
【東エルサレム】女性の生計向上とエンパワメント事業が終了しました
2026年2月、5年間にわたり実施してきた女性の生計向上とエンパワメント事業の活動が終了しました。
占領による抑圧や家父長的な社会構造など様々な困難に直面しながらも、女性たちが自分の力で未来を切り拓こうとする姿に、私たち自身も多くの学びを得てきました。

料理コース・スイーツ作りの研修を修了した女性たち
占領による抑圧下で社会的にもっとも脆弱な立場に置かれ、様々な困難に直面している東エルサレムの女性たち。JVCは、パレスチナの女性支援を行う現地NGOと共に、職業訓練やビジネスを起こすための研修などを通じて、彼女たちの社会的経済的自立をサポートしてきました。
需要が高く、また店舗などを構えなくても始められる小規模ビジネスという観点から、職業訓練は「美容コース」と「料理コース」を用意し、2025年度は延べ146人が参加しました。
美容コースでは、ネイルやメイクアップ、ヘアアレンジ、料理コースでは菓子作りやフルーツカッティングなどの訓練を行いました。
また、職業訓練に合わせて、PRや税制度などを学ぶビジネススキル研修、ライフスキル研修も実施しました。

ビジネススキル研修の様子。広報やマーケティング、税制度などを学ぶ。
2025年に研修に参加した女性のうち既に小規模ビジネスを開始したのは83人、2年以内にビジネスを開始する予定の人は16人と、半数以上の人が収入を得ることにつながっています。
また、職業訓練や様々な研修を通じて様々なスキルを身につけただけでなく、彼女たちの心のあり方にも変化をもたらしています。
当初は人前で話すことにも躊躇いがあった女性が、職業訓練や研修に参加する中で少しずつ明るい表情を見せ、自信を取り戻していく様子を私たちは何度も見てきました。
アンケートでも「参加する前後を比較して、自分自身が変化したと思うか」という問いについて、93%もの女性が、変化したと回答しています。
料理コースに参加した女性達からは、前向きな変化の声が寄せられました。
これまでお菓子作りは苦手で避けていましたが、研修で一から学んだことで自信がつきました。家の環境に課題はありますが、いつか小さなビジネスを始めたいと思えるようになりました。(ジハーンさん)
研修を通じて、いつか自分のサイトで、作ったお菓子を発信したいという気持ちが芽生えました。まだ準備中ですが、前向きに考えられるようになりました。(サーラさん)
2025年度の研修の様子や講師や参加者からの声は、現地から届いた動画でも紹介しています。ぜひご覧ください。
JVCは5年間で、さまざまな背景をもつ女性たちが力強く前にすすむ姿を見守りながら、東エルサレムで女性たちを支えることの大切さを強く感じてきました。
一方で、彼女たちが直面する状況の背景には、より若い時期に自分の将来について考えたり、様々な選択肢を選べる環境が不足しているという課題があることも見えてきました。
東エルサレムでは、占領下という特殊な教育環境や貧困、学校の統廃合により、青少年の約50%が高校を卒業せず、職業選択の幅が狭められています。特に女子生徒は、進学や就業に関して家族からの理解を得られず、希望する進路を諦めざるを得ない場合もあります。
また、パレスチナでは標準化されたキャリア教育のカリキュラムがなく、自分の将来について正しい情報や知識を得る機会がほとんどありません。特に東エルサレムの青少年やその家族は、情勢によって変わる様々な制度を理解する必要があり、進路選択は単純でありません。

通学中の女子学生たち
そんな彼らが将来について考え、自ら将来を選択していけるよう、JVCとAWCは2026年3月からキャリア教育を通じた青少年への支援を始めることにしました。
私たちはこれからも現地の人びとの声に耳を傾けながら、支援を続けていきます。
新しい活動についても今後発信していきますので、ぜひ応援いただければ幸いです。