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2022年1月の記事一覧


 JVCは、他の5つの協働団体とともに、ビルマ/ミャンマーで国軍への資金提供を通じて殺人、迫害、恣意的拘束、性暴力、強制失踪、拷問などの国際犯罪や重大な人権侵害を支えているという容認できないリスクがあるにも関わらず行われている4つの事業に投資を続けている日本企業4社(ENEOS株式会社、住友商事株式会社、丸紅株式会社、三菱商事株式会社)の主要株主125企業・機関に要請書を送付、この件についてのプレスリリースを発出しました。

 要請書では、4つの事業に関与する日本企業の株主に対し、投資先企業に対して直ちにエンゲージメントを行い、企業のビジネス活動がミャンマー国軍を利することを避けるための措置を講じるよう求めてほしい、としています。要請書はさらに、投資先企業が十分な措置を講じない場合には投資の引き揚げも検討するよう求めています。

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〈プレスリリース〉

〈要請書〉

プレスリリース

2022 年 1 月 21 日

プレスリリース

ミャンマーでビジネスを継続している日本企業 4 社の主要株主 125 機関に対し企業がミャンマー国軍の資金源を断つよう求める要請書を送付

メコン・ウォッチ
国際環境 NGO FoE Japan
Justice For Myanmar
アーユス仏教国際協力ネットワーク
日本国際ボランティアセンター(JVC)
武器取引反対ネットワーク(NAJAT)

 日本企業による海外でのビジネスにおいて、適切な環境・社会・人権配慮がなされるよう政策提言活動を行っている上記6つの市民団体は2022年1月18日、ENEOS株式会社、住友商事株式会社、丸紅株式会社、三菱商事株式会社の主要株主125企業・機関に要請書を送付しました。これらの日本企業はミャンマーで問題のある4つの事業に投資を続けています。これらの事業は、ミャンマー国軍への資金提供を通じて殺人、迫害、恣意的拘束、性暴力、強制失踪、拷問などの国際犯罪や重大な人権侵害を支えているという容認できないリスクがあるにも関わらず行なわれています。

 上記 4 社は、ミャンマー国軍による暴力や人権侵害等に対する一般的な懸念を示してはいるものの、ミャンマーにおける自らのビジネス活動が国軍による深刻な人権侵害に加担するリスクを回避する具体的な計画は公式に表明しておらず、ビジネス活動の方針変更などの計画も発表していません。4 社が関与するのは、ティラワ経済特別区開発、イェタグン・ガス田開発、ランドマーク事業(ヨマ・セントラル・プロジェクト)、ティラワ港湾ターミナル事業の 4 事業。

 要請書は、4 つの事業に関与する日本企業の株主に対し、投資先企業に対して直ちにエンゲージメントを行い、企業のビジネス活動がミャンマー国軍を利することを避けるための措置を講じるよう求めてほしい、としています。要請書はさらに、投資先企業が十分な措置を講じない場合には投資の引き揚げも検討するよう求めています。

【4 つの事業についての詳細は要請書本文を参照】
●日本語
http://www.mekongwatch.org/report/burma/mbusiness/
20220118Letter_Jp.pdf

●英語
http://www.mekongwatch.org/report/burma/mbusiness/
20220118Letter_Eng.pdf


●要請書送付先 125 機関
http://www.mekongwatch.org/report/burma/mbusiness/20220118List.pdf

【本件に関する問合せ先】
メコン・ウォッチ
〒110-0016 東京都台東区台東 1-12-11 青木ビル 3F
TEL: +81-3-3832-5034
contact(@)mekongwatch.org


要請書

2022年1月18日

投資家の皆様

ミャンマーでビジネスを継続している企業に対して
ミャンマー国軍の資金源を確実に断つ措置を講じるよう
エンゲージメントを求める要請書

メコン・ウォッチ
国際環境NGO FoE Japan
Justice For Myanmar
武器取引反対ネットワーク(NAJAT)
アーユス仏教国際協力ネットワーク
日本国際ボランティアセンター(JVC)


 私たちは、日本企業による海外でのビジネスにおいて適切な環境・社会・人権配慮がなされるよう政策提言活動を行っている市民団体です。この度、下表に示した4事業をミャンマーで継続している日本の事業出資者(ENEOS株式会社、住友商事株式会社、丸紅株式会社、三菱商事株式会社)に対してエンゲージメントをお願いしたく、皆様を含めた各出資者の主要株主計125社に対して本要請書を送付しております。

