REPORT

パレスチナ

パレスチナを支援するイスラエルのNGO: 4) PHR-Israel : Physicians for Human Rights- Israel

お待たせしました。イスラエルNGOの紹介、第四弾です。


(同団体ウェブサイトより)

団体の概要

PHR-Israel (Physicians for Human Rights-Israel)は、"Rights to Health"が皆に平等に保証される、より公正で包括的な社会を促進するために尽力するNGO・NPOです。
PHR-Israelは、1988年の第一次インティファーダ開始頃、イスラエル人医師のDr. Ruchama Martonが主導し、イスラエル人医師とパレスチナ人医師が結束して設立されました。同団体の活動内容は大きく二つに分かれています。一つ目は人道的援助や草の根の医療提供などの直接的なサービスの提供、二つ目は長期的視野で政治面での変化を促す活動です。


(同団体ウェブサイトより)

プロジェクト内容

PHR-Israelは、イスラエルの刑務所内で発生している被収容者・拘留者に対する人権侵害に対する抵抗運動、そしてパレスチナ内での医療チームや救急車への攻撃が増している中でも医療事業を遂行するため、状況を記録し、医療関係者の安全と移動の自由に対して公安省やCOGAT(Coordination of Government Activities in the Territories), World Medical Association(世界医師会)等に現状の改善を働きかける運動を行っています。

また、ヨルダン川西岸地区、ガザ地区に移動診療所や無料診療所を設置しています。パレスチナの団体とも連携し、占領に反対しパレスチナと連帯するための活動の一環として、移動診療所を運営しています。移動診療所は、現在は毎週土曜日にヨルダン川西岸地区に医療団体を派遣し、1日200〜300人の患者を診察しています。ガザ地区では数週間に一度のペースで診療所を設置し、専門治療、特に外科治療を行っています。また、無料診療所は医療保険のない人を対象に、事務所に併設したクリニックで診察を行っています。


(同団体ウェブサイトより)

被収容者・勾留者に対する人権侵害とは?

被収容者・勾留者の生活は、一般の目には届きにくく、外部からの十分な監視もないため人権侵害の危機に晒されている状況です。特にパレスチナ人収容者・勾留者に至っては、収容環境の差別問題や尋問中の拷問や暴力などが発生しています。

イスラエルの制度では、収容に関してはThe Israeli Prisoners Service(IPS)と警察と軍の三つの機関が役割を担っています。医療サービスにおいてもそれぞれに定められた法律に従って被収容者に提供されていますが、医療を専門としない機関に従事する者が提供をするため、十分な医療の提供が行われなかったり、内部的な監督に留まっている状態となっています。また、被収容者の詰め込みや不衛生な環境、独房の延長なども問題となっています。

PHR-Israelはこの問題に対して、IPSとの対話を試み、外部審査を受け入れ透明性を確保するように促したり、収容施設内での被収容者・勾留者に対する拷問や暴力に関する実態の公表や、彼らが自ら置かれた状況を是正することを求める権利の実現を目指しています。

参考リンク

・Physicians for Human Rights- Israel ウェブサイト
・Physicians for Human Rights- Israel Facebookページ
・Physicians for Human Rights- Israel Twitterページ
(セキュリティー上の問題でアクセスできない場合がございます。)
※本記事は現地事務所の元インターン・小寺さんを中心とした聞き取り調査に基づいています。

取材
・小寺愛(元パレスチナ現地インターン)
・金子由佳(パレスチナ現地代表)

編集
・山本千博(パレスチナ事業専属ボランティア)
・山村順子(パレスチナ事業担当)

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