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AIDA声明「ガザ地区に必要とされる継続的支援」

ここ最近、イスラエル・パレスチナでは猛暑日が続いていますが、エルサレムは海が近くないので湿気がないのが救いですが、海の近いガザ地区はこれに湿気が加わり、さらに厳しい状況です。

このような中、8月24日に、ガザ地区ではついに初の市中感染者が出ました。これは隔離施設外で初めてのCOVID-19陽性者であり、感染源もはっきりとわかっていませんでした。

封鎖状態で人口密度の高いガザでは、市中感染が広まれば医療崩壊につながる、と前々から懸念されており、ガザ地区では今まで最善の注意を払ってガザの外から入ってくる人々を受け入れてきました。それでも市中感染者が出てしまったことで、ガザ地区の政府や人々はもちろん、国際支援を行う団体にも衝撃が走りました。政治的な理由も相まって、一般市民が非常に困難な状況にさらされています。ガザの中にいる人たちには逃げ場がありません。一般市民への集団的懲罰を終わらせる政治的解決と、さらなる予防の強化、そして迅速なガザ外からの保健サポートが必要とされています。

  • 9月4日に、JVCもメンバーの一員であるAIDA(国際開発機関協会:占領下のパレスチナで活動する80以上の国際NGOの調整機関)は、下記の内容(概要)の声明を発表しました。JVCも賛同しており、主な主張は下記になります。

    • 国際開発機関協会(AIDA)は、80名を超える国際NGOメンバーを代表して、ガザ地区の市民に対する集団的懲罰措置をすべて終了するようイスラエル政府に要求する。イスラエル政府に、(西岸の)パレスチナ自治政府およびガザのハマース当局と協力して、ガザ地区でのCOVID-19の蔓延を防ぐために迅速かつ効果的に対応し、重症患者がガザ地区外で治療を受けるためのヘルス・コーディネーションのメカニズムを復活させること、そしてガザの病院への物資供給を強化するよう要請する。
    • AIDAはまた、国際社会に対し、COVID-19の流行への対応は、達成可能な最高水準の心身の健康にアクセスする基本的権利に基づいており、差別することなく、国際人道法および人権法、そして健康サービスへのアクセスの平等を尊重すべきであると公に主張するよう呼び掛ける。

声明文に記載されている内容の詳細

声明文本文は以下から。

  • 保健省によると統計では、COVID-19が697例特定され、先週だけでも500例超であった。(4人の死者を含む)※9月4日時点
  • 2020年8月18日にはガザ地区唯一の発電所が停止されている。
  • イスラエル当局はガザへの燃料供給を一時停止し、重要なライフラインである商業用の出入り口のケレム・シャローム検問所を閉鎖した。
  • ガザ地区のエネルギー局によると、発電所の停止により、ストリップの電力不足は75%までに増加。ガザの人々はロックダウンに加え、夏の暑さに苦しむ中、毎日4時間未満の電力供給の中での生活を余儀なくされた。
  • 8月の末日に、イスラエルとハマースは、カタールが仲介する停戦協定に合意した。これらは国境の検問所と燃料輸送の再開、きれいな水と衛生へのアクセスを支える廃水処理および脱塩プラントの運営を含む。
  • ケレム・シャロームの検問所における移動の自由は、ガザ地区がウイルスの蔓延と戦う能力を確保するために必須である。
  • すでに医療セクターが脆弱なガザ地区では、深刻な必要不可欠な薬品と基本的な医療機器の不足が、COVID-19の発生に適切に対応する能力に深刻な影響を与えている。
  • 世界保健機関(WHO)によれば、ガザの病院は、200万人(現在は350人収容中)のCOVID-19患者しか収容できない。
  • 5月19日、パレスチナ自治政府とイスラエル政府の間の調整が停止となったが、これはガザ地区の人々が依存している、救命のためのガザ外の病院への搬送(リファー)システムに深刻な影響を与える。
  • WHOの報告によると、2020年1月にガザ地区の外での治療のために1,641人がガザ地区を出ることができましたが、6月はわずか119人しか出ることができなかった。これは93%の減少となる。
  • コミュニティでCOVID-19が広まるにつれ、病院内を含め、ガザ地区では重病患者の健康に対する懸念がさらに高まっている。

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