 昨年2月にミャンマー国軍によるクーデターが起きて以降、私たちはこれまで、下表に記したミャンマーにおける事業に出資している日本企業が、事業活動を通じて国軍を利することにより、国軍による人権侵害に加担する可能性を指摘するとともに、各社が有する人権方針や国際基準に照らした行動をとるよう、要請書や会合等を通じて各社に求めております。これらの事業が継続されてミャンマー国軍の資金源となり、国軍による市民の殺人、不当逮捕・恣意的拘束、性的暴力、強制失踪、拷問といった国際犯罪や深刻な人権侵害を資金的に後押しする強い懸念があるためです。

表:各事業で懸念されるミャンマー国軍への資金の流れと各企業に求められる措置

事業名及び出資者
(出資比率)
国軍に資金が流れる可能性 事業者に求められる措置
ティラワ経済特別区(SEZ)開発 (*1)

・日本民間6社(39%)
-住友商事(32.2%)
-丸紅(32.2%)
-三菱商事(32.2%)
-みずほ銀行(1.13%)
-三井住友銀行(1.13%)
-三菱UFJ銀行(1.13%)
・国際協力機構(10%)
・ミャンマー・ティラワSEZホールディング ス(41%)
・ティラワSEZ管理委員会(10%)
・ティラワSEZ管理委員会(ミャンマー政府)が10%を共同出資しているため、配当金の一部が国軍に流れる可能性
・ティラワSEZ管理委員会の人事を国軍が既に掌握(クーデター後に委員長を逮捕・拘束し、その後、新委員長を任命)しており、事業全般への国軍の関与が増す可能性
・配当金の支払停止
・SEZ運営上の意思決定における国軍の影響力排除
・国軍を利することを回避できない場合は撤退
イェタグン・ガス田開発 (*2)

・ペトロナス・チャガリ社(40.9%)
・ミャンマー石油ガス公社(MOGE)(20.5%)
・PTTエクスプロレーション・アンド・プロダクション(PTTEP)(19.3%)
JXミャンマー石油開発(19.3%)
-JX石油開発(ENEOS 100%子会社)(40%)
-三菱商事(10%)
-経済産業大臣(50%)
・国軍は既に関連省庁、中央銀行、ミャンマー石油ガス公社(MOGE)を実効支配しており、天然ガス田と輸送パイプラインに対するMOGEの出資分の利益等、各種収入が国軍に利用されることを確実に回避するのは不可能
・生産分与契約等に基づく天然ガス生産と輸送に課される各種支払金が国軍に流れることを確実に回避するのは不可能
・国軍が支配する事業体へのあらゆる支払金を停止し、民主化が確立するまで保護された口座にプール
・国軍を利することを回避できない場合は撤退
ランドマーク事業 (*3)

・日本SPC
-三菱商事 -三菱地所 -海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)
・現地SPAグループ
・アジア開発銀行(ADB)
・国際金融公社(IFC)
・国軍は既に関連省庁を実効支配しており、事業用地はミャンマー鉄道運輸省ミャンマー国鉄の土地をサブリースするため (*4) 土地の賃料が国軍に流れることを確実に回避するのは不可能 ・土地の賃料も含め、事業収益が国軍を利することがないか調査し、国軍を利することを回避できない場合は撤退
ティラワ港湾ターミナル (*5)

・日本SPC(35%)
-住友商事(36%)
-豊田通商(34%)
-JOIN(30%)
・上組(51%)
・EFRグループ(14%)
・国軍は既に関連省庁を実効支配しており、ミャンマー港湾公社(MPA)とのコンセッション契約の下、使用料等が国軍に流れることを着実に回避するのは不可能 ・国軍がMPAを事実上統治下に置いていることから、国軍が支配する事業 体へのあらゆる支払金を停止し、民主化が確立するまで保護された口座にプール
・国軍を利することを回避できない場合は撤退

 上記4社(ENEOS株式会社、住友商事株式会社、丸紅株式会社、三菱商事株式会社)の各企業は、それぞれ人権方針を有し、国連グローバル・コンパクトや国連「ビジネスと人権に関する指導原則」など国際水準の人権方針を支持し、それらを実行することを公言しています。しかし、これまで上記の各日本企業は私たち市民団体の要請書等に対し、ミャンマー国軍による暴力や人権侵害等に対する懸念を示しはするものの、ミャンマーにおける自らのビジネス活動が国軍による深刻な人権侵害に加担するリスクを回避する方法や、自らのビジネス活動の進退など、具体的な方針を公式に表明していません。

 つきましては、上記事業における日本の出資者の株式を保有されている皆様に、各企業に対して上 記表に示した「事業者に求められる措置」を早急に取るよう、エンゲージメントを行うことを要請します。エンゲージメントの結果、事業者が対応を取らない場合は、投資の引き揚げもご検討いただきたくお願 いいたします。ミャンマー国軍による国際犯罪に相当する深刻な人権侵害については、別紙参考情報をご参照ください。

