
JVCアフリカボランティアチーム 長嶺 睦子、鶴渕 鉄平
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今回で第3回のまるわかり講座、第1回、「アフリカの紛争のメカニズムを理解する」に続いて第2回「内側から紛争を考える」という講座を踏まえて、「資源と紛争と私たち」というテーマのもと、第三回目講座を行いました。
今回の講師は、国内でリサイクル運動を行い、市民事業のための非営利バンク"未来バンク"を設立した田中優さんを講師としてお招きしました。
「私たちの暮らし」からアフリカの紛争を見ることが出来、日本に暮らす私たちが「紛争」を止めるために出来ることがある事を学びました。
リサイクル運動から見えてくる日本のODA
リサイクル運動をやっていると意外なことが見えてくる。実は東京の家庭ごみは全体の1/24だったのである。ごみ増加問題原因はオフィスのOA紙ごみだった。私たちのライフスタイルとは関係ないところで、ごみが増えていたのである。
1980年頃は、リサイクル運動はうまくいっていた。ところが、その後リサイクル運動がうまく立ちいかなくなった。当初、1キロ100円で売れていたアルミ缶が1995年には30円でしか売れなくなっていた。スチール缶にいたっては、マイナスで引き取ってもらうようになってしまった。そのため人も動かなくなった。
なぜ、リサイクルアルミが安くなってしまったのか。理由は新品のアルミの値下がりである。リサイクルをするよりも新品のアルミを買い、使い捨てた方が安かったのだ。
安いアルミはどう作られるのか。なぜ安いのかを調べていくと、特に安いアルミを作っている国はブラジル、インドネシア。アルミは精錬時にとても多く電力を消費する。大量の電力を作るにはダムが一番安い。ブラジルにはツクルイ・ダム、インドネシアにはアサハン・ダムというダムがある。
どの資金で誰が作るのか?そのダムは日本のODAがお金を出す。インドネシアのダムでは日本の企業がダムを建設し、発電した電気の99%がアルミの精錬に使われている。電気は高圧線で消費地に運ぶため、周辺の人々の生活する低圧の電力には使えない。結果、ダム周辺には電気が届かない。インドネシアの副大統領は、「アサハン・ダムの援助は借金の援助であり、生産したものはまったくインドネシアの利益にならない。」と言っている。
日本のODAは借金の援助?一次産品と言われる原料は買い手に価格の決定権がある。その構造の中では日本の言い値で売らなくてはならない。ブラジルでは作るために消費した電気代よりもアルミ製品の価格の方が安い。赤字輸出である。日本のODAの55%は貸付で、45%が贈与である。日本が「援助している」と思っていても、相手国にとっては、「援助に値しない」と言われる現実も存在する。
途上国の債務と先進国
途上国の債務が増えると、資源価格が下がる。借りた金利がふくらみ、元金を返し終わっても金利が残る。工業発展途上国は工業製品が作れない。それ以外の輸出品は、特許、サービス、原料だが、原料以外は先進国が独占する。ところが原料の種類は30〜42種と限られている中で、100を超える債務国が同じものを生産したため、値崩れが起こったのだ。
債務国NO,1のブラジルの場合、最もポピュラーであった豆料理が、外貨を稼ぐための輸出作物の生産によって耕地が失われ、人々は食べる物を失った。現在では国の半分が十分な栄養を採れずにいる。先進へ輸出できる商品を考えると、現地の人々が食べている小魚では輸出できないから、映画『ダーヴィンの悪夢』のナイルパーチの放流は必然であった。
アフリカのチョコレートの原料となるカカオを生産する子どもたちは、チョコレートの味もにおいも知らないのが現状だ。また、債務が原因で、アフリカのザンビアという国の債務はセカンダリーマーケット(債務を売り買いするための中古市場)で、売りに出され、債務を買い取ったハゲタカファンドによって訴えられ、何倍もの額を政府から要求された。これによって教育や福祉・医療への金は削られていった。
資源と紛争
中国の場合、石油産出国であるにも関わらず、石油が国内需要に追いつかない状況にある。もはや世界に巨大油田は見つからないので、やがて石油消費生産に生産が追いつかなくなる。石油採掘技術の最も優れているアメリカでさえ、石油の生産は下がり続けている。こんな中、アメリカは中国、イラン、ロシアを避けて、アフガニスタンにパイプラインを通そうとしていた。それに反対していたのがタリバン政権であった。イラク戦争後、4ヶ月。このパイプラインは復活した。石油、天然ガス、鉱物資源、そのパイプラインと水が豊かな土地には紛争が生じやすい。石油会社は関係ないと言われているが、全ての石油メジャーが9.11以降史上最高の利益を得ている。
アフリカの西海岸で量は少ないが質の高い石油、鉱物資源、ダイヤモンドが紛争の種となつている。コンゴのタンタルなど、携帯電話に必要な希少金属のために紛争が起きている。
軍事支出と私たちのお金
世界の軍事支出は伸び続けている。この伸びは戦争中か戦争に向かう時期に起こる。もし、世界の軍事費の一年分を世界の紛争防止や債務免除などに使ったら、良いことすべてを実現しておつりがくる。私たちはこの地球で助け合うことにお金を使わずに、殺し合いに使っている。アメリカの軍事費は全体の約半分を占めているが、その資金源は私たち日本人の貯蓄だ。政府は短期国債で集めた資金を使って、アメリカの国債の38%を買っている。私たちの貯蓄である郵便貯金はODAとなり、環境破壊や人権侵害へと使われている。私たちのお金を人任せにしないこと、それが未来と現在の社会をよい方向へつなげるのだと思う。
私たちが出来ること
この紛争のある社会を変えるには?3つの方向性がある。
1つめは自分が政治家になるなり、社会へ影響を与えるポジションに就くなりして、社会を下から上、上から下に動かすタテの運動だ。2つめは多くの人に事実を伝え、ムーヴィメントを起こすヨコの運動。3つめは新たな方法を考え、現実にやってみせるナナメの運動。この3つの方向を同時に進めることが重要だ。そのナナメの運動として、非営利で小規模なバンクを作り出した。それが「未来バンク」だった。ap bankはMr.childrenの桜井さん、小林武史さん、坂本龍一さんらによって設立された、環境系NGO、NPO、個人に非営利で融資するNPOバンクの一つだ。
省エネから創エネへ
私たちの身近な家庭内の品目を省エネ製品にしていく事で、石油に頼らずに暮らす社会をつくることも可能だ。私たちが生活していくために必要としているのは「電気」ではなく、「明るさ、ぬくもり、便利さ」である。省エネから徐々に創エネへとシフトしていけばいい。
また、ブルーベリー200gをアメリカから輸入するのではなく、長野県のものに代えれば、運搬用CO2を大きく減らす事が出来る。地産地消の社会が成立するようになれば、社会のヒエラルキーは逆転する。自然エネルギーが成立すればエネルギーが余り、余ったエネルギーをどう使うかを考えるようになる。地域が社会をつくり、中央集権制は必要なくなる。私たちの生活は、アフリカの紛争を含めた犠牲の上に成り立っている。私たちは地域自立できる社会に向けて、自分たちの生活を意思を持って変えるべきである。
今回の講座では具体的に私たちはどうやったら紛争のある社会を変えられるのかという事を田中優さんのリサイクル運動を通して考えるきっかけをもらいました。私たちが必要としているのは紛争の上に生産されるものに囲まれる社会ではありません。
次回からはルワンダ(第4回)、南アフリカ(第5回)の個別事例から「紛争」をもっと深く理解して行きます。ご期待ください。
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