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アフガニスタン

娘の夢、母の夢 ~識字教室第一期修了生の声~

JVCはアフガニスタンで、現地パートナー団体YVOとともに、教育活動に取り組んでいます。15歳以上の男女が、9ヶ月かけて事業地での多数言語パシュトゥ語の読み・書きと算数を学び、アフガニスタンの基準で公立小学校3年生に相当するレベルを目指します。教室の場所、教師の選定や調整などを村人にも担ってもらい、村全体で参加する協力体制を築いてきました。外部からの派遣ではなく、村ごとに当地出身の教員を選んでいることが特徴です。

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自然光で学ぶ生徒の皆さん)

2018年度から始まったこの活動、第一期は約280人が修了し、そのうち9割が女性でした。修了生に行ったインタビューをご紹介します。

【マータバさん(36歳女性)ラジーア先生が教える識字教室修了生】
私には10人の子どもがいます。実は、この教室の先生、ラジーアは私の娘なんです。私も10代の頃、学校に行きたかったけれど、治安が悪すぎてその夢は叶いませんでした。だから自分の子どもには自分のような思いをしてほしくなくて、息子だけでなく娘たちも学校に通わせました。その分、家事は私一人で担いました。ラジーアはとても優秀な成績で高校を卒業しました。2018年にJVCが私達の村で識字教室を開始したとき、ラジーアは教員に応募し、採用されました。そして私に言ったんです。「お母さんはずっと読み書きを勉強したいと言っていたね、でも私たちの教育のために自身を犠牲にしてきた。私はお母さんのおかげで"教育を受ける"という自分の夢を叶えました。今度は私にお母さんの夢を叶えさせてほしい」と。そうして私も、遅ればせながら、娘の教室で、文字を学びました。名前も書けるし、アルファベットも数字も読めるようになりました。

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【アカルメナ(16歳女性) ラジーア先生が教える識字教室修了生】
小さい時、治安がとても悪くて学校に通えませんでした。JVCの識字教室は近所で実施されるので参加することができました!修了後、もっと学びたくて、両親に学校に通わせてほしいと頼みました。JVC識字教室の修了書を学校の校長先生に見せると、6年生への編入が認められ、今、毎日通っています。いつか大学に行って、私も先生になるのが夢です。(スタッフ談:家族が行政関係者と話し合い、入学が認められたとのこと)

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【シャフィカさん(50歳女性)ハジラ先生が教える識字教室修了生】
私は夫が病弱で、家族のために働くことができません。以前は夫を助けることができなかったのですが、識字教室の修了後には文字と計算を覚え、自宅で小商いをはじめました。服、靴、クリーム、化粧品など、女性が好むもの、買い求めるものを揃えています。価格をつけたり、売買をするのにも困りません。とても嬉しいです。

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特に最初のマータバさんの話には、"教育を受けること"が夢だと話す母娘の置かれている環境を思い、涙が出ました。他にも多く出たコメントでは、「携帯電話を使えるようになった」、「薬の使用期限が分かるようになった」、「大事な書類の見分けができるようになり、間違って捨てることがなくなった」、「(コーランはアラビア語ではあるが)アルファベットが読めるようになり、これまでより勉強しやすくなった」、など日常生活の具体的な変化が聞かれています。

現在も2期生・約250人の女性・男性が識字教室に通っています。これからもこの地域にどのようなドラマが生まれるのか、今から本当に楽しみです。

アフガニスタンは私達の祖国)

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