 大変お忙しい中、誠に恐縮ではございますが、本要請に対する貴機関の対処方針・ご意見を下記の 連絡先宛に2月28日までに頂けますよう、よろしくお願い申し上げます。

以上



【本要請書に関するご返答・お問合わせ先】
メコン・ウォッチ
〒110-0016 東京都台東区台東1-12-11青木ビル3階
TEL:03-3832-5034
E-mail: contact@mekongwatch.org

【添付資料】
・ミャンマー情勢ブリーフィングペーパー



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注:
(*1)"Presentation of Myanmar Japan Thilawa Development Ltd.(MJTD)," Sumitomo Corporation, March 14, 2018,
https://www.sumitomocorp.com/-/media/Files/hq/ir/explain/business/en/20180314MJTD_ENG.pdf?la=en
(*2) JX石油開発によるイェタグン事業の概観
https://www.nex.jx-group.co.jp/english/project/southeast_asia/myanmar.html(最終閲覧日2021年11月27日)
(*3)"Mitsubishi Corporation and Mitsubishi Estate Agree to Commence the Landmark Project, a Large Mixed-Use Redevelopment Project in Downtown Yangon, Myanmar," press release by Mitsubishi Corporation and Mitsubishi Estate Co., Ltd., July 12, 2016,
https://www.mitsubishicorp.com/jp/en/pr/archive/2016/html/0000030584.html
(*4) "Initial Environmental Examination, MYA: Yangon Urban Renewal and District Cooling Project," Asian Development Bank, February 2014, p.22,
https://www.adb.org/sites/default/files/project-document/80805/47913-014-iee-01.pdf
(*5) "Stake Acquired in Port Terminal Operating Company in Myanmar," news release by Sumitomo Corporation and Toyota Tsusho Corporation, January 30, 2019,
https://www.sumitomocorp.com/en/jp/news/release/2019/group/11310(最終閲覧日2021年11月27日)

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ミャンマー情勢ブリーフィングペーパー

 ミャンマーでは過去数十年にわたり国軍が甚だしい人権侵害を行なってきた<1>。少数民族居住地域での民間人住民に対する人権侵害は国際犯罪に相当するとされる場合もある<2>。

 2021年2月1日のクーデター以降、多くの市民が軍政復活に反対を表明したが、国軍はこの動きに暴力で応じ、2022年1月1日現在、1,393人が殺害され、11,296人が拘束されている<3>。国連人権理事会が設置した「ミャンマーに関する独立調査メカニズム(IIMM)」は7月、国軍を含む治安部隊がクーデター以降、殺人、迫害、恣意的拘束、性暴力、強制失踪、拷問など「重大な国際犯罪を犯している」と述べた<4>。IIMMによればこれらの犯罪は人道に対する罪に相当すると認められる可能性もある。

 ミャンマーではクーデター以前から少数民族居住地域で武力紛争が数十年間続いており、国軍が少数民族武装勢力の掃討作戦の一環として行なう強制労働や強制移住、性暴力、超法規的殺害などにより民間人住民も多数が犠牲となってきた<5>。国軍は開発事業を進めるためにこうした軍事作戦を行なうこともある<6>。ガス田からタイに天然ガスを運ぶヤダナ・パイプラインの建設時には国軍がルート沿いに展開し、少数民族住民に対して強制移住、強制労働、略奪、レイプ、即決処刑などを行なった<7>。数年後、同じルートにイェタグン田からのパイプラインも設置された。

 2017年、国軍はラカイン州でロヒンギャ・ムスリム住民が暮らす集落を襲い、殺害、レイプ、恣意的拘束、民家への大規模放火を行なった。国連人権理事会が設置した国際独立事実調査団(IIFFMM)は、この作戦の際に国軍による人道に対する罪のほか、戦争犯罪に相当する国際人道法違反があったと述べた<8>。また、このときにジェノサイドがあったとしてガンビアがミャンマーを国際司法裁判所(ICJ)に提訴し、現在も係争中である。クーデター後、少数民族地域での紛争は継続、悪化、または再開した<9>。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によれば、2021年12月現在、ミャンマーにはクーデター以降の紛争や騒乱のため約29万6,000人の国内避難民(IDP)がいる<10>。

