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要請書

【共同要請書】日本の対ミャンマー公的資金における国軍ビジネスとの関連を早急に調査しクーデターを起こした国軍の資金源を断つよう求めます

2021年3月12日 更新

深刻な状況の続いているミャンマー情勢を踏まえ、メコン・ウォッチとアーユス仏教国際協力ネットワークは要請書を発表し、関係省庁などに送付しました。
JVCは、他の28団体と共に、この要請書に賛同しています。

日本からミャンマーへの援助が間接的に市民の命を奪うことに使わないよう、今後も情勢を注視し働きかけを続けていきます。

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【要請書】日本の対ミャンマー公的資金における国軍ビジネスとの関連を早急に調査し、クーデターを起こした国軍の資金源を断つよう求めます

【要請書】日本の対ミャンマー公的資金における国軍ビジネスとの関連を早急に調査しクーデターを起こした国軍の資金源を断つよう求めます

財務大臣 麻生太郎様
 外務大臣 茂木敏充様
 国土交通大臣 赤羽一嘉様
 国際協力銀行 代表取締役総裁 前田匡史様
 国際協力機構 理事長 北岡伸一様
 海外交通・都市開発事業支援機構 代表取締役社長 武貞達彦様

 ミャンマーで2月1日に国軍によるクーデターが発生してから1ヶ月が経ちました。国軍は、昨年11月の総選挙の結果が不正であるとし、選挙結果を受け入れられないことを理由に挙げています。一方、クーデター後、市民の不服従運動やゼネストは全国で発生して今日まで続いており、ミャンマーの人びとの民意は明らかです。これに対し、国軍は非武装の市民に発砲し、複数の死者も出ている情勢です。日本政府は外務大臣談話等でクーデター発生当日の2月1日から「重大な懸念」[1]を示すとともに、複数の民間人の死傷を「強く非難」[2]してきました。また国際社会とも協調してG7外相声明で軍事クーデターの発生[3]やクーデターに反対する人々への威嚇及び抑圧[4]を非難しています。しかし、ミャンマーの民主化の行方に強い関心を持つ私たち日本の市民グループは、日本政府による更に踏み込んだ措置が必要と考え、以下の点を強く要請します。

要請

1.  新規の対ミャンマー支援については、人道目的以外の公的資金による支援を実施しないでください。

2.  国際協力機構(JICA)が現在実施している対ミャンマー政府開発援助(ODA)事業については、人道目的のものを除く全ての支援を一旦停止し、国軍との関連が指摘された企業が事業に関与していないか、または、事業の実施が国軍に経済的利益をもたらしていないか、早急に調査してください。

3.  国際協力銀行(JBIC)や海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)がミャンマー関連で現在融資・出資している事業への支援を一旦停止し、国軍との関連が指摘された企業が事業に関与していないか、または、事業の実施が国軍に経済的利益をもたらしていないか、早急に調査してください。

4.  2.と3.の調査で明らかとなった事実を公表し、国軍を裨益する事業に関しては、直ちに中止、または支援を取りやめる措置を取ってください。

5. ミャンマーで事業を実施する日本の民間企業に対しては、国軍との関係を断つよう指導し、その実現に向けた支援を実施してください。国軍との関係を断つことを拒否する企業に対しては、日本政府の開発協力大綱[5]及び国連「ビジネスと人権に関する指導原則」[6]に照らし、直ちに公的支援を取りやめてください。

背景

 日本政府は、2011年に当時のミャンマー軍政が民主化を約束したことから、以下に示すとおり、ミャンマーに対して国税による多大な財政的支援を実施するとともに、財政投融資からの公的資金を呼び水とし、日本企業の投資を促進してもいます。しかし、2015年に続き2020年の選挙でも多数の票を得た国民民主連盟(NLD)による政権が発足しようとする直前、国軍によるクーデターの発生により、その民主化の約束は破られています。

 国軍に関しては、所有する企業や様々な商取引を通じて経済的な利益を得ていることが国連の調査[7]によっても明らかにされています。NLD政権下でも国防省は国の監査の対象外でした[8]。国軍となんらかの形で関与する公的事業やビジネスは、軍を裨益する可能性があったにもかかわらず、監視の目を逃れてきました。国軍にもたらされた利益が、これまでのラカイン州および少数民族居住地域における国軍や治安部隊による非人道的な行為、さらには今回のクーデターの資金源となっている可能性は否めません。これ以上の軍への裨益は阻止しなくてはならず、新規の事業は勿論のこと、既存の事業についても早急な対応が必要です。

