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「土地規制法による沖縄県久高島への注視区域指定に厳重に抗議し、解除を求めます」に賛同しました

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JVCは「重要土地調査規制法」について、安保法制と同じく戦争準備に関連する動きであり、特定秘密保護法や共謀罪など市民活動スペースの縮小に連なるものと考え、反対の緊急声明などに賛同してきました。この規制法の具体化である今回の注視区域指定は、市民の生活を脅かし、沖縄を台湾有事の前線と考えた軍事化への動きでもあるため、表記の声明文に賛同しました。声明の内容は以下の通りです。
※一部省略しています。

土地規制法による沖縄県久高島への注視区域指定に厳重に抗議し、解除を求めます

内閣府は、2023年7月12日、土地規制法(重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律)による第2回目の注視区域及び特別注視区域として全国で161カ所を告示しました。この法律そのものが憲法に違反するものであり、全ての指定が問題ですが、今回有人国境離島として注視区域に指定された沖縄県南城市知念久高島は、内閣府の説明する注視区域指定の要件にも該当しないものであり、指定の不当性は明らかです。

この久高島の注視区域指定に対し抗議するとともに、すみやかな指定解除を求めます。

指定区域候補地を審議した土地等利用状況審議会で内閣府が説明した「区域指定の基本的な考え方」では、「注視区域又は特別注視区域の指定に当たって留意すべき事項」として、国有地が所在する場合や、機能阻害行為の兆候の把握が容易であるかどうかといった地域の特性等の事情が存在する場合は、指定の要件に該当しても、それらの区域を注視区域又は特別注視区域として指定しないことがあるとしています。

この「基本的な考え方」からすれば、久高島は注視区域としても指定されない区域に該当します。

久高島は、琉球の創世神アマミキヨが天からこの島に降りてきて国づくりを始めたという琉球神話聖地の島です。島内は国有地や電力会社所有地などの一部を除いて、土地を自治会である「字久高」(あざくだか)名義で登記して「総有」しており、琉球王朝時代の地割制度が唯一残っている地域です。久高島では、リゾート開発が持ち上がったことをきっかけに、1988年(昭和63年)に「久高島土地憲章」が作られました。憲章は、このような土地所有形態の慣行を維持しつつ「良好な自然環境や集落景観の保持と、土地の公正かつ適切な利用・管理との両立を目指す」ことを目的としています。そして、土地を利用できる者は先祖代々の字民及びその配偶者か、字外出身者でも現在字に定住して利用権を承認された者だけに限られます。宅地や農地、墓地等の利用は先祖からの従前どおりの利用が許され、新たにこれらを利用しようとする場合は土地管理委員会と字会の承認が必要となります。そして、子孫不明の宅地や5年以上農耕しない農地、あるいはその他の利用で許可を受けた土地は利用が済み次第、字に返還する必要があります。

こうしたことから、久高島は、土地の利用に関しては「機能阻害行為の兆候の把握が容易」な地域であることは明白です。2023年6月の南城市議会でこの点について瑞慶覧長風議員が質問したところ、古謝景春市長はこのような土地総有形態を前提としつつ「危険な行為をする建物はまずないだろうということで、法律があっても久高島には何ら影響ない」と答弁しています(報道)。市当局としても、久高島は機能阻害行為の兆候の把握が容易な地域であることを認めているのです。

ところで、内閣府は、2023年8月1日に開催された市民と国会議員との共同ヒアリングにおいて、久高島の指定が上記理由から「基本方針」に明示された例外に当たるとする瑞慶覧長風議員や市民からの疑問に対して、次のように答えています。「国及び地方公共団体以外の者が所有する土地が所在するものを対象としている旨基本方針に記載しており、字は国及び地方公共団体と同等とは考えられず、機能阻害行為の兆候の把握が容易な地域とは考えていないことから久高島は区域指定の対象としている」。しかし、基本方針の例外規定に「地方公共団体が所有する土地」という記載はありません。第 4 回審議会資料「注視区域及び特別注視区域の指定について」も同様であり、例外の適用は前述のとおり「国の所有する土地」か「機能阻害行為の兆候の把握が容易な地域」のみです。従って「字は国及び地方公共団体と同等とは考えられない」から久高島を指定の対象としたというのは事務局による恣意的な解釈でしかありません。法律にも基本方針にもない基準を捏造したとの誹りさえ受けかねません。しかもこの件については第 5 回審議会においては「同島(久高島)については特段議論されていない」とのことです。

以上のことから内閣府は、久高島の指定については久高島の特性を十分考慮したとはいえず、手続きにおいても適正を欠くものです。ヒアリングにおいても久高島の特性を十分考慮したとは明言できず、指定が妥当であったかどうかを再検討するかどうかについて持ち帰って検討すると回答しました。

沖縄県は、土地規制法によって区域指定するとしても真に最小限度なものとすることを、繰り返し求めています。このことを待たずしても、住民の基本的人権を制限するおそれの高い区域指定を安易に行わせることはできません。

政府は、初回と第2回合わせて、既に219カ所を注視区域又は特別注視区域に指定しています。本来、これらの区域が真に必要なものであったかどうかは個別に検証されるべきですが、少なくとも久高島は、以上述べたように注視区域に指定する必要は全くないことは明 らかです。

以上のとおり、久高島の注視区域指定に対し厳重に抗議するとともに、速やかに区域指定 を解除するようここに強く求めます。

土地規制法廃止アクション事務局

土地規制法を廃止にする全国自治体議員団

沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック

原文は以下のファイルをご参照ください。

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