ビルマ/ミャンマーに関する取組み

JVCはビルマ/ミャンマー国内に拠点を置く形で活動を行っていませんが、昨年より、他団体とともに企業と国軍のつながりを問う公開書簡を出すなど、主にビルマ/ミャンマー(国軍)と日本のつながりについての取り組みを行ってまいりました。

この背景には、JVCが2012年度からアドボカシー活動を実施してきた、モザンビークにおける日本のODA「プロサバンナ事業」やインフラ・資源開発が一体となった官民連携による「ナカラ回廊開発」で見られる問題との「共通性」があります。モザンビークで確認されてきた、日本の援助が現地にもたらす被害とその背景にある構造や、「ビジネスと人権」の観点から見えてくる課題が、ミャンマーのそれと同様ということがあり、ミャンマーに関する活動を行ってきた団体とさまざまな場面で協働してきた経緯があります。

そうした経緯も踏まえて、2月1日にクーデターが起きて以来も、協働団体が出す声明に賛同する、イベントを共催する、あるいは日本政府や企業との協議の場にともに参加するなど、様々な取り組みを行ってきています。

JVCは決して中心的な役割を担っているわけではありませんが、ビルマ/ミャンマーの現状を踏まえ、以上の「協働」が現在のJVCにとって重要な活動の一つであると考えます。ついては、当面の間、ミャンマーに関連した動きについて、本ページで資料等や関連リンクを掲載することで、JVCとしてどのような動きに関わって情報共有するとともに、ビルマ/ミャンマーで生じている問題をより多くの人に知っていただく場にしていきたいと思います。

この国の呼称について:JVCが「ビルマ/ミャンマー」と呼ぶ理由

独立以来、国際的には英語名称の「ビルマ」(Burma)が国名として定着していましたが、1988年のクーデターにより権力を握った軍部が英語国名を「ミャンマー」(Myanmar)に変更しました。その後「民政移管」やNLD政権誕生という変化はあったものの、軍は強い権限を持ち続け、民主化という意味では限定的でした。そして今回の軍事クーデターが起きました。軍政に反対し民主的に選ばれた人々を支持する立場から、(軍が命名した)「ミャンマー」ではなく、「ビルマ」と呼び続ける意味があると考えます。
その一方で、「ミャンマー」の呼称が既に30年を経て定着しており、日本でも世代によっては「ビルマ」の名称に馴染みが薄い人が多い現状を考えれば、「ミャンマー」の名称を外すことも現実的ではありません。将来的にこの国が民主化され正当な政府が誕生した時に、国名として「ミャンマー」が採用されるかも知れません。また、ビルマ語において「ビルマ」と「ミャンマー」には前者が口語、後者が文語である以外に意味上の差異はないため、ビルマ語の国名は1948年の独立時からずっと「ミャンマー」(文語)だったということができます。そうした観点から、「ビルマ」の名称だけにこだわるのではなく「ミャンマー」と併記をしています。

これまでに関わった声明・要請書など

①【共同書簡】ミャンマー国軍とのつながりを持つ現地企業との提携解消を求め、キリンホールディングス株式会社に働きかけを行いました(2020.5.22)

②【共同要請書】ミャンマー軍に利益をもたらす可能性が高い日本政府及び日本企業が関与する事業に関する要請書(2020.2.17)

ヒューマンライツ・ウォッチ、メコン・ウォッチ、ヒューマンライツ・ナウ、Justice For Myanmarと共同で、ミャンマー軍に利益をもたらす可能性が高い日本政府及び日本企業が関与する事業(通称Y Complex)に関して、国連の「人権及び多国籍企業並びにその他の企業に関する作業部会」に対して調査を求める要請書を提出しました。

日本語PDF

英語PDF

※Y Complexについて 参考サイト:

③【共同提言書】ミャンマー国軍によるクーデターと現在進行中の人権侵害に関して(2021.2.25)

ヒューマンライツ・ナウ、ヒューマンライツ・ウォッチ、市民社会スペース NGO アクションネットワーク、Justice for Myanmarと共同で、提言書「ミャンマー国軍によるクーデターと現在進行中の人権侵害に関して」を発表、外務大臣宛に提出しました。

④【共同要請書】日本の対ミャンマー公的資金における国軍ビジネスとの関連を早急に調査しクーデターを起こした国軍の資金源を断つよう求めます(2021.3.4)

