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パレスチナ

PMRS巡回診療(アッサムーニーエ)[1]

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巡回診療の様子。「医薬品とドクターは常に足りない状態」

ガザに入って2日目の1月27日、ガザ、ゼイトゥーン地区の「イッサムーニア」と言われる地域で、PMRS(=Palestinian Medical Relief Society、パレスチナ医療救援協会)の巡回診療に同行しました。この地域には、サムーニー家の家族が多く住んでいるため、「イッサムーニア」と呼ばれています。

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女性医師も巡回診療に参加。「妊婦さんたちの健康状態が悪い」

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破壊された養鶏場。悪臭が立ち込める

巡回診療には、多くの人々が訪れていました。傷の手当てや、消毒、避難生活を続けていて体調を崩した人々などが、女性、子どもたちを中心に次々と訪れてきます。巡回診療に訪れたモハンマド医師は、「消毒的やガーゼなど、いくらあっても足りないくらいだ。また、衛生環境の悪い中、半壊の家やテントで生活している人々が多く、健康状態も悪い」と心配します。すぐ裏側にあった養鶏場が破壊され、何百羽というニワトリがぺしゃんこに潰れた屋根の下で死んでおり、そこからの悪臭がただよっています。PMRSの医師は「気分が悪くなるからマスクをしなさい」と言い、私たちはマスクをつけて歩きました。

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ひどい悪臭にマスクを着用して視察

手当てや診察を受けに来ていた子どもたちの様子を母親に聞くと、「夜中に幻聴を聞いて突然起きて叫ぶ」「トイレに怖くて行けなくなった」など、子どもたちの精神状態を心配する声が多く聞かれました。その家族が住んでいる家を訪問しました。お母さんはイスラエル兵がやってきて家の半分を占領したときのことをこう言います。

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兵士が立てこもった家の一部。内部はめちゃめちゃにされた

「最初の一週間、空爆が続く間に、多くの人々がこの家に避難してきたの。そして地上戦が始まってすぐ、この家に兵士がやってきたわ。私たちは片隅の部屋に全員閉じ込められたの。兵士たちは、銃を撃って家の中をめちゃくちゃにしたわ。家具は全て破壊されたし、トイレは水が流れないから、兵士はオリーブやその他の保存食が入っている容器を使ってまであちこちに排泄したの。ここに立てこもって、この2階の窓から銃で人々を攻撃したのよ。私たちは、17日間、この家の一部にずっと閉じこめられていた。最終的に、この家から白旗を揚げながら出て行けといわれたわ。そうして出て行く途中で足を撃たれた人たちもいた。兵士が来た時に撃たれて亡くなった人たちの遺体は、ずっと家の中に放置されたままだったの」

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壁にはイスラエル兵の残した文字

部屋の中にもひどく嫌なにおいが立ち込めていましたが、話を聞く途中で、自分たちだけがマスクをしているのが申し訳なくなり、マスクを外しました。彼らは「行く場所がない」と、その家の一部で生活を続けているのです。「食料配布は受けた?」と聞くと、「牛乳と、魚の缶詰が配られたけれどもそれだけ」と言います。水は現在、業者がタンクでやってきて無料で配布をしているそうですが、このような衛生環境が悪い中では健康状態の悪化が懸念されます。聞き取りを行っていると、すぐ裏の家から医師に「すぐに来てほしい」と男の子が駆けてやってきました。(つづく

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家の中で発見された薬きょう

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