本年6月1日~3日、第5回アフリカ開発会議(TICAD V)が横浜で開催されます。同会議の目玉として準備されてきたのがプロサバンナ(ProSAVANA)事業です(*注1)。
同事業は、2009年に合意された、「日本・ブラジル・モザンビーク三角協力によるアフリカ熱帯サバンナ農業開発」の略称で、ブラジルのセラード開発を参照事例として、モザンビーク北部3州の1000万ヘクタール(日本の耕作面積の三倍)を超える地域を対象とした大規模な農業開発計画です。
既に、大々的な宣伝がなされていますが、昨年10月来、現地の農民組織や市民社会組織は、本事業に強い懸念を表明しています。その理由は、当事者である地域農民の主権の軽視、事業全体における目的と手続きにおける不透明さ、アグリビジネスによる土地収用や遺伝子組み換えの導入への危惧などとされています。
さらに、最近明らかになったマスタープラン中間報告の中身の検討から、プロサバンナ事業が、現地に暮らす農民の権利を狭め、アグリビジネスによる容易に土地収用に道を拓くものであったことが、現地並びに国際市民社会の声明により明確になりました。
- モザンビーク・国際市民社会声明
- 【原文・英語】http://www.grain.org/e/4703
【和訳】http://mozambiquekaihatsu.blog.fc2.com/blog-entry-21.html
2007~8年の食料価格高騰以来、世界中で土地をめぐる紛争が激化しています。特に、アフリカはターゲットとなり、中でもモザンビークでは世界統計で最多の土地取引がなされています。世界的にも先駆的な土地法(1997年)が農民の手によって制定されたモザンビークでもこのような現状にあります。
このような事態を受け、TICAD Vを前に、2月に来日したモザンビークの農民組織UNACの代表らが、再度来日し、問題を訴える他、この問題に長年かかわってきた国際NGO・GRAINの調査責任者、そしてブラジルの市民社会よりセラードとプロサバンナの調査を実施したFASEが来日します。
今アフリカで何が起きているのか、小農はどのように暮らし何を求めているのか、プロサバンナ事業はこの点においてどのような問題を抱えているのか、日本の我々はこれらの問題にどのように関わるべきなのかについて、皆さんと一緒に考えたく、TICAD V直前の5月29日(水)に、開催地横浜にて、次の二つのイベントを開催する運びとなりました。ふるってご参加ください。
- (1) 国際シンポジウム
5月29日(水)18時~20時半@産業貿易センターB102会議室 - (2) 市民社会ラウンドテーブル (このページです)
5月29日(水)13時半~16時@産業貿易センターB102会議室
この問題に関して、JVC会報誌『Trail&Error』においても連続で取り上げています。ぜひこちらの記事もご参照ください。
日時 | 2013年5月29日(水)13時半~16時 |
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会場 | 産業貿易センター B102会議室
住所:横浜市中区山下町2番地 (会場への地図) 電話:045-671-7111 |
内容 | 急激なグローバル化による農民への影響は、アフリカに留まりません。日本でも、アジアでも、南米でも同様です。また、日本のODAを通じた農業投資や土地問題は、世界各地で発生してきました。これらの問題について、モザンビーク、ブラジル、 日本の3か国、そして国際市民社会は何をすべきか、を話し合います。「農業投資」、「土地争奪」、「農民主権」、「食料主権」などをキーワードに、議論し、今後のローカルあるいはグローバルな行動に繋げます。 |
参加費 | 無料 |
定員 | 50名 |
主催 | (特活)日本国際ボランティアセンター(JVC)、(特活)アフリカ日本協議会(AJF)、(特活)オックスファム・ジャパン、(特活)WE21ジャパン |
協力 | モザンビーク開発を考える市民の会 |
申し込み/ 問い合わせ先 | ※NGO関係者のみ受け付けます。一般の方はシンポジウムにご参加ください。 できるかぎり下の申し込みボタンよりお申込ください。(締切、5月24日(金)正午) 問い合わせ先:JVC南アフリカ事業担当 渡辺 |