深刻な状況の続いているミャンマー情勢を踏まえ、メコン・ウォッチとアーユス仏教国際協力ネットワークは要請書を発表し、関係省庁などに送付しました。JVCは、他の29団体と共に、この要請書に賛同しました。

⑤【共同要請書】ミャンマー国軍を利する日本政府の経済協力事業を直ちに停止するよう求めます(2021.4.1)

メコン・ウォッチとアーユス仏教国際協力ネットワークは要請書を発表し、関係省庁などに送付しました。JVCは、他の26団体と共に、この要請書に賛同しました。

⑥【共同声明】私たち日本の市民社会は、日本政府に対して、ミャンマー市民の人権を守るためのアクションを求めます(2021.4.2)

ヒューマンライツ・ナウが他9団体と共同声明を発表し、総理大臣宛に提出しました。JVCは、他の311団体・個人(うち団体169)と共に、この声明に賛同しました。

⑦#ミャンマー国軍の資金源を断て ~日本の7政府機関・12企業に対する連続アクション(2021.4.13~19)

ミャンマーで2月1日に国軍によるクーデターが発生してから2ヶ月以上が経過しました。ミャンマー国軍の銃撃や空爆などで、すでに600名以上の死者を出し、2,800名以上を恣意的に拘束、少数民族地域で20,000人以上の避難民が出ています。

今、ミャンマー市民の声に応えて、日本の市民としてできることとして、ミャンマー国軍の資金源を着実に断つことがあります。

日本政府はクーデターへの「重大な懸念」を示し「多数の死傷者が発生し続けている状況を強く非難」しています。しかし、ミャンマーへの経済協力については、事態の推移等を注視しながら効果的な対応を検討という回答を繰り返し、明確な方針を示していません。また、日本企業の多くも日本政府と同様、今回のクーデターへの懸念を示したのみで、具体的な対応や自らの責任については何ら発言をしていない状況が続いています。

これを受けて、メコン・ウォッチ、国際環境NGO FoE Japan、武器取引反対ネットワーク(NAJAT)、アーユス仏教国際協力ネットワークの呼びかけ・協力のもと、日本の官民がミミャンマー国軍の資金源を断ち切ることで、国軍に加担せず、真の民政化を求めるミャンマー市民と共にあることを「行動」で示すよう強く求めるためのアクションとして、日本の7政府機関・12企業への要請・アピールを行ない、JVCもこの一部に参加しました。

⑧ミャンマー国軍の資金源を断て~ミャンマーでの通信遮断=人権侵害をやめて! KDDI、住友商事前アクション(5月13日)

5月13日は、ミャンマーで携帯電話のデータ通信が常時遮断されてから60日目、そして、ワイヤレス・ブロードバンドサービスが常時遮断されてから42日目に当たります。固定回線によるインターネット接続が都市部のごく一部の層に限られているミャンマーで、現在も大多数の市民がインターネットに接続できない状況が続いています。

2月1日にミャンマー国軍によるクーデターが発生した後も、ミャンマーの市民はインターネットを介して国内外とのつながりを深めながら抗議の声を上げ、国際社会に対して現状を伝えてきました。その手段が奪われていることは、ミャンマー市民の表現の自由や知る権利といった 基本的人権が著しく侵害されていることに他なりません。

KDDIと住友商事は、2014年から国営のミャンマー郵電公社(MPT)と 共同で通信事業を行っています。両社はミャンマー国軍のクーデター以降、国軍の暴力を深く憂慮していること、また、自身のもつ人権方針に沿ってビジネスを行っていることを表明しました。

しかし、自らの通信事業に関しては、国軍による通信遮断命令にこれまで抗議の意思を示すことなく応じています。また、共同事業を行っているMPTが国営であり、事実上、ミャンマー国軍の統治下にあると考えられることから、事業を継続することで、国軍に手数料支払いなどの収益が流れる可能性も指摘されています。

これに対し、メコン・ウォッチ、国際環境NGO FoE Japan、武器取引反対ネットワーク(NAJAT)、アーユス仏教国際協力ネットワークが呼びかけ団体となり、KDDIと住友商事が、民主主義と自由を求めて未来のために命をかけて闘っているミャンマー市民の声に応え、正常な通信の回復に向けた具体的な行動をとること、また、「ミャンマー国軍の資金源を着実に断つ」ための具体的な措置をとり、その対応について公に示すことを求めるアクションを行い、JVCもこれに参加しました。

