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平和で抑圧も貧困もない地球社会をめざすNGOは、今どのような時代に立っているのでしょうか。
私たちの活動現場であるラオスやカンボジアでは人々の生活を支えている森林が、パルプやゴム、ココナッツの植林のためにすさまじい勢いで伐採されています。手放しの貿易の自由化によって、企業進出に規制がかけられなくなっている結果の現れです。タイでは農業の自由化で農産物の価格が下落し、農家の借金は増え土地を失う農民も増えています。こうした現象が日本の農家でも同時並行的に起こっています。
一方スーダンのダルフールでは「史上最悪の人道危機」が進んでいます。この遊牧民と農耕民の紛争の原因の一つは、地球温暖化による牧草地の減少にあるといわれています。そしてイラクでは2003年のイラク戦争が泥沼の結果を生み出しています。イラク開戦に石油の利権が絡み、現在の内戦状況がまた石油の利権争いによって加速されています。人々の生死に関わる現場で起こっていることが、資源の争奪戦争、地球の温暖化、貿易の自由化と地球規模の格差の増大といういう現象を通して二重三重の入り組んだ構造をなして私たちの生活に繋がっています。私たち日本人自身が、JVCが「支援」で関わる現場の問題の当事者になっています。
JVCは1980年インドシナ難民の大量流出という地球社会の危機の中で生まれました。JVCの先輩たちが夢見たインドシナの和平は15年前に実現しました。しかし銃弾飛び交う「熱い戦争」も、貧富の格差の増大によって生まれる「静かな戦争」も、世界各地で深刻さを増しています。
27年間のJVCの経験は、地域開発と人道・復興支援の現場で小さくとも時代を切り開く代替案として着実に実を結んできています。グローバリゼーションと対テロ戦争の時代にあって、絶望してしまいそうな深刻な事態が世界各地で起こっている中で、それでもなすべきことの方向性は見えているはずです。世界各地でJVCがその地の人々と紡いできている取り組みを、世界を変えるメッセージとして発信し続けていきたいと思います。NGOが希望でありつづけられるように。
特定非営利活動法人 日本国際ボランティアセンター(JVC)
代表理事 谷山 博史
(JVC2006年度年次報告書より)
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