REPORT

スーダン

COVID-19による生活の変化と人々の声 -スーダンの首都ハルツーム-

世界中で瞬く間に拡大しているCOVID-19はここスーダンにもやってきました。5月6日現在、感染者は累計852人、死亡者数は49人に達しています。スーダンでの感染状況、政府の措置、そして街の様子や人々の声をお伝えします。

COVID-19感染者数の推移と政府の大胆な措置

日本政府の対応と比べてみても、スーダン政府の措置が早いことは明らかです。これはスーダンだけでなくアフリカ諸国に当てはまることですが、国内の医療水準(施設、器具、医者のレベル)を考慮した場合、感染爆発をどうしても防ぐ必要があるため、多くの国で早期の国境閉鎖、ロックダウンなど強硬的な措置が取られています。

日付 スーダン政府の措置/出来事 累計感染者 累計死者数
3/12 スーダン国内で初めてのCOVID-19感染・死亡1名 1 1
3/14 全国の大学・学校の休校を発表(1か月) 1 1
3/17 空港の閉鎖、国境の閉鎖を発表(4月23日まで) 1 1
3/24 スーダン全土にて外出禁止開始(午後8時~翌午前6時) 3 1
3/31 外出禁止時間変更(午後6時~翌午前6時) 7 1
4/13 4月18日から首都ハルツームでのロックダウンを発表 (州を超える移動制限、必需品(野菜・パン・石油等)以外の店舗営業停止) 29 4
4/15 宗教省、モスクでの礼拝を禁止 32 5
4/18 ハルツームでロックダウン開始(午後1時~翌午前6時) 66 10
4/20 空港閉鎖を5月20日まで延長 92 12
5/5 一日の感染者数が初めて100名を突破 778 45

街の様子と感染予防対策

普段マスクをせず、挨拶に握手は欠かせず、いわゆるSocial Distancing(社会的距離)が極めて狭いスーダンでは、COVID-19が蔓延する要素が多いですが、政府だけでなく、企業、市民、アーティストからも予防を促す努力が見られます。


(街の至るところに啓発する看板が見られる。この看板には『手と手をつないで国を作る。手と手を離して国を守る』と書かれている)


(こちらも街の看板。「Stay Safe. Stay Home.」)

電話

誰かに電話すると、30秒程の予防を促す自動音声が流れます。「20秒石鹸で手を洗おう」「握手は避けましょう」「予防は治療に勝る」「私たちはコロナより強い!」といった内容を毎回聞くことになります。特にインターネットやテレビへのアクセスが限られ、情報が十分に入手できない地方でも、携帯電話を持っている人は多数いるので、効果的に情報を広めることができます。

アート

昨年の民主化を求めるデモの際に、街中の壁に政権を批判する絵や、「自由・平和・正義」を強調する絵が描かれましたが、アーティスト達はCOVID-19に対する非常時においても活躍しています。


スーダンは多様な民族で構成されているため、マスクにはそれぞれの現地語で"Stay at home"と書かれている。)


写真右は南スーダン人。昨年のデモ勃発時も他民族・文化への尊重を訴える絵が多かった)

これ以外にもパン屋、レストラン、バスの中など人が沢山集まる場所にはポスターが貼られ、従業員はマスクを着用していて入り口では消毒をしてくれますが、マスクを着用している市民は肌感覚で5%に満たないと思います。また、今は午後1時以降の外出禁止令が出ていますが、出歩いている人やこっそり営業を続けている店も見かけます。また、パン不足、燃料不足が恒常的に続いており、長い行列にはSocial Distancingがありません。

昨年独裁政権が崩壊し、デモで市民に武力弾圧した治安部隊も解体されたため、厳しく市民の行動を取り締まる組織がないことを指摘する人もいます。

人々の声

感染者数がある程度抑えられている状況の中、「WHOから金を拠出してもらえるために、政府は嘘の報告をしてるんだ」「スーダンは暑いからコロナは流行らないよ」とあくまでも他人事のように捉えている人々も多数います。他にも様々な声を紹介します。

売店を営むユスリ―さん

「営業時間が短くなって、その分売り上げも落ちて困っている。ラマダーン後のイード(日本でいう正月のような祝祭日)に結婚する予定だったけど、金が足りないから延期することにしたよ」

服の露天商ハサンさん

「大学が休校になったから、学生の多くが故郷に帰ってしまって客が少なくなった。今日はシャツ1枚しか売れなかったよ。もう今は(4月下旬)営業出来なくなってしまったから、家で寝るしかない。ラマダーンは一年でも一番の書き入れ時なのに・・・」

カフェの店員ハーリドさん

「カフェも閉まるから家でシーシャ(水煙草)を吸ってリラックスできる。店から給料が支払われるか分からないけど、今まで4年働いて、最長の休みが3日間だったから、3週間の休みなんて想像できないなあ」

アパートの大家ワリードさん

「政府はモスクでの礼拝を禁止したけど、私たちは礼拝を続けるよ。スーダン人はコロナを恐れていないからね。けど、今新しい入居者は断ってる。コロナを持ち込まれるのは嫌だからね(笑)」

医学部生ムハンマドさん

「去年はデモのせいで1年近く休校だったのに、またコロナで休校になった。大学はオンラインで授業すると言っていたけど全然始まらない。こんな状況が続くなら海外で勉強したいな」

娘の結婚のためにやってきたシリア人のアリーさん

「1週間の滞在予定だったのにスーダンに閉じ込められて2か月経ってしまった。その間に甥が亡くなってしまった・・・。早く美しい故郷シリアに帰りたい」


去年のラマダーンの様子。イフタール(断食明けの食事)はこのように道端で皆揃って食べるのがスーダンの文化。今年のラマダーンは4月25日から始まったが、やはり道端で食べている人たちを見かける)

4月24日、ジャーナリストの堀潤さんを聞き手に、JVC事業地であるスーダン、パレスチナ、ラオスの駐在員から、COVID-19影響下での街の様子や活動状況をオンライン上でお話しました。是非以下のリンクからご覧ください。

また、スーダンでの活動地カドグリでの様子、JVCの取り組みは次の記事を引き続きご覧ください。

一覧に戻る

関連記事

50年越しの夢「私も学びたい」―戦争勃発から1年 ...

補習校が生んだ奇跡―スーダン戦争勃発から1年 #2...

【スーダン紛争一年】まさか、ハルツームがこんな状況...

ガザ 緊急支援に寄付する