【東エルサレム】女性の生計向上とエンパワメント事業 2024年度活動報告
パレスチナ女性たちは「家父長制による男性優位のアラブ社会」の中で、自由な外出、就労、就学などの権利が著しく制限されていることに加え、イスラエルの占領によりパレスチナ人全体の人権や日常生活が脅かされ続けています。
2024年度の「女性の生計向上とエンパワメント事業」の活動目的は、占領や社会経済的・文化的に負の影響を受けやすい 女性を対象に、その自立を目指すことです。
活動地は、シルワン・アットゥーリ地区です。
受益者層は、パレスチナ人成人女性および青少年女子です。成人女性は延べ128人、12~17歳の青少年は延べ67人が参加しました。
職業訓練を修了した女性は103人、ビジネスを立ち上げたまたは計画している女性は72人となりました。
シルワン・アットゥーリは、1948年にイスラエルが建国を宣言した際に多くの避難民が流入した地区で、東エルサレムの中でも貧困層が多く、同時にイスラエルによる家屋破壊や土地収奪が頻発しています。このような占領に加え、パレスチナ社会の伝統的な慣習によって、女性の選択肢が狭められています。こうしたなか、女性の社会経済的な自立を目指して職業技術訓練とビジネススキル研修を実施しました。また学びの実践と情報共有を目的としたバザーや交流会の開催、ビジネスを興した人の経験談から学ぶセッションや、青少年向けのライフスキル研修も実施しました。
ヘアカット研修の様子
職業訓練とあわせて、新しいことに取り組む意欲や、自尊感情をサポートするライフスキル研修も取り入れました。トピックに合わせてグループや個人でのワークを取り入れ、コミュニケーション能力、問題解決力、ストレス対処術などの研修を実施しました。また、既に活躍している女性の経験を聞く場を設けることで、自分の将来をイメージし、具体的なステップについて学び、考える機会となりました。職業技術訓練ではコース毎にSNSのグループを作り、終了後も参加者が気軽に情報交換や相談ができるよう、継続的な学び合いや励まし合いの場となっています。
ライフスキル研修の様子