⑨#ミャンマー国軍の資金源を断て ~ストップODA! ダイ・イン@外務省前(5月21日)

ミャンマーで2月1日に国軍によるクーデターが発生してから100日以上が経ちました。

クーデター後、国軍による常軌を逸した市民への暴力は依然続いており、これまでに788名もの罪のない市民が命を奪われ、現在も3,936名が恣意的に拘束されています(5月13日現在)。

一方、日本政府はこのような状況が続いても、自身が債務救済等で深く関与してきたミャンマーへの経済協力について、依然として明確な方針を示していません。「事態の推移を見守り、どのような対応が効果的か検討する」との回答を今日まで繰り返すばかりです。

これを受けて、JVCは呼びかけ人として、他団体とともに、殺害された人びとを追悼し、虐殺を止めるために国軍の資金源を断つよう求める「ダイ・イン」(※)を外務省前で行うとともに、新たに要請書を提出し、再度、国軍のビジネスと日本の経済協力関係を直ちに断ち切ることを日本政府に対し強く要請しました。当日は、雨が降っていましたが、在日ビルマ/ミャンマー人、日本の市民など約80名が参加しました。

(※)ダイ・イン(die-in) とは ―― 死者を模して横たわることで、命が奪われることに抗議の意思を表すアクションです。長年にわたり世界各地で、反戦や気候危機など様々なテーマで行われてきました。

雨の中約80名が参加、日本政府に国軍とのつながりを断つよう訴えました。

死者を模して横たわることで、命が奪われることに抗議の意思を表すアクション「ダイ・イン」を行いました。

メディア掲載

⑩ #ミャンマー国軍の資金源を断て ~ 「日本政府は Act Now!」官邸前アピール(6月1日)

ミャンマーで2月1日に国軍によるクーデターが発生してから6月1日で4か月が経ちました。クーデター後、ミャンマー国軍の暴力は続き、すでに824名もの罪のない市民が命を奪われ、4,301名が不当に拘束されたままです(5月24日現在)。また、市民不服従運動(CDM)に参加した公務員の解雇も続き、最近では各地で教員が大量解雇されています。

一方、日本政府はこの4ヶ月、日本の援助がミャンマー国軍を利するのではないかと危惧する市民からの「政府開発援助(ODA)停止」を求める声に応えてきませんでした。日本政府は2011年のミャンマーにおける「民政化」プロセス以降、数千億円の債務救済をはじめ、ODAとして累積で1兆円を超える円借款と4,000億円以上の無償・技術協力資金を決め、ミャンマーに深く関与してきました。そして、多くの日本企業もその恩恵を受けてきました。

この状況に対し、JVCは呼びかけ人として、他団体とともに要請書(5月21日時点で30団体賛同。菅総理大臣も宛先に加え、現在も賛同募集中)を提出し、国軍のビジネスと日本の経済協力関係を直ちに断ち切ることを強く要請しました。またこれに合わせて、官邸前でアクションを行いました。当日は、在日ビルマミャンマー人、日本の市民など約50名が参加しました。

官邸前でのアクション

代表の今井も参加。JVCの活動地の事例に触れながら「援助が現地の状況を悪化させることがある」として、日本政府に国軍とのつながりを断つよう訴えるスピーチを行いました。

これらの様子の一部は以下のメディア等でも報じられました。

⑪ #ミャンマー国軍の資金源を断て  人権侵害に加担しないで!ミャンマーでのガス事業 経産省・JX石油開発・三菱商事前アクション(6月18日)

ミャンマーで2月1日に国軍によるクーデターが発生してから4か月半が経ちましたが、ミャンマー国軍の暴力により、クーデター後、865名もの罪のない市民が命を奪われ、4,962名が不当に拘束されたままです(6月17日現在)。すでに恣意的な有罪判決を宣告されたジャーナリストらもいます。少数民族地域で20万人以上が避難生活を強いられている状況も伝えられており、犠牲者は毎日増え続けています。

