【声明】国際NGO100団体以上がイスラエルによる「支援の武器化」の停止を求める声明を発表(2025/8/14)
パレスチナ・ガザで飢餓が深刻化する中、イスラエル政府は主要な支援団体に対して活動を禁止すると脅しています。
これをうけて8月14日、国際NGO100団体以上がイスラエルによる「支援の武器化」の停止を求める声明を発出し、JVCもこれに賛同しました。
パレスチナ・ガザでは、陸海空そして地上作戦による激しい攻撃に加え、支援物資の搬入が極度に制限され、深刻な食料不足と飢餓の危機にさらされています。
ガザにいる3人に1人は何日も食べ物にありつけず、空腹と恐怖に苦しんでいます。ガザ保健省によれば、8月12日時点で子ども106人を含む、235人が栄養失調により死亡しています(国連人道問題調整事務所,2025年8月13日)。
8月12日には、日本を含む29か国の外相が共同声明を発表し、イスラエルに対してすべての支援物資をガザへ搬入することを認め、支援関係者の活動を制限しないよう求めました。また、食料配給所での武力行使はあってはならないとし、市民や支援従事者の保護も強調しました。
また、イスラエルが3月に導入した国際NGOの新たな登録制度により、これまでガザで長年活動してきた国際NGOが退去を強いられる危険にさらされています。
新たな登録制度ではパレスチナ人職員の個人情報の提出が義務付けられ、これを提出しなければNGOの活動自体ができなくなる可能性があります。
2023年10月以降、パレスチナでは国連や国際NGOなどの支援従事者517人が殺害されており、そのうち98%の509人がパレスチナ人です(Aid Worker Security Database)。
支援従事者にとって世界で最も危険なガザにおいて、パレスチナ人の個人情報を攻撃主体であるイスラエル当局に提出することは、職員の安全と支援の独立性を著しく損ないます。
JVCは、一刻も早い封鎖の解除と十分な支援物資の搬入、即時かつ恒久的な停戦、そして独立原則に基づく国際NGOの支援活動継続を求め、日本政府に対して働きかけを行っています。
JVCと現地パートナー団体は、今もガザでの支援活動を続けています。
国連機関などと連携して限られた物資を用いながら、保健師やボランティアの女性たちが避難民サイトで、子どもや妊産婦の栄養支援を行っています。
また、次の粉ミルク・薬品配布の準備のため、現地の医療団体と調整を行っています。
ガザの子どもたちを守るには、皆様からのご協力が必要です。
どうか共にガザの人々の命を支えてください。
*ご寄付はゆうちょ銀行へのお振込みでも受け付けております。
口座番号: 00190-9-27495
加入者名: JVC東京事務所
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2025年8月14日
100以上の団体が、イスラエルに対し“支援の武器化”をやめるよう求めています
イスラエル当局は、「ガザへの人道支援搬入を制限していない」と主張しています。しかし2025年3月2日以降、主要な国際NGOの多くは命を救う物資を積んだトラックを1台も入れられていません。
当局は、溜まり続ける物資を搬入する代わりに、主要国際NGOに対し「支援を届ける権限がない」として、何十件もの搬入要請を拒否しています。2025年7月だけで、この理由による却下は60件を超えています。その結果、数百万ドル相当の食糧・医薬品・水・シェルター物資がヨルダンやエジプトの倉庫に足止めされ、パレスチナ人は飢餓にさらされています。
「国際NGOのAnera(American Near East Refugee Aid)は700万ドル以上相当の命を救う物資をガザに送る準備があります。その中にはガザからたった数キロ北のアシュドッド(イスラエルの港)で足止めされている744トンの米(600万食分)も含まれています」
ショーン・キャロル(Anera代表)
現在、「支援を届ける権限がない」とされている多くのNGOは、これまで何十年にもわたりガザで活動し、地域社会から信頼を得て安全に支援を届けてきた団体です。これらの団体が支援を届けられなくなっているため、病院は物資不足に陥り、子ども、障がい者、高齢者が飢餓や予防可能な病気で死亡し、人道支援従事者自身も空腹のまま仕事に向かっています。
この妨害は、2025年3月に導入された新たな国際NGO登録制度と関係しています。この新制度では、イスラエル当局が申請団体について「イスラエル国家の正統性を否定している」と判断した場合など、曖昧で政治的な理由によって団体登録が却下される可能性があります。国際NGOは、この制度が国際NGOの独立性を損ない、アドボカシー活動や人道状況の報告を妨げることを目的としていると警鐘を鳴らしてきました。国際NGOの活動に対するこの官僚的・行政的な妨害は、国際法に反し、イスラエルによるパレスチナの占領支配と併合を盤石にするものです。
国際NGOが登録要件のすべてに応じない限り、多くの団体は60日以内にガザおよびヨルダン川西岸(東エルサレムを含む)での活動停止と国際スタッフの撤収を迫られます。要件には、いわゆる「安全保障」審査のために、民間寄付者の詳細やパレスチナ人スタッフの個人情報など、機微な情報をイスラエル当局に提出することが含まれます。申請を行った団体の中には、パレスチナ人スタッフ名簿を7日以内に提出せよという最後通告を受けた団体もあります。
