REPORT

ラオス

住民の権利を守るため、法律研修を実施しました

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ラオスでは、農村部の住民が普段利用している土地が、開発事業などによって、十分な補償もないまま破壊されたり、とり上げられてしまうといったことが起きています。

また、住民自身によるものも含めた換金作物栽培や木材伐採などが行き過ぎた結果、森がいつの間にか失われてしまうこともあります。

このような状況を改善していくためには、村人自身が生活の基盤である自然資源や、土地、そして自らの権利を守り、安定した暮らしを営んでいけるような仕組みが必要です。

そこで、JVCは土地利用などに関する法律研修を実施。2018年から21年にかけて、10村で住民に対し、研修を計46回行い、参加者はのべ2,279人にのぼりました。

活動の内容としては、住民の土地や自然資源の利用権利を守ったり、土地問題などの係争への対処法を伝えたりするため、関連する法令をまとめたカレンダーやポスターを使うなど、分かりやすい形で村人に説明を行ってきました。

2019年度には、法律研修に参加した村人のうち、平均して72%の村人が研修内容に理解を示し、さらに2020年度、参加した村の自治会メンバーの64%が研修内容を7割以上理解するという結果を生み出すことができました。

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村人からは、
「これまでは証書がないことによるトラブルを避けるために、土地の貸し借りなどが控えられてきた。法律研修を受けてからは、土地を収用されたとしても補償金を得たり、土地の貸し借りでトラブルが起きたりしないように、面積や持ち主などが詳細に記載された公式の土地証書を得る作業を一部の村人が始めている。」

「森林、土地、河川などに関する様々な法令を学ぶことができた。以前はカレンダーと言えば日付や月齢を確認するだけだったが、今は法律カレンダーの法令の内容をみている。村の会議で法令の内容やカレンダーについて村人たちに説明した。」

というような声を聞くことができ、法律研修の内容が、村人自身の手によって実践・共有されていることが窺えます。

自然と共生する素晴らしい術と共に生活してきたラオス農村部の村人たち。
日々の生活の基盤となる自然豊かな土地を失わないためにも、村人自身による保護・管理が今後も続いていくことが重要です。

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