 国軍は独自のビジネス網を構築して活動の原資としている。上述のIIFFMMは国軍の経済的権益についての2019年の報告書で<11>、国軍がその所有会社や外国企業との取引を利用して少数民族に対する軍事作戦を支えている実態を詳しく明らかにした。さらに、国軍が国内外の商取引から得る収入は同軍が深刻な人権侵害を行う能力をおおいに高めているため、「ミャンマーで活動している、またはミャンマー企業との取引やミャンマー企業への投資をしている企業は、ミャンマーの治安部隊、特に国軍、またはそれらが所有もしくは支配する企業といかなる形の取引関係を開始、継続すべきでもない」と勧告した<12>。400社を超える日本企業がミャンマーに進出しているが、一部は国軍のこのビジネス網を通じて人権侵害に関与している可能性が高い。

―――――


<1>例えば次を参照。Written updates of the Office of the United Nations High Commissioner for Human Rights (UNHCHR) on the situation of human rights in Myanmar, September 16, 2021, p.2.
<2> Ibid.
<3>政治囚支援協会まとめ。Assistance Association for Political Prisoners, Daily Briefing in Relation to the Military Coup, October 1, 2021.
<4>Report of the Independent Investigative Mechanism for Myanmar, July 5, 2021, p.9.
<5>例えば次を参照。The Shan Human Rights Foundation & The Shan Women's Action Network, License to Rape: The Burmese military regime's use of sexual violence in the ongoing war in Shan State, May 2002); Shan Human Rights Foundation, Dispossessed: Forced Relocation and Extrajudicial Killings in Shan State, April 1998.
<6>例えば次を参照。EarthRights International, Total Denial Continues: Earth Rights Abuses Along the Yadana and Yetagun Pipelines in Burma (2000); Karenni Development Research Group, Dammed by Burma's Generals: The Karenni Experience with Hydropower Development From Lawpita to the Salween, 2006.
<7>EarthRights International, 前掲書。
<8>Report of the independent international fact-finding mission on Myanmar, September 17, 2018, pp. 374, 376.
<9>前掲UNHCHR, pp. 9, 11.
<10>UNHCR, Myanmar Emergency Update as of 4 October 2021.
<11>Independent International Fact-Finding Mission on Myanmar, Economic interests of the Myanmar military, August 5, 2019.
<12>Ibid., p.66.



2021年12月10日、米国、英国、カナダは、2021年2月1日のビルマ/ミャンマー国軍による違法なクーデターに対し、国軍の Office of the Quartermaster General(QMG、兵站総局)に制裁を課しました。QMG は、ミャンマー軍のビジネス上の利益を監督する重要な組織です。

ミャンマー軍が支配する土地上で複合不動産開発「Y コンプレックス」を行っている大和ハウス工業の子会社であるフジタ、東京建物、民間インフラファンドの海外交通・都市インフラ投資事業団(JOIN)などの日本企業は、QMG に年間 180 万米ドル以上の賃料を米ドルで支払っており、制裁対象企業を実質的に支援していることが判明すれば、米国の制裁に違反する可能性があります。

また、日本の政策金融機関である国際協力銀行(JBIC)と三井住友銀行、みずほ銀行が 1億4400万米ドルの融資を通じてこのプロジェクトに共同出資しています。

これを受けて、JVCは、Yコンプレックス開発に関わり続ける日本の投資家に対する声明を、ヒューマンライツ・ナウ、Justice For Myanmar、メコン・ウォッチと共同で発表しました。

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2021年2月1日にミャンマーで国軍によるクーデターが発生してから、すでに10ヶ月が経ちます。ミャンマー市民が民主主義と自由を求めて命がけの闘いを続ける中、国軍による苛烈な残虐行為はいまだに後を絶ちません。クーデター以降、子どもを含む1,275名もの命が奪われ、10,285名もの市民が不当に逮捕されてきました(2021年11月18日時点)。少数民族地域における空爆や砲撃なども繰り返されており、国連によれば、234,600名もの国内避難民が生み出されている他、ミャンマー全国で300万人以上が人道援助を切実に必要としている状況です。

JVCはこれまで、他団体とともに「ミャンマー国軍の資金源を断つ」具体的な行動を日本政府や企業に求めてきました。しかし、ミャンマーで経済協力を行うとともに、日本企業のミャンマーにおけるビジネスを後押ししてきた日本の外務省、財務省、国土交通省、経済産業省は、ミャンマー国軍を利する可能性がある事業について、いまだに「資金源を断つ」具体的かつ有効な措置をとっていません。

このような状況を受け、2021年10月の新政権下で就任した4省の新大臣宛てに、書簡(35団体賛同)を提出しました。日本の新政権がミャンマー市民からの切実な訴えに耳を傾け、多大な経済支援をミャンマーに振り向けてきた日本政府としての責任ある行動をただちに取るよう、強く要請するとともに、4省の前でアクション(約60名参加)を実施しました。

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