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南アフリカ

【南アフリカ出張記②】南アフリカのご飯

前回の出張記①の続きです。

JVCの南アフリカでの活動の紹介をするとよく聞かれるのが、「現地にいる間はいったい何を食べているの?」という質問です。JVC南アフリカ事務所はオフィスと宿を兼ねていて、首都のジョハネスバーグに自宅がある現地スタッフのドゥドゥは普段事務所で生活しています。出張時は私もここに泊まり、日々ドゥドゥと分担しながら自炊しています。

分担といっても、以前は、私が持ってきてつくる和食が好きなのと、そもそも料理が面倒なタチであるがゆえに(笑)、私の滞在中にドゥドゥがキッチンに立つことは滅多にありませんでした。しかし!今回の出張時はドゥドゥが率先してほとんどの食事でキッチンに立つではありませんか。いったい何があったのでしょうか・・。

アジア学院の研修での学びを活かして

ドゥドゥは、昨年の4月から12月まで栃木県にあるアジア学院の研修コースに参加し、有機農業とリーダーシップを学んでいました。毎日朝から晩まで座学や農作業を通じてみっちり学ぶ厳しいコースなのですが、学びのひとつに仲間たちとともに行う「調理」があります。このコースにはアジアとアフリカのさまざまな国からの参加者もいます。どうやらドゥドゥは、彼ら・彼女らとの調理や食事を通じて、いろんなものを料理し食べる楽しみを実感したようです。

そして学びの成果として、なんとタイのグリーンカレーを作ってくれました!!うれしい~。昨年ドゥドゥを研修に派遣すると決めたときには全く想定していなかった、思いがけない「成果」で、こんなありがたい変化をもたらしてくれたアジア学院にこれまで以上の感謝を覚えました。

1枚目の写真は、ご飯とオクラのトマト煮(カメルーン風)、エビの煮込み(味付けはイタリアン風)、ほうれん草炒め。どれもとってもおいしかった!「料理をして食べる楽しみ」も活動を通じて伝えていきたいそうです。二枚目の写真は和食バージョン。ご飯、味噌汁、切干大根、春雨・きゅうり・錦糸卵の酢の物、かぼちゃのサラダ。東京にいるときより健康的な食事です。

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「自分で食べものをつくること」の大切さ

いっぽうで「食べもの」にまつわる悲しい変化も・・。南アフリカでは過去一年だけを見ても食べものがべらぼうに高くなっています。失業率の高い南アフリカで、多くの人びとはそんな値段のものを栄養バランスがとれる形でじゅうぶんに買えないのは明白です。

特に南アフリカではアパルトヘイト時代に、黒人の方々が行う伝統的な農業が破壊されてきたため、農村部でも農業をする方が少なく、私たちの活動地でも「お店」「現金」に大きく頼る暮らしをしている人たちが多く、とても心配になります。ドゥドゥと値段を見て「ひえ~」と叫びながら買い物をしていますが、同時に「だからこそ、少しでも、完璧でなくても自分たちで作ることはとても大事だ」と確認しました。

実際、JVCで活動しながら、自宅で食べる基本的なものを自分で作っているモーゼスとフィリップに「今年は雨が降らなくて大変っていうけど、いま実際に家でどんな食事しているの?」と聞いてみたところ、二人とも口をそろえてこんな風に言っていました。

下の写真はモパニワームとターマイツをトマト煮にしたものです。
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「メイズは確かに不作だけど少しはあるし、雨が少ないとバターナッツ(ひょうたん型のかぼちゃみたいな野菜・・)がよくできるしカウピー(豆)も植えている。これらは葉っぱも食べられる。デレレ(野草。モロヘイヤみたいでとてもおいしい!)も庭に生えてくる。ここではトマトが欠かせないからこれも買うとなると大変だけど、自分は玉ねぎとトマトを少し植えているから、基本的にはそういうもので足りているかなぁ」

他には果物や、虫(モパニワームという毛虫みたいなのと大きな蟻とバッタ)が採れるからそれを食べているそうです・・。この時期に研修などを行うとその際のランチにモパニワームやターマイツという大きな蟻が出てくることも。ちなみにこれらの食事、私はおいしくいただきますが、南アの活動地とは別の地域の出身であるドゥドゥは一切食べられません・・。

食べるものを自分たちでつくれる、まなかえる、ということは暮らしを支える大きな力になっているようです。

JVC南アフリカが目指すこと

JVC南アフリカでは現在、親を亡くすなど家庭環境が困難な状況にある10代の青少年たちとの活動を行っています。今年度までに目指していた成果が見えてきたので、2018年度以降は、これまでの経験を今の活動地から少しずつ周辺地域に広げていきたいと考えています。その際のキーワードが「若者」と「食と農」「自分でつくること=家庭菜園づくり」。自分で食べものをつくることは、今の暮らしの支えとなると同時に、将来を生きぬいていくための選択肢のひとつにもなるから、その大切さを若いうちに伝えておきたいというローカルスタッフの強い思いがあります。

新しく子どもケアセンターに通い始めた子どもたち、まずはセンターのスペースを使って菜園づくりを学んできます。その後、自分の菜園を持ち始める子もいえて、たとえば、子どもケアセンターに通うマーティン君が手がける菜園は年間を通じて何かしら植えているので、いつでも食べるもの収穫できる素晴らしい菜園です。そしてそんな青少年たちを、JVCの活動を通じて村の菜園づくりトレーナーになったフローレンスさんが、日々細やかに実践状況のフォローをしてくれています。

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子どもケアセンター内で菜園づくりを学ぶ子どもたち

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マーティン君(写真左)とフローレンスさん(写真右)。

農業の習慣がない南アフリカの農村部で、身近にあるものを使って食べものを作ることを伝えることには時間がかかりますが、10代の子どもたちの場合、意外にも「楽しみながらまず実践してみる」という様子が今の活動において確認されています。なかなか一筋縄ではいかないことも予想されますが、ドゥドゥ・モーゼス・フィリップの熱い思いは、同じ南アフリカ人どうしならちゃんと伝わっていくのではないかと期待しています。

次回の出張記もどうぞお楽しみに!

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