REPORT

スーダン

「トトロ!」~おもてなしの言葉~

皆さまこんにちは!スーダン事業東京担当の後藤と申します。

昨年の5月にJVCに入職し、11月に初めてスーダンへ出張してきました。

首都のハルツーム空港に到着、現地スタッフのモナが笑顔で出迎えてくれました。今までZoom会議で画面越しでの会話のみだったためようやくご対面。心配していたSimカードの購入や車の手配もしておいてくれてスムーズに事務所に到着。「噂には聞いていたが、モナさん、なんて気の利くスタッフなんだ・・・!」とプチ感激。

駐在員の今中と事務所で合流し、事務所周辺の案内をしてもらうため外に出て歩き出した瞬間、なんとすぐ近くでデモをやっていて、人生で初めて催涙弾の煙を浴びました。瞬く間に涙が出てきて、目も鼻も喉も痛くなりかなりの衝撃でした。すぐその場から去りましたがしばらく涙は止まらず、唖然としてしまいました。実は空港からの道中も前日のデモで何かを燃やした跡や残骸があり、初日から洗礼を受けたかのような気持ちになり生々しさを感じました。

そんな衝撃のあと、近所に住むアフマドさん(JVC前事務所が入っていたビルの警備員)にご挨拶。簡単に挨拶をするだけだった予定が、気づいたら家の中へ通されジュースを頂いていました。

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(イチゴシロップみたいな味がして甘い。個人的には好きでした。)

そこで終わりかと思いきや次はなんとも煌びやかな食器が運ばれてきて、自然と「おお~!」と声が出ました。(笑)

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(コーヒーを注いでくれているのがアフマドさん。建設中の建物に住んでいます。)

コーヒーはほのかにジンジャーのスパイスの味が効いてとっても美味しく、手前に写っているお皿に盛られているのは胡麻を砂糖と何かで炒めたもの?で、これもまたコーヒーとベストマッチング。手が止まりませんでした。初日から素敵なおもてなしをうけ、「初対面の日本人を家に通し、こんな温かく受け入れてくれるなんて、これが噂のスーダンのおもてなし・・・!?」と2度目の感激。催涙弾のダメージが一瞬で吹き飛びました。

別の日には事務所の近所のレストランでランチをし、お会計を済まそうとしたところ

「隣のテーブルの人が払っていったよ!」と、一言二言話しただけなのに奢ってくれた名前も知らない人。

屋台でジュースを飲んだのでお金を出そうとしたら、「君たちはゲストだからお金はいらないよ!」とご馳走してくれたレモンジュース屋さん。

道を歩いていたら「スーダンは君たち日本人を歓迎する!」とつたない英語で熱烈に話しかけてくれたおじいさん。

男性限定のモスクの前で、中を見に行った今中を待っていると「これに座りな、シャイ(お茶)もあげよう」と椅子とシャイを持ってきてくれたお茶配りのおじさん。(モスクに入りたかったので残念でしたが、おじさんの温かさとシャイの甘さに癒されました笑)

バスの席がいっぱいで、補助席を出さないといけない時は自然と席をさっと出してくれる周りの人たち。

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(噴水でなんだかおしゃれ感があるジュース屋さん。右の写真で今中と話している男性はデモの座り込みにも参加していたそうで、当時の悲惨な状況や今も続く怪我の後遺症ついて話してくれました。)

JVCの活動地である南コルドファン州カドグリでは現地スタッフのお兄さんの結婚式に急遽招待してもらい参加することに!

入り口で新郎が「トトロ!」と言い、笑顔で出迎えてくれました。

私は「トトロ・・・?ってあのトトロ?東南アジアに行くとよく日本人は「味の素」と声をかけられるけど、スーダンでは「トトロ」なのか?さすがジブリ、Worldwideだな。」なんて思っていました。

聞いてみると、「トトロ」と聞こえていたのは、本当は「タファッダル」と言っていて、「どうぞ!」という意味だったそうです。(笑)

会場に入るとすれ違う人みんなが「タファッダル!」と急に来た外国人の私たちを受け入れて入れてくれてなんて温かい人たちなのだろうと胸がじーんとしました。

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(結婚式の様子。パフォーマンスグループを呼び、みんなで歌って踊ってとても賑やかでした。女性陣はカラフルな布を身にまといとても華やか。僭越ながら後藤も躍らせてもらいました。)

インフレが激しく、デモも頻繁に行われている今、決して自分たちも余裕がある訳ではないのに、見ず知らずの外国人の私たちに見返りなしに優しさを向けてくれたスーダンの人たち。

初めてのスーダン出張、実はかなり緊張していましたが、色々なところで温かいおもてなしを受け、スーダンという国、そこに暮らす人たちがとても好きになりました。短い滞在だったためもちろん全ての側面は見れてないと思いますし、嫌な思いをしなかったのはたまたまラッキーなだけだったかもしれません。 滞在中にもデモがあったり、暴力事件があったり、武力衝突で人々がカドグリのバス停に避難してきていたり、痛ましい事件を多く耳にしました。まだまだ暴力と衝突が身近で貧富の差が激しい国ではありますが、それでもこういった人たちの真っ直ぐな優しさは、ピラミッドにも負けないスーダンの魅力の一つだと思います。

現在スーダン事業では12/20~3/31の期間で、不要になった本やCD・DVD、ゲームなどご寄付いただくことでスーダンの教育支援になる「あなたの本で、スーダンの子どもに教育を!」キャンペーンを実施中です。是非ご協力を宜しくお願いいたします。
https://www.ngo-jvc.net/news/news/jvc_bookoff_2022.html

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