JVCは、他団体とともに、ミャンマーのこうした事態が一刻も早く改善するよう、ミャンマーで経済協力やビジネスを行ってきた日本政府や企業に対し、「ミャンマー国軍の資金源を着実に断つ」よう求めてきました。

今回は、ミャンマー国軍の重要な収入源の一つとなっている天然ガスセクターにおいて、JXミャンマー石油開発(出資比率:経済産業省50%、JX石油開発40%、三菱商事10%)がミャンマー石油ガス公社(MOGE)とともに出資しているイェタグン・ガス田開発の手数料、税金、使用料、収益などがミャンマー国軍を利することがないよう、「ミャンマー国軍の資金源を着実に断つ」ための具体的な措置をとり、その対応について公に示すことを求めるため、要請書を提出し、アクションを行いました。

⑫ #ミャンマー国軍の資金源を断て 「ジェット燃料の軍事転用はない?」ENEOS前アクション/「独自のパイプ、錆びてませんか?」官邸前アピール(7月1日)

ミャンマーで2月1日に国軍によるクーデターが発生してから、5ヶ月が経ちました。常軌を逸したミャンマー国軍の暴力は続いており、すでに884名もの市民が命を奪われました(6月30日現在)。6月30日、約2,300名が解放されたとのことですが、それまで5,200名余りが不当に拘束されていたことから、少なくとも3,000名近くが今も不当拘束されたままと思われます。

日本政府はこの5ヶ月の間に「資金源を断つ」具体的な行動を一切とっていません。そして、公的資金の恩恵を受けて各事業を実施してきた日本の企業も、国軍を利する可能性のあるビジネスにおいて、自らの進退を明確に示さないままです。

7月1日は、ENEOS前及び官邸前でのアクションを行い、JVCも他団体とともに呼びかけ人として参加しました。雨の中にもかかわらず、約40名もの市民が参加をしました。

⑬【共同声明】「ミャンマー での不動産開発事業を停止せよ 暴力的な軍との商取引は人権を損なう」(7月15日)

この度、JVCは、他団体とともに、ミャンマー・ヤンゴン中心部における複合都市開発事業 「Y-Complex」について、「日本の事業者及び関係諸機関」に対し、「ミャンマーの暴力的な国軍が関与する不動産事業から撤退すべきである」とする共同声明を発表、記者会見を実施しました。

共同声明発表の背景はこちら(記者会見実施と取材のお願い)

共同声明英語版

また、記者会見の様子は以下のメディアで報じられています。合わせてご覧ください。

英語

記者会見の様子

当日は25名のメディア関係者(フリージャーナリスト含めて14~15社)が参加しました。

⑭【共同声明】「ミャンマー:クーデターから半年 日本政府は、ミャンマー国軍の暴挙を止めるための具体的な行動を」(8月2日)

2月1日にミャンマーで国軍によるクーデターが発生してから、半年が経過してしまいました。
国軍の過酷な弾圧は続き、国軍が指揮する「治安部隊」の暴力により犠牲になった方たちは、7月27日で934名、恣意的な拘束を受けている人たちは5,384人、逮捕状が発行されている人たちも1,963に上ります 。国軍がこのような犠牲を生み出し続けていることを、私たちは強く非難します。
しかし、日本を含む国際社会は、国軍の暴力を止めることに失敗しています。

この事態を受け、JVCは、他団体とともに、共同声明「ミャンマー:クーデターから半年 日本政府は、ミャンマー国軍の暴挙を止めるための具体的な行動を」を発表いたました。

⑮【アクション報告】 #ミャンマー国軍の資金源を断て ~ クーデターから8ヶ月@官邸前アクション 新政権はただちにミャンマー経済支援の見直しを!(10月1日(荒天により10月5日に順延)。

国軍によるクーデターが発生してから10月1日で8ヶ月目を迎えるミャンマー。この間、ミャンマー国軍による苛烈な暴力により子どもを含む1,100名以上の市民が命を奪われ、8,400名近くが不当に逮捕されました。6,700名以上は今も拘束されたままです。
JVCはクーデター以降、他団体とともに、ミャンマーの情勢が一刻も早く改善されるよう、ミャンマーで経済協力やビジネスを行ってきた日本政府や企業に対し、「ミャンマー国軍の資金源を着実に断つ」よう求めています。
しかしながら、8ヶ月間経っても、日本政府も企業も国軍を利する可能性のある事業/ビジネスについて、「資金源を断つ」具体的かつ有効な措置を打ち出すどころか、なし崩し的に事業/ビジネスを続けているのが現状です。
この事態を受け、JVCは、他団体とともに、官邸前アクションを実施しました。

