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ガザ ― ウム・アル・ナセル村の挑戦

パレスチナ現地代表 福田 直美
2009年9月18日 更新

今日は、栄養改善事業として栄養強化牛乳とビスケットを配布している、ガザ北部のウム・アル・ナセル村の幼稚園を訪問する予定でした。しかし予定がずれて、1日遅れで幼稚園を訪問すると、なんとこの日から、すでに幼稚園は新年のお休みに入ってしまったとのこと。子どもたちと会えなくて残念!でしたが、幼稚園に通う子どもの家を訪問することに。村の幼稚園などでボランティアをしているファリドさんと一緒に、アヤちゃん(4歳)の家を訪問しました。

「いくつ?」と聞くと「4歳!」と4本指を立てて答えてくれたアヤちゃん。「いくつ?」と聞くと「4歳!」と4本指を立てて答えてくれたアヤちゃん。

アヤちゃんの家は、汚水処理池のすぐ近くにあります。砂地に、木の枝やビニールシートで立てられた家に12人の家族で住んでいます。アヤちゃんの家は、2年半前に汚水処理池が崩壊し洪水となった際に、一度全て流されてしまい、その際は家族全員が避難しました。その後、牛やニワトリ、羊を飼っているため、やはり町の中ではなく家畜を飼い易いこの地に戻ってきたそうです。家は再建されて2年ほどの「新築」です。

「幼稚園は楽しい?」「うん!大好き」「幼稚園で何が好き?」「牛乳とビスケット!」と答えが返ってきます。「今日は何を食べたの?」「紅茶と牛乳と、パンとトマト。それから卵」

この家には5羽のニワトリがいて、毎日1つずつ、合計5個の卵を産むそうです。その卵は、家族で食べています。また、牛が一頭いるので、牛乳も毎日飲むことができます。しかし、この家には電気も冷蔵庫もないため、余った牛乳はほとんど捨てているとのこと。「時々、近所の人が買いに来ることもあるわ。1リットル3シェケル(約75円)で売って、だいたい1日2リットル、つまり6シェケル分売れるかしら」とお母さんは言います。とても12人の家族が食べていくのに十分な収入ではありません。

お父さんは以前、イスラエルで農業の仕事をしていましたが、ガザから出ることができなくなって以降、仕事がない状態で、「今は、牛が食べる飼料となる草をとってくるために1日費やしているわ」とのことです。しかし、アヤちゃんがとても健康そうなのは、幼稚園での栄養強化牛乳とビスケットに加えて、新鮮な牛乳や卵を毎日採っているからなのでしょう。

「家」の間を走り回るニワトリたち。足が速くて追いつかない!「バラディ(地元産)のニワトリは、強い」とのこと。「家」の間を走り回るニワトリたち。足が速くて追いつかない!「バラディ(地元産)のニワトリは、強い」とのこと。

家庭訪問を終えた後、幼稚園に戻り、ファリドさんと園長先生とともに、子どもたちの健康状態や生活状態について話し合いました。園長先生が言いました。「子どもたちの家庭を中心に、何かできないかしら。子どもたちと家族の栄養を高めながら、さらに、楽しめること」

園長先生は続けます。「クーポン(引換券)をもらって、野菜をもらったり、与えられるだけでは、後に続かないわ」と言います。私が「何か、後に続いていくことができればいいですね。さらに、何かを得ることができたらそれが他の家族にも行き渡って、この地域に広がればベストですね」と言うと、ファリドさんが言います。「この村にはベドウィン(遊牧民族)が多い。伝統的に、ベドウィンは家族同士の絆がとても強く、得たものをシェアする文化を持っている。けれど、家族以外は難しいかもね・・・皆が厳しい生活状況だから」

道端で、流れてきている汚水で遊ぶ子供たち。ファリドさんが「ここで遊んではダメだ。すぐに手を洗ってきなさい」と促しました。道端で、流れてきている汚水で遊ぶ子供たち。ファリドさんが「ここで遊んではダメだ。すぐに手を洗ってきなさい」と促しました。

私たちは、この栄養改善事業を一緒に行っているANERA(American Near East Refugee Aid)の、貧しい家庭にニワトリを提供する“チキン・プロジェクト”を例に出して、さらに、卵や新しいニワトリの雛を、他の家族とシェアできないか、というアイディアを出しました。すると、ファリドさんと園長先生は、ああでもない、こうでもないと考えた上で、こう提案しました。「例えば、参加する家族が月々『参加費』を出し合うのはどうだろう?集まったその参加費で、さらに新しい1つの家族に材料を提供することができる」「その活動を、幼稚園を拠点にするのはどうかしら。私や他の先生たち、彼(ファリドさん)のようなボランティアが、フォローアップして、きちんと他の家族にも利益が行くようにするのよ」

1家族あたりかかる費用は、200シェケル(約5,000円)とのこと。もし1家族が20シェケル(約500円)出しあって10家族参加すれば、新たに1家族に対する材料の提供ができます。こういった仕組みにすることで、参加する家族が「受身」にならず「自分でやるんだ」という責任感を持つことにもつながります。また、個々の家族でなくみんなで行うという意識があれば、たとえば誰かが「うちのニワトリは卵を産まないなあ」なんてことが起こっても、周りの人たちと一緒に解決することができるかもしれません。

この日の私たちの話し合いは、子どもたちの厳しい生活状況の話から始まったにも関わらず、最後はとても前向きな話となりました。新しいことへの「挑戦」について話す時、人の表情はこんなに生き生きとするものなのか、と思いながら、私も一緒に話し合いを楽しみました。

地域社会で助け合う文化が強いパレスチナ。厳しい状況の中にあって、地域の中で人々が助け合っていくことがますます重要になってきます。支援に頼らざるを得ない状況を「続けたくない」という意識がある人々が中心となり、地域社会で助け合いの仕組みを作っていくことが、その一歩となるのではないでしょうか。JVCもどのように彼らを応援していくことができるか、考えていきたいと思います。


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