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来ない難民

中東 パレスチナ最新情報 中東担当 佐藤 真紀 佐藤 真紀 佐藤 真紀
2003年4月 1日 更新

ヨルダンの国境の町、ルウェイシェドに難民キャンプができた。国連UNHCRが見積もった難民の数は60万人。ところがイラク難民は今のところ十数名がシリアに逃れたのみだ。

なぜこれほど難民が出ないのか。しかし、私が、昨年から今年にかけてイラクを訪れて、会う人ごとに聞いてみたが、難民として外に出るといった人は一人もいなかった。その理由は、
「私たちはイラク人だ。イラクで生まれて育った。外に出る理由はない。ブッシュは石油を欲しがっている。サダムは大統領の席を欲しがっている。サダムがブッシュに石油を与えれば戦争はすぐに終わる」
というのだ。なかなか説得力のある説明だった。今一度難民が出ない理由をまとめてみた。

1)難民のほとんどは外国人
前回の湾岸戦争では70万人の外国人がヨルダンへ。イラク人は2万3000人の難民がヨルダンに出た。当時は、イラクやクウェートで働いていた外国人が相当数いたが、イラクは経済制裁のため外国人労働者はそれほどいない。外国人ならば、ぎりぎりまでイラクにとどまる必要もなく多くは開戦前に避難している。

2)難民になると戻れない
一度故郷を出て難民になると、家を失い、テント生活を送らなければいけない。逃げている間に財産が強奪されたりすることを恐れてとどまる人が多い。パレスチナ難民の苦悩を見てきた人々はなおさらである。また、イラクは戦争が終われば復興、石油産業などのビジネスチャンスが転がっており、難民にはなりたくないと思うのも当然。

3)すでに難民
ヨルダンで経済難民として暮らしている人はすでに30万人近くいる。

4)お金がない
戦争で物価が高騰して、600kmの道のりを超えて難民になれる人もそうはいない。

5)危険
バグダッドからヨルダンに向かう道はかなり危険になっている。最近避難してきたドイツ人の話ではヘリコプターなどから狙われたりともかく危険だったという。

6)アメリカの戦略
アメリカ軍は町を包囲しながらバグダッドに兵を進めているため、イラク人が閉じ込められて動けない。ヨルダン側からアメリカ軍の特殊部隊が入り込んですでに飛行場を制圧しており、そこを超えて難民にはなれない。

7)イラク政府の政策
難民が出るとイラク内がパニックになり指揮が低下するので何らかの方策がとられている可能性がある。

8)ヨルダン政府の政策
ヨルダンにとってもイラク難民を抱え込むことは避けたいので、何らかの方策がとられている可能性もある。実際直前まで、ヨルダン政府はイラク難民の受け入れを拒否してきた。

9)愛国心
イラク人は誇り高く、自分たちの土地と文化を大切にしている。アメリカとの戦争では、国を守ろうととどまる。イラク人同士の内戦になれば多くの難民が想定される。この場合、イランかシリアに逃れるケースが多い。

毎日アンマンのインターコンチネンタルホテルでは、国連の合同記者会見が行われている。記者団からは「どうして難民が出てこないのか」という質問が毎日のようになされる。
「前回の湾岸戦争でも最初はそれほど出なかった。そのうち出ます」
同じ答えを聞くうちに開戦後10日が経った。難民が出ないに越したことはないのだが、一方でイラク国内に閉じ込められた人々の安否が気遣われる。

戦争を支持しながら難民を助けるのではなく、今すぐ戦争をやめてもらいたい。

記者会見するIOM局長マキンレイ氏(中央)記者会見するIOM局長マキンレイ氏(中央)

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