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日本の近代化、人々の暮らしの智恵を学びに

ラオス事業担当 川合 千穂
2008年5月 1日 更新

日本の近代化や人々の動きを学びに、日本へ

ラオスでは最貧困国からの脱却のため、経済発展の道を歩いています。ラオスのほとんどの村人は食料や家の建材、薬草など森の資源に依存して暮らしていますが、この暮らしも少しづつ変わり始めています。カムアンの村でみる大きな変化は若者や男性の村の外への出稼ぎ、植林や鉱物掘削などの開発事業の急増です。この変化に対し、JVCは持続的に森を利用していく森林保全や、村人の生活を向上する農業技術の向上や水不足に対する浅井戸支援など生活改善の活動を行ってきました。1993年からの活動もいよいよ今年幕を閉じる予定です。その最後の締めくくりとして、「日本スタディツアー」を5月に実施しました。経済発展を志すラオス。そして、経済発展を遂げた日本。でも、経済発展とはどのようなものでしょうか?日本における近代化の歴史、そして人々の対案としての新しい活動を学びにラオスの方々がやってきました。

福岡到着。そして、水俣へ

5月26日。福岡の空港にやってきたのは、これまでともにカムアンの村の人たちの問題を考え、生活の改善に結びつくよう一緒に活動してきたカムアン県農林局の方々と、新たな活動地の行政官、そしてJVCラオス人スタッフ。ほとんどのメンバーが日本に来るのはは初めてで、「もう、飛行機の中では寝られなかったわよ。」と興奮気味。早速向かったのは日本の高度成長の裏で起きた公害の原点である水俣病の発祥地、水俣でした。

水俣で出迎えてくれたのは、元水俣病資料館の吉本氏。地域作り「地元学」の発案者でもあります。お昼を食べながらの自己紹介で早速始まった吉本講義。「『地域を元気にする』を仕事にしている。いいか、地域を元気にするのは3つ。1つに、人間が元気になる。2つ目に地域の自然が元気。3つ目に経済が元気。ただし、経済には3つあるぞ。1つめはお金。お金はみんなやる。でも、2つめの皆で支えあう、協同。そして、3つ目の自給自足。この2つ目と3つ目が大切なんだ。」水俣病という大きな負の経験を乗り越え、地域がまとまって環境を中心にした町づくりを行なっています。

水俣で起きたこと、そして農村の高齢化

水俣は環境の町。有機栽培のたまねぎ畑で交流水俣は環境の町。有機栽培のたまねぎ畑で交流

農業関連の担当者が多いことに気付いた吉本さんは早速、有機栽培で玉ねぎを作る農家を訪問しました。丁度出荷作業を行なっており、その玉ねぎの大きさにラオスの人たちはビックリ。そして、次に、農作業をしている人たちが皆年寄りの人ばかりであることに気付きました。これは、翌日、元市長の吉井さんの林業見学や大川地区の生活博物館で村を周り、さらに大きな驚きとなりました。「ラオスの村と違う。ラオスでは農業や料理は若い人がする。なぜ日本では高齢者がやっているのか?一人で住んでいて不安じゃないのか?」と口々に疑問を発していました。地元学で地域づくりを行なっている生活博物館では、村全体が暮らしを営む博物館。地域の人たちはこの地の豊かさを案内する館員です。神社だったり、桜だったり、梨の花、美しい田や畑。村の中を歩き、村人と交流したラオスの行政官は水俣病資料館の訪問で知った水俣の歴史を引き合いに出し、「水俣にはつらい歴史があったと学んだが、新しい地域作りを行っている。一人、二人の村人がやったのではなく、連帯して実施。田、自然は規律を持って整えられている。女性達に話しを聞いたが、満足している。村に無いものではなく、村にあるもので生活している。地域にある資源を使うことは、今後ラオスにも伝えていきたい。」と語りました。無農薬でのお茶づくりに取り組む天野さん、松本さんの訪問、天野さんのゲストハウスでは森や田を背景にラオスの歌、日本の歌と盛り上がり、水俣での印象深い2日間を過ごしました。

村全体が生活博物館。ビニールハウスを初めて見て、利用方法を尋ねる。村全体が生活博物館。ビニールハウスを初めて見て、利用方法を尋ねる。
無農薬紅茶を栽培する天野さんの茶園訪問。「虫は出ないのか」など、活発な質疑。無農薬紅茶を栽培する天野さんの茶園訪問。「虫は出ないのか」など、活発な質疑。

暖かい交流とまなび

小ミカンなど規格外を利用した加工品作りを学ぶ。小ミカンなど規格外を利用した加工品作りを学ぶ。

その後、鹿児島では農産加工を行なう桜島農産加工所にて女性グループの起業にいたる取り組みを聞き、合鴨農法や伝統野菜など有機農業を実践している橋口農園を訪問しました。鹿児島農政の方々への講演とその後の交流、神奈川県では行政と市民の取り組んでいる里山保全「新治の森」訪問、支援者の方々との交流と日本の各地で農業や環境に取り組む人々との交流を行い、日本を後にしました。

横浜市に残された「新治の森」保全を行なう市民、行政の方々横浜市に残された「新治の森」保全を行なう市民、行政の方々

参加したラオスの人たちからは以下のとおり、感想が寄せられました。各地での暖かい交流はこれまで心に描いていた日本のイメージを大きく変えました。農林局副局長のカムフアンさんは「スタディツアーに参加して感じたのは、日本はラオスから離れているが、ラオスに似ている。日本は発展しているため冷たいかと思っていたが、関心を持ってくれた。いろいろな学びがあったが、経済発展の一方で、起きた問題はラオスでも繰り返さないようにしないといけない。今回の学びはラオスの中でも伝えていきたい。」また、同じく農林局作物課マライポンさんは「JVCから機会をもらってラオスの女性の暮らしについて報告する機会もあった。日本人は環境を大切にし、有機農業を推進していることなど学んだ。見てきたことなど実践できることはラオスの中でもやってみたい。」と話していました。

日本における近代化の歴史やその影響。また、新たに動き始めている地域作りや有機農業の動き。これらの学びはラオスからの参加者に大きな問いを残しました。「ラオスは今後どういう道を通るべきなのか?」日本における学びを他の人たちにも伝え、今後に活かしたいとラオスに戻っていきました。


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