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ラオス 日本

スタッフインタビュー2018 第1回: ラオス現地調整員 山室良平

※本記事は2018年度に書かれたインタビューです。2022年7月より、山室の現職はラオス事務所現地代表へと変わっています。

こんにちは!2018年度広報インターンの藤井です。

笑顔でインタビューに応じてくれた山室さん。右手のミサンガのようなものはラオスの儀式でつけてもらったものだそう。

2015年に始まった「スタッフインタビュー」ですが、あれから3年経った今、スタッフの顔ぶれも少しづつ変わってきました。そこで本年度は「スタッフインタビュー続編」ということで、新しいスタッフにインタビューしていきたいと思います。どうしてNGOで働くことを選んだのか、また身近でしか知ることのできない意外な一面を記事にまとめ随時更新していきますのでどうぞお楽しみに!

さて、記念すべき2018年度第1回目はラオス事業現地駐在員の山室良平さんです。フルタイム雇用の経験なしでNGOに入ったという異色の経歴の持ち主。一見国際協力一筋!と硬い印象を受けますが実はお茶目な一面もあるのです。2016年にJVCに入職し、現在ラオス駐在3年目に入ったところです。一時帰国した際にたくさんお話を伺いました!

 笑顔でインタビューに応じてくれた山室さん。右手のミサンガのようなものはラオスの儀式でつけてもらったものだそう。

(笑顔でインタビューに応じてくれた山室さん。

右手のミサンガのようなものはラオスの儀式でつけてもらったものだそう。)

国際協力に携わろうと思ったきっかけは何ですか?

世界的な経済システムの中で、マネーゲーム的なことに疑問を抱いたのがきっかけですかね。物価上昇とか、株価の変動などで知らないうちに右往左往させられるのって結局農民、特に弱い立場にいる人々なので、そういう人たちに寄り添えるようなことをしたいと思いました。また、子どものころに「お金」による問題や「差別」の問題が身近にあったので、「お金」という価値ばかりを追求するような働き方に疑問を持っていたこともあると思います。

大学ではどのようなことを学ばれましたか?

大学ではメディア社会学部に入りました。実は大学時代から国際協力について学ぼうと思っていたわけではないんです。初めはバラエティ番組のADを目指していて、またそこまで大学に入ることにはこだわっていなかったので大学が不合格だったらお笑い養成所に入ろうとも思っていました(笑)。小中学生の頃からお笑い、特にブラックジョークの類が好きで、世界の矛盾や不条理が風刺などで笑い飛ばせればいいなと考えていました。
結局大学に入ってからは週5でホッケーをしていた体育会系学生になりました。

では、その後国際協力業界を目指した転機は何ですか?

ゼミでの経験だと思います。ゼミの先生が、それこそ子どものとき感じていた「弱い立場のために」という思いの下研究していて、自分も関わりたいと思いました。大学の卒論では「近代合理主義批判」といったテーマを研究したり、ハンナ・アーレントの『人間の条件』を読んだりと昔からの問題意識に関わるようなことを学んでいました。ゼミで「弱い立場にいる人々に寄り添う」ということを学べたことは今活動するうえでも大きな支えになっています。あと国際協力は体力が必要なので体育会系の部活での経験も今ではすごく役立っています。

 ラオスでのダム建設の様子

(ラオスでのダム建設の様子)

大学時代インドへバックパッキングに行ったと伺いました。その時の経験についても教えてください。

インドへは2回行きました。1回目は3週間、2回目は2週間で両方とも1人旅です。遠藤周作の「深い河」を読んだ際、インドの時間の流れや信仰について興味を持ち、自分の目で見てみたいと思ったのがきっかけです。また、インド人はお金中心の働き方や生活と反対の暮らしをしているイメージもあったので、ぜひ行ってみたいと思いました。

ただ実際に行ってみたらそのイメージは覆されました。やはり観光地で働いている人たちはお金にうるさかったです。ただ、思ったことはズバッと言ってくれる人たちが多かったので決して悪い気はしませんでした。ちなみに、現地のタクシー運転手と土産物店の店主が取り囲んでお土産を押し売りしようとしてきたことがありました。地下室に連れ込まれ囲まれた時には身の危険を感じました。慌てて警察のもとへ逃げ込みましたね...。

もう一度インドに行きたいですか?