⑯【アクション報告】#ミャンマー国軍の資金源を断て 官邸前アクション ミャンマー情勢を見続けて9か月 新政権は今度こそ経済支援の方針転換を!(11月1日)

2月1日にミャンマーで国軍によるクーデターが発生してから9ヶ月が経ちます。ミャンマー市民による民主主義と自由を希求する命がけの闘いは、今も続いています。
粘り強い市民の不服従運動(CDM)に対し、ミャンマー国軍はこの間、残虐非道な暴力を繰り返し、子どもを含む1,186名もの命を奪い、9,151名を不当に逮捕してきました(2021年10月22日時点)。
ミャンマー国軍がクーデターを起こして以降、外務省、財務省、国土交通省、経済産業省-ミャンマーで経済協力を行うとともに、日本企業のミャンマーにおけるビジネスを後押ししてきた日本政府のこれら省庁は、ミャンマー国軍を利する可能性がある事業に対し、「資金源を断つ」具体的かつ有効な措置をどのようにとったのか説明をすることもなく、なし崩し的に経済協力を続けています。
ミャンマー市民からの切実な訴えに耳を傾けるとともに、多大な経済支援をミャンマーに振り向けてきた日本政府としての責任ある態度をただちに示すよう、即時の方針転換を強く要請するため、JVCは他団体とともに官邸前アクションを実施しました。

官邸前アクションの様子

官邸前アクションでスピーチするJVCの渡辺

⑰【アクション報告/要請書】#ミャンマー国軍の資金源を断て:クーデターから10か月~ 4省に要請「経済支援を止め、人権侵害の加担回避を」(12月1日)

2月1日にミャンマーで国軍によるクーデターが発生してから、すでに10ヶ月が経ちます。ミャンマー市民が民主主義と自由を求めて命がけの闘いを続ける中、国軍による苛烈な残虐行為はいまだに後を絶ちません。クーデター以降、子どもを含む1,275名もの命が奪われ、10,285名もの市民が不当に逮捕されてきました(2021年11月18日時点)。少数民族地域における空爆や砲撃なども繰り返されており、国連によれば、234,600名もの国内避難民が生み出されている他、ミャンマー全国で300万人以上が人道援助を切実に必要としている状況です。
JVCはこれまで、他団体とともに「ミャンマー国軍の資金源を断つ」具体的な行動を日本政府や企業に求めてきました。しかし、ミャンマーで経済協力を行うとともに、日本企業のミャンマーにおけるビジネスを後押ししてきた日本の外務省、財務省、国土交通省、経済産業省は、ミャンマー国軍を利する可能性がある事業について、いまだに「資金源を断つ」具体的かつ有効な措置をとっていません。
このような状況を受け、今年10月の新政権下で就任した4省の新大臣宛てに、書簡(35団体賛同)を提出しました。日本の新政権がミャンマー市民からの切実な訴えに耳を傾け、多大な経済支援をミャンマーに振り向けてきた日本政府としての責任ある行動をただちに取るよう、強く要請するとともに、4省の前でアクション(約60名参加)を実施しました。

財務省への要請書提出

経済産業省への要請書提出

アクションには約60名が参加(外務省前)

アクションには毎回多くの在日ミャンマー人の方々も参加

⑱【共同声明/プレスリリース】Yコンプレックスの開発に関わる日本の投資家が米国の制裁に違反する危険性(12月20日)

2021年12月10日、米国、英国、カナダは、2021年2月1日のビルマ/ミャンマー国軍による違法なクーデターに対し、国軍の Office of the Quartermaster General(QMG、兵站総局)に制裁を課しました。QMG は、ミャンマー軍のビジネス上の利益を監督する重要な組織です。
ミャンマー軍が支配する土地上で複合不動産開発「Y コンプレックス」を行っている大和ハウス工業の子会社であるフジタ、東京建物、民間インフラファンドの海外交通・都市インフラ投資事業団(JOIN)などの日本企業は、QMG に年間 180 万米ドル以上の賃料を米ドルで支払っており、制裁対象企業を実質的に支援していることが判明すれば、米国の制裁に違反する可能性があります。
また、日本の政策金融機関である国際協力銀行(JBIC)と三井住友銀行、みずほ銀行が 1億4400万米ドルの融資を通じてこのプロジェクトに共同出資しています。
これを受けて、JVCは、Yコンプレックス開発に関わり続ける日本の投資家に対する声明を、ヒューマンライツ・ナウ、Justice For Myanmar、メコン・ウォッチと共同で発表しました。