NGOはこのような情報提供はデータ保護法などに違反し、特にパレスチナ人スタッフの安全を損ない、人道原則にも反すると主張しています。世界で最も危険な人道支援現場となっているガザで、犠牲となった人道支援従事者のうち98%がパレスチナ人です。このような状況下で、イスラエル当局への情報提供は、パレスチナ人スタッフをさらなる危険にさらす恐れがあります。さらに、イスラエル政府の軍事・政治的な目的のために利用される可能性も否定できません。
国際NGOの懸念が、いま現実となっています。壊滅的な飢饉に直面しているガザにおいて、この登録制度は援助活動をさらに妨げ、食糧・医薬品の搬入を拒否するために利用されています。
「完全封鎖が始まった3月2日以来、CAREは事前に準備していた150万ドル相当の物資をガザに一切搬入できていません。これには食料パッケージ、医療用品、衛生キット、尊厳キット、母子保健用品などが含まれます。私たちの使命は命を救うことですが、登録制度によって、ガザ市民が緊急に必要としている食糧、医薬品、保護を届けられない状況が続いています」
ヨリーン・フェルドワイク(CARE)
「Oxfamは、イスラエルによって250万ドル以上相当の物資のガザ搬入を拒否されています。水や衛生用品、食糧です。この登録制度の下で、国際NGOは活動を継続するために、独立性や発言の自由を犠牲にせざるを得なくなる可能性があります」
ブシュラ・ハーリディ(Oxfam)
こうした人道支援団体に対する妨害は、イスラエル当局がガザを支配するための戦略の一部です。この一環として、食糧配給を軍事化した「ガザ人道財団(Gaza Humanitarian Foundation: GHF)」が設立されました。人道的解決策として宣伝されていますが、GHFの運用開始以来、配給拠点周辺で少なくとも859人のパレスチナ人が殺害されています。文字通り致命的な支配の手段となっています。
「軍事化された食糧配給制度によって、飢餓を武器化し、苦しみを意図的に作り出しています。GHF拠点での配給は、極端な暴力と殺害をもたらしています。犠牲者は食料をもらえるかもしれないという希望を胸に配給場所へと向かった人々で、その多くは若いパレスチナ人男性ですが、女性や子どもも含まれています」
アイトール・サバルゴゲアスコア(国境なき医師団)
「GHF」による食糧配給と国際NGOの登録制度は、いずれも公平な支援を阻止し、パレスチナ人の存在を排除し、信頼を得てきた人道支援団体の活動を、政治的・軍事的な目的に利用する仕組みに置き換えるものです。これらの措置は、イスラエル政府がガザで軍事攻撃を激化させ、占領を進めるなかで行われており、ガザ支配を固定化し、パレスチナ人の存在を消し去ることを目的とした戦略の一部であることは明らかです。
「今、何が正しいか、人道的な答えを誰もが知っています。それは浮桟橋でも空中投下でも、もちろんGHFでもありません。命を救い、人道を守り、人為的に仕組まれた飢餓に加担しないために何をするべきか。それは、すべての国境を24時間、全面的に開放し、近隣で待機している数千台のトラック、何百万食分の食糧や医療物資を搬入することです」
ショーン・キャロル(Anera)
私たちはすべての国やドナーのみなさんに以下を求めます。
・イスラエルによる支援の武器化をやめさせるよう働きかけてください。支援の武器化には、国際NGOに対する登録手続きなどの官僚的・行政的な妨害も含みます。
・国際NGOがパレスチナ人スタッフの機微な個人情報を提出することやしたり、スタッフの安全や独立性を損なうことを、援助活動継続の条件にしてはならないと主張してください。
・イスラエルに対して、すべての陸路検問所を即時かつ無条件に開放し、人道支援物資搬入に対する制限を廃止するように求めてください
※「」は国際NGOからの証言です。
1. A New Policy
2. ACT Alliance
3. ActionAid Denmark
4. ActionAid International
5. Action Against Hunger (ACF)
6. Action For Humanity
7. All We Can
8. Alliance Sud
9. American Friends Service Committee (AFSC)
10. Americares
11. Anera
12. Asamblea de Cooperación por la Paz
13. Bystanders No More
14. Campaign Against Arms Trade
15. Canadian Foodgrains Bank
16. CARE
17. Caritas Internationalis
18. Caritas Jerusalem
19. Caritas Middle East and North Africa
20. Caritas Switzerland
21. Center for Jewish Nonviolence
22. Charity & Security Network
23. ChildFund Alliance
24. Children Not Numbers
25. Christian Aid
26. Churches for Middle East Peace (CMEP)
27. CISS - Cooperazione Internazionale Sud Sud
28. Committee to Protect Journalists
29. Comundo
30. Cooperation Canada
31. COORDINADORA VALENCIANA ONGD
32. DanChurchAid
