、在宅介護ボランティア、エイズ遺児など9名の研修生がトレーニングを終了しました。2007年度は、彼らが中心となり、村内でトレーニングを実施し、家庭菜園を広げていくことができるように支援していきます。

 
 


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