(たっぷり間をおいて)そうですね.........、はい...。(笑)

JVCに入った理由を教えてください

大学院でナショナリズムや経済合理主義的政策下で弱い立場に置かれる移民、先住民などについて研究しているうちに、「自分も実際に現地に行って、日々の暮らしを支える農村開発に携わりたい」と思うようになりました。その後大学院を中退し、すぐに現地に入ることができる国際協力NGOを探しました。新卒でNGOに入ることに周りは反対したのですが、自分では抵抗はなかったですね。

色々なNGOを見ているうちに、単なる農業"支援"ではなく、社会問題にまでフォーカスした活動をしているJVCに惹かれ、入職を決めました。その頃は事業国にこだわりはなく農村開発の事業に関わりたかったので、もしそこで他の国の駐在員の枠があればそっちを応募していたかもしれません。そう考えればラオスの現地駐在員になったのは"縁があったから"ということですね。

集会風景。データを重視した活動は伝わりづらいので、直接言葉を交わせる集会の場が大事になってきます。

(集会風景。データを重視した活動は伝わりづらいので、

直接言葉を交わせる集会の場が大事になってきます。)

現地ではラオス語で活動をされていますが、ラオス語習得は大変でしたか?

そんな大変ではなかったですね(笑)。駐在1年目に自分で勉強する時間が取れたので割としっかり勉強できました。日本で買ったラオス語の本で単語や文法をひたすら反復演習したりリスニング教材を繰り返し聞いたりしていました。なので習得のコツといったものは特にないです。とにかく繰り返し練習するだけです。現場では、直接現地の農民や行政官と話す機会が多く、そのためにはラオス語習得は必須なので、責任感もありそれほど辛さは感じませんでした。

ズバリ!ラオスの魅力は何ですか?

自然と共生していて、素朴で笑いが絶えないところですね。農村で暮らしている人たちからは「村で生きる」「自然と農業で生きていく」という、地に足のついた暮らしを感じることが多いです。憧れますね。また、ラオスの人たちはちょっとしたことでも笑いながらみんなで話すということもあり、事務所は常に笑いで溢れています。 あとビールが安くて美味しいのも魅力の1つですね。仕事終わりの1杯はやっぱり格別です。

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(現地スタッフと一緒に議論をして決定します。)

自分の人生で大切にしていることは何ですか?

価値観や出自、階層などあらゆる面で多様な人々が、資源が限られているという状況の中で、ともに暮らしていくしかありません。そのうえで、虐げられる人がいないように、せめてみんながなるべく不安のない状態で生きていければいいな、と。そのために互いに寄り添い合いながら生きていきたいし、そういう仕事を今後もしていきたいなと思います。

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(ラオスの村の様子)

最後に国際協力を目指す後輩に一言!

遊んでばかりいずに、とにかく勉強して本を読んで、色んな現場に行ってやれることをやる。自分が世界に貢献できることをする。せめて、世界に悪影響を及ぼすようなことはしない。それくらいしかできないのではないでしょうか。それだけでも大きな仕事です。

インタビューをしてみての感想

現地に飛び込み、現地の言葉で、現地民に寄り添って活動されている山室さんの様子が伝わってきたインタビューでした。また、幼少期から一貫して「お金中心の世界」に疑念を抱いているのだなと感じました。私自身、最後に頂いた熱い言葉を胸に残りの大学生活を送らねばなと思いました。(藤井)

山室さんは現地駐在をしているので今回会ったのも3回目という少ない期間のなかインタビューをしました。一見、硬そうな印象を持ちますが話してみるととってもお茶目な方で、インタビュー中も終始和やかな雰囲気でした。(ラオス事務所でもそのような様子だそう)20代で大学生である私とも比較的近い山室さんですが、社会問題や人生について熱い思いを持ち活動される姿に刺激を受けました。(石塚)

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