<日本政府による対ミャンマー支援の概要>

 ミャンマーに対し日本政府は2018年度までに、ODAとして、有償資金協力1兆1,368億円、無償資金協力3,229.62億円、技術協力984.16億円[9]という多額の資金援助を行ってきました。特に、2011年のいわゆる「民政化」以降、JICAを通じ、ティラワ経済特別区(SEZ)の周辺インフラの整備と同SEZ開発への出資・融資、水力発電所の改修やヤンゴン-マンダレー鉄道の整備、送電システムや通信システムの整備、東西経済回廊の整備[10]といった、大規模なインフラ整備事業がODAとして実施されてきました。

 また、日本政府はミャンマーに対する債務救済でも大きな役割を果たしてきました。2013年には、2002年に決定した重責債務国への債務免除1,274億円に加え[11]、1,886億円の債務救済[12]も行われました。これらは、ミャンマーが民主化を進めるという前提で、日本国民の負担により提供されてきたものです。その他にも、返済期限の過ぎた債務1,989億円の借換えも日本が支援しました[13]。

 国際金融機関へのミャンマーの債務については、JBICを通じ2013年に、ミャンマー政府のアジア開発銀行(ADB)に対する延滞債務の解消のために約5億1,200万米ドル、世界銀行グループの一つである国際開発協会(IDA)に対する延滞債務の解消のために4億3,000万米ドルのブリッジローン(短期のつなぎ融資)を提供し、ミャンマー政府への世銀、ADBからの新規融資を可能にしています[14]。

 更に、日本政府はJBICを通じ、日本企業のミャンマーでの事業展開を支援しています。旧都ヤンゴンでの都市開発や、ダウェー経済特別区開発会社への出資[15]など、2013年以降、10数件への支援を行なってきました。その中には、国軍関連企業ミャンマー・エコノミック・ホールディングス・リミテッド(MEHL)との事業提携が批判されたキリンホールディングス株式会社によるミャンマー法人Myanmar Brewery Limitedの買収や[16]、国軍兵站総局と関係がある[17]ヤンゴン中心部における複合都市開発事業(通称Y Complex開発事業)も含まれています[18]。なお、キリンホールディングスはMEHLとの提携解消をクーデターの発生後すぐに発表しています。Y Complex開発事業については、前述の国連の報告書には取り上げられていないものの、事業地を国軍からサブリースしていることで、その支払い賃料が国軍の収益になっていることが強く疑われています[19]。

 国土交通省の監督する官制インフラファンドのJOINも、ミャンマーにおいて、Y Complex開発事業を含む5件の事業に合計177億円(最大額)の投資[20]と計184億円の債務保証(同)を実施しています[21]。

[1]ミャンマー国内情勢について(外務大臣談話)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/danwa/page3_003009.html

[2] ミャンマーにおけるデモ隊等の死傷について(外務報道官談話)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/danwa/page1_000935.html

[3] G7外相声明|外務省 (2021年2月3日)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press3_000416.html

[4]G7外相声明|外務省(2021年2月23日)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press6_000750.html

[5] 大綱のⅡ.理念、(2)基本方針で「ア.非軍事的協力による平和と繁栄への貢献」と「イ.人間の安全保障の推進」が示されている他、Ⅲ.実施、(1)実施上の原則、イ.開発協力の適正性確保のための原則で、(ア)民主化の定着,法の支配及び基本的人権の保障に係る状況、(イ)軍事的用途及び国際紛争助長への使用の回避、(ウ)軍事支出,大量破壊兵器・ミサイルの開発製造,武器の輸出入等の状況、等を総合的に判断の上,開発協力を実施、とある。

[6] 原則4.では、「国家は、国家が所有または支配している企業、あるいは輸出信用機関及び公的投資保険または保証機関など、実質的な支援やサービスを国家機関から受けている企業による人権侵害に対して、必要な場合には人権デュー・ディリジェンスを求めることを含め、保護のための追加的処置をとるべきである。」と規定されている。(和訳出典:https://www.unic.or.jp/texts_audiovisual/resolutions_reports/hr_council/ga_regular_session/3404/ )

[7] 国連人権理事会ミャンマーに関する事実調査団 (Independent International Fact-Finding Mission on Myanmar)「ミャンマー国軍の経済的利益についての報告書」2019年8月5日(同年9月12日に修正版発行)。ミャンマー国軍が国内外の商取引から得る収入により、人権侵害を行う能力を高めていると指摘し、ミャンマー国軍と同軍が支配し利用する諸企業が構成する広大なネットワークとの関係を断つよう勧告している。