33. Danish Refugee Council (DRC)
34. Department of Service to the Palestinian Refugees
35. Diakonia
36. Diakonie Katastrophenhilfe
37. EDUCO
38. Embrace the Middle East
39. Emergency - Life Support for Civilian War Victims Ong Ets
40. Entreculturas
41. Finn Church Aid (FCA)
42. Forum Ziviler Friedensdienst e.V. (Pro Peace)
43. Frieda - the Feminist Peace Organization
44. Friends Committee on National Legislation (FCNL)
45. Fund for Global Human Rights
46. Glia
47. HEKS/EPER (Swiss Church Aid)
48. HelpAge International
49. Humanitarian Coalition
50. Humanity Auxilium
51. Humanity & Inclusion – Handicap International
52. Humanity First UK
53. INARA
54. Insecurity Insight
55. International Development and Relief Foundation (IDRF)
56. INTERSOS
57. Islamic Relief
58. Jahalin Solidarity
59. Japan International Volunteer Center (JVC)
60. Jüdische Stimme für Demokratie und Gerechtigkeit in Israel/Palästina JVJP Switzerland
61. KinderUSA
62. Kvinna till Kvinna Foundation
63. La Coordinadora de Organizaciones para el Desarrollo (The Spanish Development NGO Platform)
64. Médecins du Monde International Network
65. Médecins Sans Frontières (MSF)
66. MedGlobal
67. Medical Aid for Palestinians (MAP)
68. medico international
69. medico international schweiz
70. Mennonite Central Committee (MCC)
71. Middle East Children’s Alliance
72. MPower Change Action Fund
73. Muslim Aid
74. Nonviolent Peaceforce
75. NORWAC – Norwegian Aid Committee
76. Norwegian Church Aid
77. Norwegian People's Aid (NPA)
78. Norwegian Refugee Council (NRC)
79. Oxfam
80. Palestinian Children’s Relief Fund (PCRF)
81. PANZMA - Palestinian Australian New Zealand Medical Association
82. PARCIC
83. Pax Christi International
84. PAX for Peace
85. Peace Watch Switzerland
86. People in Need (PIN)
87. Plan International
88. Polish Humanitarian Action (PAH)
89. Portuguese Platform of Development NGOs
90. Premiere Urgence Internationale (PUI)
91. Project HOPE
92. Relief International
93. Right to Play
94. Sabeel-Kairos UK
95. Saferworld
96. Save the Children International
97. Secours Islamique France (SIF)
98. Solidar Suisse
99. Solidarités International
100. SWISSAID
101. Terre des Hommes Italy
102. Terre des Hommes Lausanne
103. The Eastern Mediterranean Public Health Network (EMPHNET)
104. The United Church of Canada
105. United Against Inhumanity (UAI)
106. Vento di Terra
107. War Child Alliance
108. Weltfriedensdienst e.V.