「僕は人間です。人間として生きたいのです。」ーパレスチナ・ガザ 現地からの声
2023年10月から続くガザ地区での深刻な人道危機。
今も続く、耐え難い人道危機のなかで活動を続けるJVCの現地スタッフから皆様へ届けられたメッセージを紹介いたします。
2023年10月の危機から21カ月。報道される機会も少なくなり、日本社会での関心も薄れてきています。
目にする機会が少なくなってきたとしてもガザの状況は悪化し続けています。想像もできないような苦難・危機の中にいる現地からの声にぜひ耳を傾けてください。
再度の停戦合意が間近との報道もありますが、戦闘が終結しても徹底的に破壊された甚大な被害から人々が暮らしを取り戻すには多大な支援と時間が必要となります。
活動には様々なハードルもありますが、諦めることなく、JVCができるベストを模索し、これからもガザでの活動を続けていきます。
これからも人々の命・暮らしを、そして、人間の尊厳を守るために、ともにガザの人々を支えていただけますと幸いです。
すべてが根本的に変わってしまいました。僕はガザでの生活がどんなものになってしまったのかを表現する言葉が見つかりません。
戦闘が始まる前、僕はそこそこの生活を送っていました。ガザを出るために1日や2日調整が必要で、移動の難しさはありましたが、家族旅行やレジャーに出かけることもできました。
食べ物や医療について心配する必要はなく、安全を感じていました。創造的に考えたり、新しいことを学んだりできる平穏な時間がありました。僕は異なる文化について、アートや音楽、ダンスや信仰を知ることにとても興味があり、オンラインで文化イベントやセミナーに参加したりしていました。でも今、僕が考えているのは、生き残ることだけです。
こんなに絶え間なく恐怖を感じることになるとは想像もしていませんでした。自分の命だけでなく、家族全員の命が危ないのです。不安と恐怖で胃が締め付けられ、一瞬一瞬を命の危険を感じながら生きることを想像してみてください。
食べ物については、話すことさえ恥ずかしく感じます。以前の僕たちは、次の食事の心配をしたことはありませんでした。他に必要な人たちがいるからと、(自分の家族への)食料援助を断ることさえありました。でも今は、状況がまったく変わりました。食べ物がほとんど存在しないのです。想像してみてください。空腹を紛らわすためだけに食べても、満腹にならない感覚を。口にするなんて想像もしなかったようなものを、ただそれしかないからという理由で食べることを。僕の体重は16キロ近く減りました。
僕は毎日、病気にならないように祈っています。薬も医療もないからです。
僕が一番恐れていることは、行き場もなく家を追われることです。家族の何人かと離れ、慣れない場所へ移らなければならなかったとき、僕は吐き気と恐怖を感じました。
戦闘中でさえ、僕は希望を持ち続け、同僚たちに「まだどこかに希望がある 」と伝えていました。最後の停戦中は、平和の寸前まで来ていると信じていました。しかし、悪夢は再び訪れ、より凶悪に、より壊滅的になりました。平和が近いと信じていた自分が恥ずかしく思いました。
今、僕が感じていることを表現するには言葉が足りません。でも、僕たちが緊急に、切実に平和を必要としていることは確かです。
僕は誰のバックグラウンドも、人種も、文化も、性格も、ジェンダーアイデンティティも気にしません。ただ平穏に暮らしたいだけです。世界中の人々と出会って、自分の興味や情熱のあることができる生活に戻りたいだけです。
僕は人間です。人間として生きたいのです。