REPORT

スーダン

避難民の人々はどうやって現金収入を得ている?

「現地便り」2月9日号(「アジザさんのラクバ~避難民向け住居の収穫」)の読者から、次のようなご質問をいただきました。

「避難民の方が自分で種子を購入したと書いてありますが、どうやって現金収入を得ているのでしょうか?」

ご質問の「現地便り」では、昨年8月にJVCが配布した種子以外にも、避難民の皆さんが市場に行って自分のおカネで購入した種で作物を育ててきた様子を書いています。
避難生活を送りながら、どうやって収入をあげているのでしょう?ごもっともな疑問です。

避難してきたばかりの人々に話を聞く(2011年12月撮影)

この写真は、紛争が始まって約半年後の2011年末、JVCの食料支援を受けた人たちから話を聞いている場面です。女性たちは、つい数日前に戦火を逃れて村からカドグリに逃れてきました。JVCスタッフが生活の様子を尋ねると、カドグリに住んでいる親戚の家で世話になっていたり、空き家に住んでいるという答えが返ってきました。

「それで、昼間は近所の家で掃除の仕事をしています」

えっ、ちょっと待って。数日前に避難してきたんじゃないの?
JVCスタッフがそう思って尋ねると、

「これまでも、乾季になって畑仕事が終わると村からカドグリに出てきてその家で働いていたんです。だから、事情を話したら『すぐに来ていいよ』って言われました」

多くの避難民にとってカドグリは全く見知らぬ土地ではなく、親戚の家があったり、出稼ぎに来たことがあったり、という場所のようです。ですから、掃除・洗濯といった家事手伝いの仕事を見つけるチャンスもあるようです。それだけで一家の生活が支えられるかどうかは別ですが。

林から集めた灌木を運ぶ

これは、昨年6月にティロ避難民向け住居の近くで撮影したものです。集落の外に広がる草原や疎林は、日本でいう入会地。人々は薪を拾い、草を刈り、木の実や野草を採集し、それを市場に持ち込めば現金収入を得ることができます。「草」というのは、日本の「茅」のように丈夫で背の高い草で、屋根材などの建築資材として有用なものです。

もちろん入会地の利用にはルールがあり、よそ者が勝手に入り込んで木を切ったりすることはできません。しかし避難民は、先に述べたように親戚や同じ村の出身者(ずっと以前にカドグリに移住した人々)の世話になるなど、地縁・血縁を頼りにしながら地域住民の一員として受け入れられており、こうした入会地を利用することができるようです。

スラヤさん(中央の緑の服)の家にて

避難民向け住居に住むスラヤさん。紛争が始まる前から、夫は町に出て仕事をしていました。今も、州内の別の町で働き、およそ2か月ごとにこの避難民向け住居に戻ってきます。

「戻ってくる時にね、炭をいっぱい持ってきてくれるんだよ」

南コルドファン州の田舎道を走ると、木炭が入った大きな麻袋が道端に並んでいるのを時々見かけます。村の人々が炭焼きをして、売りに出しているのです。町で買うのに比べればはるかに安価。スラヤさんの夫はそれを大量に買って、運んできてくれるのです。

スラヤさんの家の脇には、炭の袋が積み上がっていました。

「これをね、小さなビニール袋に詰めかえて1袋2スーダンポンドで売るんだよ」

そう、炭の小売りがスラヤさんのビジネスなのです。お客さんは、ここ避難民向け住居の人々。スラヤさんの家まで買いにきます。

こうしてみると、人々の暮らしぶりは、人里から隔絶された「避難民キャンプ」のイメージとは少し異なります。地縁・血縁といったネットワークや人の移動を生かしながら、巧みに現金収入の道を見つけ出しているのです。

そして2013年の暮れには、避難民向け住居に来て初めての収穫シーズンを迎えました。

避難民向け住居の南側、いちばん端の家にハイザさんは住んでいます。

ハイザさんに話を聞くJVCスタッフ

家の前のラクバ(草ぶきの長い軒先)は、刈り入れたソルガムの茎を使って、四方が壁のように仕切られていました。JVCスタッフが中に入ると、そこは独立した部屋のようです。天井から吊り下がるトウモロコシは、翌年の種まき用でしょうか。

ジュースびんのケースを椅子代わりにして、ハイザさんはオクラの輪切りに忙しそうです。JVCが配布した種子から収穫したオクラ。輪切りにしたあと天日で乾燥させて保存食にするのです。

「家族で食べるのですか?」

ここでは子ども5人との暮らしです。

「ははは...食べきれないよ、いっぱい採れたからね。乾燥させたらカドグリの市場に持って行って売るんだよ」

ハイザさんによれば、乾燥オクラは、ナマのオクラが市場に少なくなる乾季になると良い値段で売れるそうです。「子どもが(カドグリ市内の)小学校に行く毎日のバス代も大変でね」というハイザさんにとっては、大切な収入です。

JVCが配布した種子、そして自分たちで購入した種子も加えて作物を育てた2013年の雨季。その収穫は食料になり、現金収入になり、一部は来年用の種子にもなります。避難民の生活も、少し落ち着いてきたようです。

この地域でのJVCの種子配布はこの2013年度で終了する予定です。生活の基盤が、十分ではないにせよそれなりに確立され、来年の種まきは人々が自分たちの手で行えるだろうと考えるからです。今後は、より技術研修などに支援の比重を移していくことになりそうです。

避難民向け住居の中に商店を開いた人もいる。緑色のスタンドに石鹸やお菓子が並ぶほか、炭(左隅の黒のビニール袋)も売っている

【おことわり】
JVCは、スーダンの首都ハルツームから南に約700キロ離れた南コルドファン州カドグリ市周辺にて事業を実施しています。紛争により州内の治安状況が不安定なため、JVC現地代表の今井は首都に駐在し、カドグリではスーダン人スタッフが日常の事業運営にあたっています。このため、2012年1月以降の「現地便り」は、カドグリの状況や活動の様子を、現地スタッフの報告に基づいて今井が執筆したものです。

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