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パレスチナ

2013年度 ガザ「子どもの栄養改善支援」開始しました

当事業は、2013年4月より、ガザ市の3つの地域から、ガザ地区北部に位置するジャバリヤ市ビルナージャへ対象地を移行しました。対象者は地域でトレーニングを受ける女性ボランティア30名と、地域に住む5歳以下の子どもとその母親や家族など5,000人で、昨年に引き続き地域ぐるみで子どもの栄養改善の枠組みができるよう、地域の人々と共に活動しています。

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(ビルナージャの子どもたち)

4月からは地域で募ったボランティア30人への研修が始まり、座学研修に加えて、家庭訪問を通じた実地研修を行っています。ボランティアたちは、必要な栄養素や正しい子どもの成長、コミュニケーションスキルなど、活動に必要とされるさまざまな内容を座学で学び、更に実地研修を通じて、子どもの栄養状態の検査方法や、育児カウンセリングを学びます。また実地研修中は、パートナーNGO「人間の大地」の職員である保健指導員3名がボランティアの指導に当ります。

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(ボランティア座学研修の様子)

ガザでは2012年11月の8日間にわたる紛争以降、急速に復興が進みました。しかし、2006年以降の封鎖が解消されたわけでなく、失業率は30.3%と依然高いままです(2011年 国連人道問題調整事務所発表)。また、いつ何時空爆を受けるかわからない状況の中で、人々は行き場のない不安やストレスを抱えています。十分な体力、能力、やる気があるのに働けない、ガザの外に出る自由もない。それは、自分たちの努力だけでは解消できない大きな壁です。

「人間の大地」の医師であるユニス先生の話によると、ここ数年、ガザでは急死する人が増えているそうです。またそれらの多くは心筋梗塞や脳溢血であり、その原因はストレスだろうとの見解が主流となっているそうです。つまり、働く機会もないガザでは、目に見える貧困問題に加えて、封鎖によるストレスの問題も非常に大きくなっていることがわかります。

この様な中、JVCではここ数年、ガザの人々の意志を尊重しながら、子どもの栄養状態を改善する枠組みを地域レベルで作る動きを支援してきました。これは、モノをあげるだけでなく、ガザの人々が地域で活動する機会を作り、ストレスを和らげる役割や、人々の「何かしたい」と思う意志を尊重したいと思った結果でもあります。また、問題の根本である封鎖を解消するために、政策提言を含む国際的アドボカシー活動への参画も重要だと考え、現地で活動する国際NGOメンバーシップにも加わり、声明等への署名活動や政策提言活動も積極的に行っています。

JVCは今年度も栄養失調予防事業を軸に、包括的視点に基づく活動を続けていきたいと考えています。定期的に活動の様子を現地便りコーナーでお知らせしますので引き続き応援をお願いいたします。

執筆者

金子 由佳

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