アジア・中東・アフリカで活動する国際協力NGOです。
  • JVC facebook
  • JVC twitter
  • イベントメルマガ配信中
  • 文字サイズ:大きく
  • 文字サイズ:中くらいに
  • 文字サイズ:小さく
JVC English website

「地域における栄養失調予防支援事業」開始しました

パレスチナ現地代表 福田 直美
2012年7月10日 更新

JVCは2012年4月より、ガザ地区・ガザ市東部、シャジャイヤ、トゥッファーハ、ゼイトゥーンの3地区で、地域における子どもの栄養失調予防支援を開始しました。この事業が目指すのは、「地域社会が子どもたちの健康を守ることができるようになること」です。

2007年、ハマスが武力でガザを制圧してから5年が経つガザでは、イスラエルにより、現在も人の行き来や物資の搬入が制限されています。ガザでは今も、封鎖によって10年以上も仕事を失ったままの人々が多くいます。ガザの外に仕事に行っていたため、その仕事を失った人。そして、原材料が輸入できなくなったためにガザの工場が稼動できなくなり、仕事を失った人。農地を破壊された人もいれば、農業を続けていても輸出ができなくなってしまったという人もいます。

遠くに見えるガザの発電所。十分な燃料が入ってこないため、ガザでは一日8時間の停電が続いている遠くに見えるガザの発電所。十分な燃料が入ってこないため、ガザでは一日8時間の停電が続いている

一時に比べて、イスラエル側からの物資の搬入の制限が一部緩和され、また、エジプト国境に掘られたトンネルから入ってくる物資で、ガザの市場は大分賑わうようになりました。しかし、買うものがあっても「買うお金がない」現実は変わっていません。ガザの失業率は45.2%(2011年現在、)と高く、これはこの5年間ほとんど変わっていません。

ガザの人々は今も、支援に頼らざるを得ない生活を送っています。本来なら十分に働くことができる体力も、能力も、そしてやる気もある人々が、それを叶えられないという現状を強いられる現状は、人々の尊厳に関わる大きな壁です。

瓦礫の中から、再生セメントの材料となる小石を拾い集める人々も多い瓦礫の中から、再生セメントの材料となる小石を拾い集める人々も多い


しかし、そのような中でもできることがある、と、頑張る人たちがいます。JVCは2011年、他NGOと共同で、現地NGO「人間の大地」とともに、地域における栄養改善事業を行ってきました。

子どもの成長状態の検査を行う母親ボランティア子どもの成長状態の検査を行う母親ボランティア

この事業で中心になるのは、地域のボランティアの女性たちです。トレーニングを受けた母親ボランティアたちが、子どもの栄養失調、貧血、くる病の予防のために、地域の女性たちのグループ、幼稚園、地域社会施設などを通して、教育セッションを行ったり、一軒一軒家庭訪問を行い、妊婦や乳幼児の母親たちへのカウンセリングを行ったりしてきました。

貧血の症状は下瞼に現れることが多い貧血の症状は下瞼に現れることが多い

また子どもたちの成長状態の検査も行い、栄養障害が疑われる場合は治療のためにクリニックに紹介をしてきました。この事業はいったん、2011年12月をもって3年間の取り組みが終了したのですが、JVCはさらに1年間延長し、ガザ市の該当地域でカバーされていない部分での活動を、2012年4月より再開しました。

さらに今年は、3地域で活躍する母親ボランティアたちの情報交換や技術・知識の共有のためのネットワーキング、そして各地域での健康教育委員会の設立にも力を入れています。健康教育委員会は、例えばモスク、幼稚園、地域社会施設、その他のボランティアなど、地域の様々な"アクター"が集まり、例えば地域の環境衛生など、子どもたちの健康のための様々なニーズに取り組んでいくための委員会です。

個人カウンセリングでは、「24時間リコール」と呼ばれる、「この24時間で何を食べさせたか」の質問が行われ、適切な食事方法や内容が指導されます個人カウンセリングでは、「24時間リコール」と呼ばれる、「この24時間で何を食べさせたか」の質問が行われ、適切な食事方法や内容が指導されます

子どもたちを守るために、個々人で、そして地域社会全体でできることは、たくさんあるのです。母親ボランティアたちが日々積み重ねていく活動が、少しずつ地域社会に根付き、そしてガザの将来を担う子どもたちを守っていくための「仕組み」となっていくことを、JVCは目指していきます。

母親ボランティアたちが工夫を凝らしたポスター。シュールな絵はご愛嬌母親ボランティアたちが工夫を凝らしたポスター。シュールな絵はご愛嬌

母親ボランティアの中には、「私は16歳で結婚し、高校も卒業できなかった。でもこうして自分が社会に貢献できていると自信が持てたことで、やっぱり高校を卒業しようと思ったの。頑張って勉強して、息子と一緒にタウジヒ(高校卒業試験)を受けたわ」という女性もいます。昨年の事業終了式においては、「ガザの『援助に頼る文化』を打ち破るのは私たちよ!」という力強いスピーチも行った女性もいました。

そんなパワフルすぎる女性たちに、若干引きずられがちな私ですが、彼女たちの活動に対する思いと、そして何より自分たちの社会に対する思いが、厳しい状況におかれ続けるガザにおいて何よりの資源であると感じています。彼女たちの今後の活躍に、乞うご期待!そして応援よろしくお願いいたします。

昨年の終了式にて、スピーチというより演説を始める女性。とにかくパワフルです!昨年の終了式にて、スピーチというより演説を始める女性。とにかくパワフルです!

ガザ・栄養改善支援 の記事一覧:こちらもぜひお読みください

更新日タイトル
2015年5月21日 更新ガザの現実(6) -子どもの栄養失調予防事業近況報告
2015年5月13日 更新事業パートナー・アマルの「ガザ終戦」
2015年4月21日 更新ガザの現実(5)- 戦争と封鎖の影響で、深刻な健康被害が広がっています
2015年4月14日 更新ガザの現実(4)- 戦争中の避難所の様子(EHSTの聞き取りから)
2015年3月14日 更新ガザの現実(3)- バンクシーが、ガザにグラフィティアートを描いた
2014年7月23日 更新ガザの声「自分の家も砲撃で壊されてしまったし、近くにいたお母さんの家も壊された。ベイト・ハヌーンには何もなくなってしまったよ」(7月22日付)
2014年7月21日 更新ガザの声「24時間のうち4時間しか電気がきません。発電機のためにガソリンを貯めていましたが、あと20リットルしか残っていません」(7月18日付)
2014年7月19日 更新ガザの声「昨夜から今朝まで催涙弾の匂いがしており、イスラエル軍が近くに来ているのを感じています」(7月18日午後9時付)
2014年7月18日 更新ガザの声「地元ニュースでは世界の状況が分からないので、もし停戦が決まったら、いつでもいいので電話してください」(7月16日付)
2014年7月18日 更新ガザの声「今は危険だから来てはいけません。状況が落ち着いたらまた来てください。ガザの人々はあなたをいつも歓迎しています」(7月14日付)
団体案内
JVCの取り組み
11ヵ国での活動
イベント/お知らせ
現地ブログ
あなたにできること
その他
特定非営利活動法人 日本国際ボランティアセンター
〒110-8605 東京都台東区上野5-3-4 クリエイティブOne秋葉原ビル6F 【地図】
TEL:03-3834-2388 FAX:03-3835-0519 E-mail:info@ngo-jvc.net