REPORT

アフガニスタン

いくらなんでも、それは変えないで~

以前、アフガンスタッフの誕生日事情について記事を書きました。公式な書類上も、本当の誕生日が記載されていないことが多く驚いたものです。 しかし今回それを上回る事件?が起きました。

もうすぐアフガニスタン人の同僚、サビルラが日本にやってくる予定なので、今日は彼の日本滞在ビザを申請するために諸々の手続き(結構色々ある)を進めておりました。以前にも何度か来日したことがあるので、前回の情報を元に一日かけて書類を作成し、やっと一式を揃え、大使館宛にメール送信した、その直後。

「あ、パスポート新しくなってるから」と、スカイプのチャットでサビルラが話しかけてきました。最近になってパスポートを更新したようです。前回の来日の際にも、彼が自己申告していた生年月日とパスポートの生年月日が違ったため年齢が一致せずややこしい事態になったこともあり、「誕生日は前から変わってないよね?!」とまず確認すると、「うん、変わりないよ」とサビルラ。ほっとした直後に続いた彼のセリフに一瞬言葉を失いました。

「でも氏名は変わったよ」

・・・・え???

送られてきたパスポートのスキャンデータを見ると、確かに、今までの名前と違うものが表記されていました(!!) 以下が、その後の彼とのチャットのやりとりです。

8f9379322e59b4505df36ad021a1423d-1694480721.jpg

(名前変わったってどういうこと? - ちょっとだけ)

Maki:Why did you change your name in passport?I was so surprised..!
加藤:なんでパスポートの名前を変えたの?驚いたんだけど!
Sabir:I do not change my name it's the same, only my father name change
サビ:名前は変わってないよ、父親の名前の部分が変わっただけさ。
Maki:Ok........, now I'll have to change all the documents, I never thought that the name could change....
加藤:そっか...書類を全部書き換えないといけないよ、まさか名前が変わるなんて...
Sabir.: Yes please change the document according to new passport 
サビ:うん、新しいパスポートに合わせて変更して。
Maki : OK......
加藤:OK...
Sabir: Now all staff father name change in new passport
サビ:スタッフ全員、新しいパスポートじゃ名前変わってるから。
Maki:Oh, ok....
加藤:え、そうなのね...
Sabir: Family name add in the state of father name
サビ:父親の名前の代わりに苗字が入ったよ。
Maki: thank you for letting me know....
加藤:教えてくれてありがとうね...。
Sabir: Your welcome
サビ:どういたしまして。

01850715bfd63f881559063abe89f87b-1694480779.jpg

(加藤の返事が力ないやり取り)

実は、アフガンスタッフたちがこれまで使用してきたパスポートには、苗字の代わりに父親の名前が書かれていました。更新したパスポートには、晴れて?苗字が入るようになったので、今までとは違う名前が正式に記載されることになったのでした。

ついさっき提出し終えたばかりのビザ申請書類に急いで訂正を加え、送り直すこととなりました。「来日する当団体の現地職員は、今まで名乗っていた▲▲という名前が変更となりまして、この度は●●という名前で申請いたします。同一人物です。」という説明とともに...。周りの同僚たちには「またサビルラさんの誕生日が変わったの~?」と聞かれ、「いや、今回は名前が変わったんだよー」と答えました(笑) 複数の名前や誕生日が記載されるアフガン人のパスポート。きっと他の国でも、そういうことはあるのでしょうね。未だに手こずっている私は、まだまだ修行が足りません。

そんなこんなを経て、JVCアフガニスタン事業の副代表でもある、サビルラが10月に来日する予定です!ビザが無事に下りますように。

執筆者

加藤 真希(アフガニスタン事業担当)

高校生の時にラテンアメリカの情熱的な雰囲気に漠然とした憧れを抱き、同時にその地域の格差や貧困の状況に関心を持つ。大学の交換留学をきっかけにメキシコに何度か長期滞在し、先住民族地域でフィールドワークを行う地域開発学や、都市部のスラム地域での支援活動を経験する。その中で直面する圧倒的な格差の存在や、子どもたちが成長するにつれ夢を持つことが制限されていく社会構造をどうしたら改善できるのか悩む。大学在学中にJVCの調査研究・政策提言インターンを経験して以来、"国際協力"と"NGO"の世界に足を踏み入れる。メキシコから帰国した2012年度から現職となり、東京をベースにアフガニスタンにいる仲間たちと日々連絡を取り合いながらイスラムの世界やアフガニスタン情勢を勉強中。

一覧に戻る

関連記事

アフガニスタンでのYVOの教育プログラム

タリバン政権下での女子教育の再開(JVC会報誌 N...

終了事業:アフガニスタン 提言活動

戦闘勃発から一年 スーダンの現地の声を聞く