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パレスチナ

JVCはガザ地区への攻撃が悪化することを強く懸念しています 11月9日からのガザ・イスラエル情勢について【1】

11月9日夕方から悪化しているガザの状況について、15日現在までに得られている情報をお伝えしたいと思います。9日にパレスチナ人武装勢力がイスラエル兵の乗ったジープに攻撃を行い、4人のイスラエル人が負傷したことをきっかけに、15日までにパレスチナ側からイスラエル境界線付近に発射されたロケットは130発を超え、またイスラエルから報復の意味で行われたガザへの空爆も、200発を超えています。

これまでにパレスチナ人18人が死亡、100人近くが負傷し、またイスラエル側にも3人の死者が出ています。ガザの人々が殺されるのは、いつの間にか日常と化してしまった中でも、2008年ガザ攻撃以降最悪の状況に、JVCスタッフの間にも緊張と心配が渦巻いています。

10日にはエジプトを仲介とした停戦交渉も始まりましたが、現在のところ合意には至っておらず、ガザの事実上の政府ハマースの要人が14日にピンポイント爆撃で殺害されて以降、イスラエルからの空爆は定期的に続いています。また、これへの報復として、ガザ側から発射されたロケット弾が、イスラエルの文化・経済の中心地であるテルアビブにまで達したとのニュースもあります。

10日以降、ガザでJVCがともに活動している地元NGO人間の大地(AEI)のスタッフ、アマルにも頻繁に電話をかけて現地の様子を聞いていますが、今までのところJVC今年度事業地ガザ市シャジャイヤ、トゥッファーハにおいて、けが人が出ており、受益者である現地の女性の家族にも家屋破壊の被害がありました。15日午前10時も、アマルに電話しましたが、普段は落ち着き払っている彼女も少し混乱し、「あちこちで爆撃の音が聞こえて、子どもたちも怯えきっている」とあわただしく説明しています。家からは一歩も出られず、食料の買い出しはもちろん、学校もすべて閉鎖されて、ガザの人々は固唾を飲んで状況がこれ以上悪化しないように祈っています。

また、JVCの東エルサレム事業パートナーパレスチナ医療救援協会(PMRS)スタッフにも、ガザにも事務所を持っており、過去にも緊急支援を専門として行ってきた団体と言うこともあって、15日に同じように電話してみましたが、ガザのPMRS事務所はすでに緊急支援を開始していて、ヨルダン川西岸地区の本部事務所からも緊急支援物資を発送することになったと言っていました。

今回の空爆については2008年当時と様子が異なり、早い段階で停戦交渉の動きがあり、またイスラエルの大統領選挙を年明けに控えてイスラエルの民意が過敏なこともあり、状況がこれ以上悪化するかどうかは判断が難しいところだと言われていますが、イスラエル側に死者が出たこと、ロケットがテルアビブまで届いたということ、またイスラエル大統領ネタニヤフ氏が、15日夜「必要があれば、イスラエル市民を全力で守るためにあらゆる手段を講じる」と演説したように、悪化することも強く懸念されています。

JVCはパレスチナ、イスラエル双方による軍事攻撃に強く反対するとともに、ガザの人々の通常の生活を根こそぎ覆すこのようなイスラエルの空爆を、強く非難します。また、ガザの人々、イスラエルの人々が一日でも安心して暮らせるように、JVCは引き続き日本社会と国際社会の人々に、この状況を理解し、また可能な限りのアクションを起こすように求めて行きたいと思います。

これについて、状況の改善が見えるまで、毎日JVCホームページでアップデートします。

執筆者

金子 由佳

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