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『なぜ私たちをテロリストと呼ぶのですか? ~パレスチナからの声~』を観てインターンが考えたこと

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こんにちは。広報インターンの沓掛里美です。

イスラエル・パレスチナで激しい攻撃の応酬が始まってから1か月が経つ中、人道状況は壊滅的です。

既に難民キャンプも空爆の対象になっていますが、先日も、パレスチナ・ヨルダン川西岸地区のジェニン難民キャンプにあるモスクが空爆された、というニュースを耳にしました。ガザからヨルダン川西岸地区にも戦闘が飛び火していっています。

ジェニン難民キャンプに対しては今年の夏にも空爆が行われており、それを題材にした月刊JVC#23なぜ私たちをテロリストと呼ぶのですか? ~パレスチナからの声~』(9/28放送)を視聴しました。(ジェニン難民キャンプ空爆についてはこちらをご覧ください

この番組の概要と、それを見て私が考えたことをお伝えします。

ジェニン難民キャンプで起きていたこと

月刊JVCは、ジャーナリストの堀潤さんと一緒に月に1回お届けしているYouTube番組です。9/28に放送されたこの回には、JVCからは代表理事の今井と、エルサレム事務所・現地調整員の大澤が出演しました。

まずは大澤が、今年の夏の空爆に至った経緯を「ジェニンとはどういうところなのか?」という根本から説明しました。

ジェニン難民キャンプは、「難民キャンプ」とは言っても設立から70年が経っているため、私たちがイメージするような難民キャンプ=テント村というよりは、一つの街のようになっています。

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イスラエル軍が、そこに空爆を仕掛ける以外にもブルドーザーに乗って現れ、街全体を壊すような勢いで舗装を剥がしていく映像も共有されました。

また、10代から20代前半の若者が返り討ちに遭うことを覚悟で、重武装したイスラエル兵士や警官を、軽い装備だけで襲撃する「スタビング」が後を絶ちません。

一方、キャンプに暮らす子どもたちが勉強中の学校にイスラエル兵士が来て、催涙弾を投げる嫌がらせも起きているそうです。

検問所の運営も恣意的で、そのせいで生業を続けられなかったり親戚と別れ別れになってしまったりする人もいます。分離壁の設置も入植も、国際法違反であると明示されています。

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こうして衝突がエスカレートしていく状況に、国連事務総長も「あまりにも過剰な暴力だ」と発言しました。

しかし、このような非人道的な行為に対抗するための行動が、「テロ」扱いされてしまっているのです。

しかも「テロリスト」扱いされているのは、攻撃を実行している人だけではありません。

数年前に、ある少女が大澤に、

「なぜ私たちはテロリストと呼ばれるのか?」
「怯えて泣く子どもたちを見て、海外の人たちは本当にテロリストだと思っているのか?」

と聞いたそうです。

SNS上では誹謗中傷が数多く見られ、偏見や間違った情報、無関心などから、どこかの媒体に出ている言説を鵜呑みにしてしまう人も多いということです。

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「テロリスト」とは何か。そして誰か?

こうした内容を受けて、堀さんと今井、大澤が対話を進めていきました。

番組内では「相手の顔が見えないがゆえに分断が深まっている」、『「暴力が悪い」と片付けるのではなく、「なぜそうなるのか」という原因も知って考えてほしい』、「”テロリストもつくられている”」、という発言が出ました。

さらに、「テロリスト」という言葉の使い方には要注意だということが活発に話し合われました。

「テロを根絶する」という考え方により、その言葉が生まれるよりも昔から多くの人々が犠牲になってきたことや、「対テロ」という言葉で何でもまかり通ってしまい、国家権力によって特定の集団を意図的に排除する動きにつながる怖さなどが挙げられていました。

一方、誰かを安易に悪者扱いしてはならないということは、イスラエル側にも当てはまります。

イスラエルにも右派も左派もいて、入植をやめてパレスチナ人と共存したいと考えて活動している人もいるそうです。

相手のことを一方的に決めつけず、「小さな主語」で語ることの大切さを再確認しました。

動画を見て、大学生インターンが考えたこと

動画の中で、放送当時(9/28)「パレスチナに関する報道は、特に地上波ではほとんどされない」という発言があったのが、本当に皮肉に感じられました。

10/7の衝突の激化以来、今では、連日トップニュースでパレスチナ情勢が取り上げられる状況です。

堀さんの「現地にまた足を運びたい」という思いも、実現の見通しが全く立たなくなってしまいました。

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動画を見ていて何よりも強く感じたのは、同じことが起こっていても、国によって扱いが全く違ってしまう不条理です。

「子どもたちの勉強中にイスラエル兵が乗り込んできて催涙弾を打ち込まれることがある」という話が出ていました。それに対する、「もしこのようなことが例えば欧米で起これば、とんでもない大ニュースとして報じられるだろう」という指摘が胸に刺さりました。

また、イスラエル軍がジェニンの道路をブルドーザーで破壊する映像は、津波で瓦礫が押し流される様子を見ているかのようでした。

国際社会はこれらに対しては沈黙するのに、こんな無邪気な子どもたちのことをテロリストと呼ぶのでしょうか。

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イスラエルがパレスチナに対してやってきたことも、今回ハマスがイスラエルに対してやったことも、どちらも許されて良いことではありません。

他にも、色々な国で紛争などによって大勢の人が平穏な暮らしを奪われています。

どこに生まれようと、普通に生活したいという思いはみんな同じで、どんな理由があってもその権利や人の命を奪っていいことにはなりません

それなのに政治的な理由や偏見などによって国や地域によって差が生まれてしまっている状況に、怒りと悲しみを感じます。

一方で、完全に不偏不党でいることの難しさも日々痛感させられています。

私は昨年度ドイツに1年間ほど留学しましたが、その中でムスリムや中東出身の友人や知り合いがたくさんできました。

そのため私のSNSには、パレスチナを支持するアラブ側の主張が多く届きます。そちらには顔を知っている人も多いため、つい過度に肩入れしてしまいそうになります。

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そうした中で大切にしたいと強く思ったのは、「小さな主語」で考えるという姿勢です。言われてみれば当たり前のことですが、つい忘れがちになってしまう点だと思います。

大きな主語の中にも必ず一人一人の人間がいます。例えばイスラエルの中にも、入植をやめてパレスチナの人たちと共存したいと思って活動している人もいる、というのが印象に残りました。また私には、イスラエルに住んでいるアラブ系の知人もいます。

裏には必ず様々な考え方や背景を持った一人一人の人間がいるのだということを常に意識して、世界中で起きている問題について日々考えていきたいと思います。

(編集:広報G 大村)

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