アジア・中東・アフリカで活動する国際協力NGOです。
  • JVC facebook
  • JVC twitter
  • イベントメルマガ配信中
  • 文字サイズ:大きく
  • 文字サイズ:中くらいに
  • 文字サイズ:小さく
JVC English website

2014年4、5月号

イラク事業ボランティア 井川 翔 JVCイラク事業チーム補佐 中野 恵美
2014年5月16日 更新

しばらく更新していなかったイラクウォッチですが、また再開したいと思います。今回は、先の4月30日に開催された第3回イラク国民議会選挙に関する記事や、クルド人自治区で起きている事件についての記事を、翻訳/要約してお届けします。

(翻訳担当:井川翔、中野恵美)

アンバール県からクルド人自治区に避難したアラブ系イラク人の状況

アンバール県で昨年9月以来続いているイラク治安部隊とアルカイダ系武装組織による戦闘を避けてクルド人自治区に避難しているアラブ系イラク人が増えている中、多くのクルド人は長引く難民の滞在にうんざりしている。アブー・ムハマッド(仮名・30代男性)は、アラブ系の外見を隠し通せないが、クルド系の衣服を纏い、クルド語を話すことで、土地に順応する意思表示をしている。アンバール県のファッルージャで教師をしていたという彼は、アラブ系難民の増幅を問題視する人に対し、「以前、アラブ人はたしかにクルド人を抑圧していたが、こんなに憎まれる筋合いはない」と語る。

2014年5月5日NCCI・Humanitarian Space掲載"New Yorker"記事より要訳)

国民議会選挙後のイラクの政治情勢

今回の選挙では、宗派系政党は弱体化しており、国民の要求は往々にして、宗派を越えている。連立内閣が発足するまで、イラクの将来は完全に不明瞭と言えよう。シーア派は、現職のマリキ首相派、主に中産階級が支持するAmmar al-Hakim派、主に低所得者層が支持するサドル派の3つに分裂しており、スンニ派と世俗派の同盟である旧イラキーヤも3つに分かれてしまっている。これまで国勢選挙では一つになって出馬していたクルド系政党さえもバラバラになっている。しかし、展望が不確かでも、よい兆候もある。2003年以来初めて、イラクの連邦制度に関して社会的な議論が展開されている。また、シーア派、スンニ派、両方に連邦賛成派と反対派のどちらともが存在する。
連立政権に入れる政党数を減らすか否かも、選挙戦の争点になっている。マリキ現首相はより限られた数の政党による連立を模索しているが、反対も多い。選挙でマリキ派が単独で過半数を獲得する可能性は低く、逆に、宗派や民族を超えて反マリキの連立政権が発足する可能性も否めないが、内閣が大きすぎても決断力に欠けてしまう恐れがある。また、上辺だけスンニ派議員を含んだシーア派が圧倒的多数の、マリキ率いるシーア派の連立政権が発足することも考えられる。いずれにせよ、選挙後の連立内閣の交渉が始まるまで、予測は非常に難しい。

2014年4月28日Foreign Affairs記事より要訳)

クルド人自治区で相次ぐ女性の焼身自殺

イラクのクルド人自治区で女性の焼身自殺が相次いでいる。1991年にこの地域が自治権を獲得して以降、最高で1万人もの女性が焼身自殺したと言われている。従兄弟や部族内の親族男性との強制的な結婚が強いられ、家庭内暴力を受けながらも、離婚を望んだら「名誉殺人」で殺されるかもしれない中、自殺を選ぶ女性が多い。「名誉殺人」や家庭内暴力を禁ずる法律はあるものの、結婚を逃れる女性を受け入れる施設の増設や女性の権利擁護に関する議論が始まらない限り、状況の解決・緩和は難しい。

2014年3月20日NCCI・Humanitarian Space掲載"エコノミスト"記事より要訳)

アブグレイブ刑務所を閉鎖 治安上の理由による

武装組織によるファルージャをはじめとするアンバール県内の地域の占領等に続き、近郊で更なる混乱が危惧される中、アブグレイブ刑務所が閉鎖され、囚人2400人が、イラク中北部の、よりセキュリティがしっかりした刑務所に移動させられた。アブグレイブ刑務所は、アンバール県に近く、以前の事件と同様、スンニ派武装組織の攻撃で囚人(中には無罪の人が含まれている)が脱走してしまう恐れがあるためだ。閉鎖が暫定的か否かは、まだ未確定である。地元で食料品店を営む男性は、「アブグレイブ刑務所は閉鎖されたが、私たちアブグレイブの人々はどうなるんだ?この地域が安全でないというなら、私たちをほかの国に移してくれるのだろうか?武装したガンマンと、治安部隊を毎日見かける。ここで何が起きているのか、さっぱりわからない。」と話している。

2014年4月15日ニューヨーク・タイムズ記事より要訳)

イラク議会選挙戦で女性の権利擁護を訴える

イラクで女性の権利が侵されている中、議会選挙に向けて女性議員候補たちは、女性の権利擁護を新たに前面に掲げている。数十年前、イラクは女性にとって中東の中で最も進歩的な国であったが、サダム・フセイン時代、イラク戦争、その後の社会的混乱を経て、女性の権利が非常に制限されてしまった。現在、12歳以上の女性の4分の1は読み書きができず、中等教育を受ける女子は、男子の85%に過ぎない(国連)。最も大きな問題は、女性のうち就業しているか、求職活動中の人は、女性人口のうち14%しかいないことである。経済的に独立していなければ、夫の言いなりになってしまう可能性が高くなる。この現状の背景には、男性の女性に対する態度があるとされる。男性人口の半数近くが、妻が働くことを禁じる権利があると考え、同じく半数が、場合により妻に体罰を加える権利があると考えている。結果、女性の権利の保護や促進を掲げて出馬する男性の候補者も、当選後はそれを実行には移さない。また、イラク憲法は、国会議員の4分の1を女性とするよう定めているものの、実現されるような法は行使されていない。

2014年4月21日NCCI・Breaking News掲載"The National"記事より要訳)

Facebook コメント

団体案内
JVCの取り組み
11ヵ国での活動
イベント/お知らせ
現地ブログ
あなたにできること
その他
特定非営利活動法人 日本国際ボランティアセンター
〒110-8605 東京都台東区上野5-3-4 クリエイティブOne秋葉原ビル6F 【地図】
TEL:03-3834-2388 FAX:03-3835-0519 E-mail:info@ngo-jvc.net