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日本 パレスチナ

パレスチナ出張記【1】イスラエル入国~エルサレム到着編

広報担当の大村です。

今年2017年の4月に、パレスチナ事業地に出張してきました。

ジャーナリストの堀潤さんがJVCのガザ事業地を訪問・撮影されることになり、そのアシスタントの役割も兼ねて一緒に事業地をまわってきました。

現地の様子を数回に分けて綴っていきたいと思います。

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(ガザ事業地でパートナーの女性たちと)

JVCパレスチナでの活動

60年以上の長きにわたり、イスラエルとの対立から紛争・軍事占領状態が続いているパレスチナ。宗教や政治が複雑に絡み合い、未だに解決の見通しがたちません。

JVCは1992年からパレスチナ自治区で活動を続けています。

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(地図上はイスラエルとなっていますが・・・)

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(拡大。「ヨルダン川西岸地区」と「ガザ地区」がパレスチナ自治区です)

上記地図で赤丸をつけた「ヨルダン川西岸地区」と「ガザ地区」は「パレスチナ自治区」ですが、イスラエルの封鎖により周囲を壁やフェンスに囲まれていて、自由に出入りができません。

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(パレスチナ自治区を取り囲む、イスラエルが建設した分離壁)

緑丸をつけた「エルサレム」はイスラム教、ユダヤ教、キリスト教の聖地で、観光地でもありますが、分離壁やフェンスにより移動の自由のない「ヨルダン川西岸地区」や「ガザ地区」に住むパレスチナ人は、残念ながら足を踏み入れることができません。エルサレムに住む一部のパレスチナ人のみが出入りができる状態です。

今回は、イスラエル入国~エルサレム到着までの道のりを報告したいと思います。

イスラエル入国

パレスチナには空港がないので、空路の場合はイスラエルのベン・グリオン空港からイスラエルに入国し、陸路でパレスチナ自治区に向かうことになります。

今回、私と堀さんはイタリア経由でイスラエルへ。

成田~イタリアまでは定時運行でスムーズに飛びましたが、イタリア~イスラエルが約1時間遅延したため、イスラエルの空港に到着したのは深夜3時を過ぎた頃でした。

イスラエル入国は2人とも、イスラエルと対立するアラブ諸国への入国履歴がないことや、「イスラエル政府に認可されている、パレスチナで活動するNGO(イスラエルの認可がないとNGOもパレスチナで活動ができないといういびつな構造・・・)」の業務での入国であることを示す書類の手配をしていたこともあり、想像よりもスムーズでした。

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(乗り換えの空港で束の間の休憩。日々分刻みのスケジュールをこなす堀さんですが、常に笑顔で優しい方です)

イスラエルからエルサレムへ向かう際の少し複雑な事情

深夜3時といえど、ベン・グリオン空港やその周囲は非常に都会的なため、移動にはさほど困りません。

空港からタクシーに乗ってこの日の宿泊地であるエルサレムに向かうのですが、ここでひとつ少し複雑な事情を紹介したいと思います。

上述のとおり、エルサレムはイスラム教、ユダヤ教、キリスト教の聖地であり、人気の観光地です。

しかし同時にこの聖地は、イスラエルとパレスチナがお互いの「首都」であると主張している管理権争いの現場でもあり、例えばこの聖地のある世界遺産「旧市街」には、大きな銃を持ったイスラエル兵がそこかしこで警備にあたっています(*実質イスラエルの支配下にあることの象徴ですね)。

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(エルサレム旧市街で警備にあたるイスラエル兵)

また、このエルサレムは「東エルサレム」と「西エルサレム」に分かれており、「東エルサレム」はパレスチナ人の生活ゾーンで、「西エルサレム」はイスラエル人の生活ゾーンとなっています。

ちなみにエルサレムは壁などで仕切られることなく、観光客やエルサレムに住む人間であれば自由に出入りすることが可能です。

「東エルサレム」と「西エルサレム」も、見た目にははっきりと区切りがある訳ではなく、看板の文字の違い(パレスチナ側の東エルサレムはアラビア語、イスラエル側の西エルサレムはヘブライ語)や、街や行き交う人の雰囲気で判断する感じです。

「西エルサレム」(イスラエル側)は「東エルサレム」よりも、都会的な建物が多いです。

基本的に「東エルサレム」と「西エルサレム」、そこに住む人々はお互い行き来をすることはないようです。仕事の豊富な「西エルサレム」に「東エルサレム」から仕事に出かけるパレスチナ人はいるようですが、それ以外はあまり行き来をする人の話を聞いたことはありません。

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(「東エルサレム」と「西エルサレム」の真ん中に、聖地のある「旧市街」があります)

さて、私たちの宿はパレスチナ側の「東エルサレム」にありました。

よって、イスラエルの空港から乗るタクシーの中には、パレスチナ人居住区である「東エルサレム」に行くのを嫌がる運転手さんがいると聞いていました。

「対立している相手側に行くのが怖い」という声が大半と聞きましたが、私たちの乗ったタクシーは特に何もなく、「東エルサレム」まで連れていってくれました。

宿についたのが深夜4時を過ぎた頃。

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(朝方のエルサレムは本当に美しかった)

必要な準備をして、翌日の「ガザ地区入域」に備えます。

パレスチナ出張記【2】ガザ入域編につづく

■今回の取材で撮影した映像はこちら:

(2023年10月10日追記)
JVCは2023年10月の情勢を受け、パレスチナ・ガザ緊急支援を開始します。

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