⑲【プレスリリース】ミャンマーでビジネスを継続している日本企業4社の主要株主125機関に対し企業がミャンマー国軍の資金源を断つよう求める要請書を送付(2022年1月21日)

JVCは、他の5つの協働団体とともに、ビルマ/ミャンマーで国軍への資金提供を通じて殺人、迫害、恣意的拘束、性暴力、強制失踪、拷問などの国際犯罪や重大な人権侵害を支えているという容認できないリスクがあるにも関わらず行われている4つの事業に投資を続けている日本企業4社(ENEOS株式会社、住友商事株式会社、丸紅株式会社、三菱商事株式会社)の主要株主125企業・機関に要請書を送付、この件についてのプレスリリースを発出しました。
要請書では、4つの事業に関与する日本企業の株主に対し、投資先企業に対して直ちにエンゲージメントを行い、企業のビジネス活動がミャンマー国軍を利することを避けるための措置を講じるよう求めてほしい、としています。要請書はさらに、投資先企業が十分な措置を講じない場合には投資の引き揚げも検討するよう求めています。

プレスリリース

要請書

共催イベントなど

①【ウェビナー】ミャンマー軍の国際人権・人道法違反と企業の責任を考える(2021.2.18)
※3か月限定公開

ヒューマンライツ・ウォッチ、メコン・ウォッチ、ヒューマンライツ・ナウとともにウェビナーを共催しました。 この動画を、ヒューマンライツ・ナウが3か月限定で公開していますので、ぜひご視聴ください。 一部の報告資料のデータも掲載されています。

当日は、登壇者から、ミャンマーでのクーデタの背景、ロヒンギャ問題、そして軍と関連する日本企業の国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づく責任について報告、多角的な視点を提示していただきました。

  • 登壇者:
    根本敬さん(上智大学総合グローバル学部教授)「クーデターの背景と目的を読む」
    村主道美さん(学習院大学法学部政治学科教授) 「ロヒンギャ問題にとってのクーデターの意味」
    笠井哲平(HRW) 「大手日本企業とミャンマーの軍系企業MEHLに関して」
    木口由香(メコン・ウォッチ) 「日本企業のヤンゴン都市開発と通信事業」
    佐藤暁子(HRN) 「国連ビジネスと人権に関する指導原則と企業の責任」
    ゾウミントゥさん(日本ビルマ・ロヒンギャ協会会長)「ロヒンギャの方々の現在の状況」
  • 司会進行:渡辺直子(JVC)

②【ウェビナー】ミャンマーの民主主義を守るために~日本の官民の責任~(2021.3.25)
※3カ月限定公開

ヒューマンライツ・ナウ、メコン・ウォッチ、ヒューマンライツ・ウォッチ、ビジネスと人権市民社会プラットフォームとともにウェビナーを共催しました。 この動画を、ヒューマンライツ・ナウが3か月限定で公開していますので、ぜひご視聴ください。 一部の報告資料のデータも掲載されています。

ミャンマーの現状の説明やロヒンギャ問題の背景にとどまらず、日本政府や日本企業に求められる対応について登壇者から詳しくお話頂きました。日本ビルマ・ロヒンギャ協会会長のゾーミントゥさん、カチン族のアウンラーさんも参加頂きました。

  • 登壇者:
    根本敬さん(上智大学総合グローバル学部教授)「市民的不服従(CDM)の広がりと国軍の対応」
    細田満和子さん(星槎大学共生科学部教授)「ミャンマーとロヒンギャ~人々の生活と望み~」
    笠井哲平(HRW)「日本政府の対応について」
    黒柳英哲さん(リンクルージョン株式会社)「企業としての対応とジレンマ」
    佐藤暁子(HRN)「ビジネスと人権の観点から企業に求められること」
    ゾーミントゥさん(日本ビルマ・ロヒンギャ協会会長)・アウンラーさん「日本の社会に伝えたいこと」
  • 司会進行:渡辺直子(JVC)