関連レポートの掲載ページ。
https://www.ohchr.org/EN/HRBodies/HRC/MyanmarFFM/Pages/EconomicInterestsMyanmarMilitary.aspx

[8] The Union Auditor General Law の 39 条。
https://www.mlis.gov.mm/lsScPop.do?lawordSn=9512

[9]ミャンマー基礎データ(外務省)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/myanmar/data.html#section5

[10] JICA 案件配置図 Myanmar
https://libportal.jica.go.jp/library/Data/PlanInOperation/SoutheastAsia/030_Myanmar.pdf
東西経済回廊整備事業 | ODA見える化サイト
https://www.jica.go.jp/oda/project/MY-P15/index.html

[11] 外務省(平成25年1月30日)(別紙)ミャンマーの延滞債務の解消について
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/25/1/pdfs/20130130_02_1.pdf

[12] 外務省(平成25年5月26日)ミャンマーに対する債務救済措置
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press6_000264.html
(別紙)ミャンマーに対する円借款債権に係る遅延損害金の免除について
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000005193.pdf

[13] ミャンマーの延滞債務の解消について
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/25/1/pdfs/20130130_02_1.pdf

[14] JBICプレスリリース (2013年1月28日)ミャンマー連邦共和国政府に対するブリッジローン
https://www.jbic.go.jp/ja/information/press/press-2012/0128-6413.html

[15] JBICプレスリリース(2015年12月15日)ミャンマー連邦共和国・ダウェー経済特別区開発会社への出資参画を目的とした株主間契約を締結
https://www.jbic.go.jp/ja/information/press/press-2015/1215-44764.html

[16] JBICプレスリリース(2015年11月25日)キリンホールディングス株式会社によるミャンマー連邦共和国法人の買収資金を融資
https://www.jbic.go.jp/ja/information/press/press-2015/1125-44174.html

[17] ヤンゴン市内都市開発(Y Complex事業)
http://www.mekongwatch.org/report/burma/ycomplex.html

[18] JBIC プレスリリース(2018年12月18日)ミャンマー連邦共和国において日本企業が実施する複合不動産の開発・運営事業に対する融資
https://www.jbic.go.jp/ja/information/press/press-2018/1218-011714.html

[19] ヤンゴン市内都市開発(Y Complex事業)
http://www.mekongwatch.org/report/burma/ycomplex.html

[20] ティラワ港穀物ターミナル事業、ティラワ港ターミナル運営事業、ヤンキン都市開発事業、ヤンゴン博物館跡地再開発事業(Y Complex)、ヤンゴンランドマーク事業。
https://www.join-future.co.jp/investments/achievement/#

[21] Y Complexの債務保証、最大約47億円。
https://www.join-future.co.jp/news/index.php?c=topics_view&id=20170728-1

ヤンキン都市開発債務保証、最大約137億円。
https://www.join-future.co.jp/news/index.php?c=topics_view&id=20200317-1

本件についての連絡先

メコン・ウォッチ
〒110-0016 東京都台東区台東1-12-11 青木ビル3F Tel. 03-3832-5034 Emailはこちら

呼びかけ団体

特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク
特定非営利活動法人メコン・ウォッチ

賛同団体

アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam)
アジア開発銀行福岡NGOフォーラム
一般財団法人アジア・太平洋人権情報センター
一般社団法人Earth Company
公益財団法人アジア保健研修所
特定非営利活動法人AMネット
特定非営利活動法人アフリカ日本協議会
特定非営利活動法人アジア・コミュニティ・センター21
特定非営利活動法人日本国際ボランティアセンター
特定非営利活動法人アジア太平洋資料センター
特定非営利活動法人シェア=国際保健協力市民の会
特定非営利活動法人「環境・持続社会」研究センター (JACSES)
特定非営利活動法人地球市民ACTかながわ
特定非営利活動法人地雷廃絶日本キャンペーン
特定非営利活動法人横浜NGOネットワーク
特定非営利活動法人APLA
特定非営利活動法人HANDS
特定非営利活動法人WE21ジャパン
特定非営利活動法人パルシック
特定非営利活動法人草の根援助運動
特定非営利活動法人地球の木
特定非営利活動法人日本地雷処理・復興支援センター
特定非営利活動法人国際環境NGO FoE Japan
特定非営利活動法人ヒューマンライツ・ナウ
特定非営利活動法人名古屋NGOセンター
日本ビルマ救援センター
武器取引反対ネットワーク(NAJAT)
その他3団体

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