6/6(火)レポート:JVC代表の今井とスーダン担当の今中が登壇!〜堀潤スーダン写真展オープニングとギャラリートーク@恵比寿〜
こんにちは、JVCインターンの細川未智です!
6月6日火曜日、恵比寿の弘重ギャラリーにて、ジャーナリスト堀潤さんによるスーダン写真展と、代表今井、スーダン担当の今中を含めた、3人のギャラリートークに参加してまいりました!本記事でそのご報告をしたいと思います。ぜひお読みください!
スーダンの子どもたちは、目が青く見えるのだそうです。なぜ目がこんなにも青いのでしょうか。実は、これはスーダンの空が瞳に映っている色です。この色のことを「スーダンブルー」と呼ぶのだそうです。
私はこれが、堀さんがテーマとしている「希望」を意味しているのではないかと感じながら、写真を鑑賞しました。
しかし、今ではその「希望」が消えかけようとしています。
2023年4月15日。
スーダンの軍事衝突が発生した日。国軍(SAF)と即応支援部隊(RSF)との間で戦闘が勃発し、たくさんの人々が苦しい思いにさせられてきました。民主化の動きによって活力の上がっていた市民たちが再び暗闇に放り込まれ、毎日生死との闘いに直面しています。
スーダンへの支援活動を開始してから10年。JVCは生活インフラの再建から子どもの学校教育のサポートまで、様々な避難民支援を展開させてきました。
今回はJVCから、代表今井と、スーダン事業今中が、堀さんとのギャラリートークに登壇しました。今井は南北スーダンが分かれる前の2007年に初めてスーダンに赴き、合計で10年以上活動。今中はスーダンで活動を始めた2018年11月から、その民主化の動きを見てきたそうです。
登壇者たちの語る、現地の人々の生活や文化の様子や、彼らの思いとはどういったものなのでしょうか。私がイベントを見ていて印象に残ったことを、場面ごとにお伝えしていきます!
(写真のないものもあります。ご了承ください。)
トークの中では、堀潤さんがいくつかの写真を見せてくれました。
シーン① 政府側、反政府側を支持する人との間で対談?!
日本国民ではあまり馴染みのない、政治的な議論。スーダンではこれが日常的に行われており、何よりも驚きなのが政治的な立場関係なく議論が交わせられていることです。残念ながら女性が活発に関わっているわけではないですが、少なくとも男性の間では同じ空間、同じご飯を共にして、お互いの立場が違うなと思いながら、議論するのです。小麦粉をこね、油で揚げ、砂糖に漬けたおやつを、仲良く食べながらみんなで考えている様子を上手に捉えた写真が、私の印象に残っています。
シーン② 政治を超えた人々の協力の鍵:インフラ
教育はもちろん重要であり、JVCの大切にしている活動の一つですが、やはり現地で生きていくためには水が必要です。ハンドポンプを修理して水を汲めるようにしたり、給水施設を整備することで人々の帰還を促したりするといった、綺麗な水へのアクセスを保証するだけではなく、現地の人々が水を共同で管理する仕組みを作り上げることで政治的立場によらない協力が奨励されています。こうやって人間レベルで必要なものをみんなで達成していくという精神は欠かせないものだと言えます。
シーン③ 実は、お母さんたちも英語を学びたがっている!
教育は子どもたちだけに留まりません。お母さんたちも「学びたい!」という積極的な意思表示をしているからこそ、支援者もサポートすることができるのです。学びは、立場や年齢によらず、ですね。「販売したい」「作ったものを社会に発信したい」という需要から始まり、学ぶ側の夢を叶える教育を届けることこそ、意義のある支援になるのだと思いました。
シーン④ 学びの喜びと連鎖は尊い、、、
学成績優秀者が表彰され、周りからは喜びの声や拍手が聞こえてきます。反政府地域から逃れ、学校に行けなくなった子どもたちに学びの機会を提供するべく、JVCは補修校教育を実施しました。自分で学んだことを次は他の人に教える。JVCが直接的に関わらなくても学びの環境が促進され続ける場を作り出すことは、現地の人々の自立を尊重することにつながると思います。
補修校の修了式が行われたのは、そう昔のことではありません。戦闘が勃発したのは、この日からわずか数日後です。
スーダン国軍と即応支援部隊の間で対立があったことは、2019年の頃からすでに知られてことではありましたが、首都が戦闘場所になるとは、誰もが想像していなかったことです。
現地の声、情報をたくさん届けてくれるトークでは、以下のようなことを伝えていました。
支援を途切らせてはいけない。スーダンの現地スタッフはこのような思いを持ちながら、厳しい現実に直面され続けます。こういった緊急時にこそ活動をすることが現地の人々の助けになり、現地の人々を見落としていないという支援者の信頼にもつながります。
しかし、NGOに限らず、国際支援の難しさは、戦場になっているところの支援ができないということです。お金を送ったり、お金を集めたりすることができなければ活動を継続することができず、銀行が開いていたとしてもネットワークエラーで機能しないなど、安全、お金、通信といった、スタッフの意思だけにはよらない支援の苦境がたくさん存在するのです。
その一方で、日本ではこういった報道が足りていないという問題があります。社会情勢について学ぶためによく記事が参照されますが、この媒体を通して知れることにはやはり限界があります。スーダンを例にとっても、どれくらいの難民が発生したかだとか、どれくらいの人々が職を失ったり、学校に行けなくなったりしたのかという情報は溢れていますが、一般の人々は何を感じ、どのように思っているのかという情報はブラックボックスになっていることが多いのです。
このように公開される情報によって届けられるメッセージも変わってきます。まず、我々が理解するべきことは、スーダンの市民の誰しもが戦争を望んでいないということです。2ヶ月以上経った今、すでに生活やメンタルの限界を感じているのが彼らの本音です。避難できていたとしても安心できなければ、仕事もなく、お金もない、そして食事は取れたとしても1日1食のみ。何かしようとしても何もできず、支援者も悔しい思いをしています。
また、邦人退避後、スーダンの報道がほとんどされなくなってしまったことにも注目する必要があります。ニュースが移ったからといって問題が解決したというわけにはなりません。この後も市民はどういう状態なのかを知り、一個人として何ができるのかを考えなくてはなりません。
希望。市民が自発的に立ち上がるという想いと動きを取り戻す。
この写真が訴えるに、これが今スーダンにとって一番必要な支援なのではないだろうか、と私は感じました。
スーダンの情勢は現在でも進行中です。
JVCは、スーダンに関してさまざまなアドボカシー活動を行っています。
ご興味ありましたら、ぜひ以下の過去記事も参照してみてください。
スーダン・ハルツームでの軍事衝突に関連して(6/2更新)
https://www.ngo-jvc.net/news/news/20230416_sudan.html
声明:自衛隊の海外派遣に反対します―邦人保護は自衛隊でなければできなかったのか?
https://www.ngo-jvc.net/activity/advocacy/20230626_sdf.html
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