③ 【ウェビナー】「ミャンマーのクーデター発生から4ヶ月 ~日本政府や企業に求められる対応とは~」(2021.6.1)

6月1日で、ミャンマーで国軍によるクーデターが発生した2月1日から4か月が経ちました。この間、事態は悪化の一途をたどり、死傷者も恣意的に拘束された人びとも増え続けています(それぞれ818名、4,296名。5月23日現在)。少数民族地域では、7万人以上が避難生活を強いられている状況と伝えられています。一方、日本政府はこの4ヶ月、日本の援助がミャンマー国軍を利するのではないかと危惧する市民からの「政府開発援助(ODA)停止」を求める声に応えてきませんでした。同様に、国軍とのつながりが疑われる日本企業によるビジネスも止まっていません。
本ウェビナーでは、これまでの日本政府の対応と問題点について、事例をもとに国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」の観点から検証するとともに、その背景として「利権」の問題を取り上げました。また、悪化する現地の状況として「クーデター後の対立の構造」や少数民族をとりまく問題について報告がなされました。

     
  • 登壇者:
    「日本政府の対応と問題点」
    笠井哲平(Human Rights Watchアジア局プログラムオフィサー)
    「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づく日本企業の責任」
    佐藤暁子(Human Rights Now 事務局次長 )
    「海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)のミャンマーでの事業の問題点」
    木口由香 (メコンウォッチ事務局長)
    「日本の政財界がしがみつくミャンマー利権」
    渡辺周 (Tokyo Investigative Newsroom Tansa編集長)
    「クーデター後のミャンマーにおける、対立の構造--誰が、誰と、どう戦うか。」
    村主道美 (学習院大学教授)
    "Myanmar Democracy & human rights including minority rights in the Future Federal Union of Myanmar"
    ゾーミントゥ (在日ビルマロヒンギャ協会会長)
  • 司会進行:渡辺直子(日本国際ボランティアセンター)

④【ウェビナー】「ビジネスと人権」と国際協力銀行(JBIC)の環境社会配慮(2020.12.1)

国際環境NGO FoE Japan、Fair Finance Guide Japan、メコン・ウォッチが主催するウェビナーに、ヒューマンライツ・ナウとともに協力し、ウェビナーを開催しました。 当日の動画をメコン・ウォッチが公開していますので、ぜひご視聴ください。 当日発表に使われたデータも掲載されています。

国際金融に関わる国際協力銀行(JBIC)は、日本の資源獲得や日本企業の海外投融資の促進を担う政策金融機関で、海外での多くの大規模開発に関わっています。JBICの一部の事業は未だ、市民への情報公開や現地の人権状況への配慮に、数々の問題点がみられます。

セミナーでは、JBICの関与する3つの事業を事例に、NGOから見た問題点を示し、現状のガイドラインの効果や限界、国連の「ビジネスと人権」指導原則を踏まえたガイドライン運用のあるべき姿等について議論しました。

この動画をご覧いただくと、日本の官民連携による援助と開発において、ビルマ・ミャンマーとJVCが活動をしてきたモザンビークで生じてきた問題に共通性があることがわかるかと思います。

  • 登壇者:
    はじめに「国際協力銀行(JBIC)とそのガイドラインとは」
    (メコン・ウォッチ/事務局長 木口由香)
    基調報告「ビジネスと人権指導原則導入の動向」
    (ヒューマンライツ・ナウ/事務局次長 佐藤暁子)
    事例報告1「ミャンマーのビジネスと国軍:ヤンゴンY Complex事業」
    (メコン・ウォッチ/事務局長 木口由香)
    事例報告2「インドネシア石炭火力案件における人権侵害と住民の苦情申立て」
    (FoE-Japan/委託研究員 波多江秀枝)
    事例報告3「モザンビーク・ナカラ回廊開発による環境社会影響」
    (日本国際ボランティアセンター/海外事業グループマネージャー 渡辺直子)
    考察「セーフガード政策の重要性と限界」
    (「環境・持続社会」研究センター/持続可能な開発と援助プログラムディレクター 田辺有輝)

参考:協働団体サイトなど

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