6/26 他国軍への武器無償援助「政府安全保障能力強化支援(OSA)」を考える 院内集会&意見交換会レポート
他国軍への武器無償援助「政府安全保障能力強化支援(OSA)」を考える 院内集会&意見交換会が、2023年6月26日15:00-17:30、参議院議員会館の講堂にて行われました。
その様子を、参加したインターン生の感想を交えてお届けします。
この集会はNGO非戦ネットの主催で、NGO非戦ネットの呼びかけ人や賛同団体に加え、市民、国会議員や秘書、メディア取材者など40人以上の方にご参加いただきました。
当日は以下のタイムテーブルに沿って集会が開かれました。
<第1部> 15:00~15:50
・NGOから見た政府安全保障能力強化支援(OSA)の問題点
NGO非戦ネット運営委員/日本国際ボランティアセンター 今井高樹
・武器輸出と一体の外務省の軍事支援
武器取引反対ネットワーク(NAJAT)代表 杉原浩司さん
・NGO非戦ネット 賛同団体からのアピール
日本キリスト教海外医療協議会(JOCS)理事 名取智子さん
アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam) 渡辺美奈さん
・国会議員からの発言(発言順)
井上哲士参議院議員(日本共産党)
辻元清美参議院議員(立憲民主党)
紙智子参議院議員(日本共産党)
川田龍平参議院議員(立憲民主党)
<第2部> 15:50~17:30
外務省 総合外交政策局 国際平和・安全保障協力室との意見交換
外務省総合外交政策局国際平和・安全保障協力室
濱田摩耶 安全保障協力調整官
石井彩 主査
第1部では、政府安全保障能力強化支援(OSA)の問題点を整理し、NGO関係者の発言、議員の意見が共有されました。
第2部では事前に提出された質問に沿って、市民を交えた外務省との意見交換会が行われました。事前質問は12個あり、一つずつ個別に取り上げる時間がないほど議論が白熱しました。
ただ、質問者であるNGO側と回答者である外務省側とのやりとりは、堂々巡りになる部分もありました。主催者側が用意した質問への答えが明確に示されたという感覚は、残念ながらありませんでした。
一つの大きな争点になったのは、OSAが導入されることによって、日本の平和国家としての基本理念から大きく離れていくのではないかという懸念でした。「国際紛争を助長しない」という指針が、紛争を前提として抑止力を高めるという方向に転換された上で、政策は今後も推し進められていくのだろうと理解するしかないようです。
*当日の様子については、堀潤さん(8bitNews〈Jun Hori〉)がアップしてくださっていますので、ぜひこのリンクからご覧ください。(堀潤さんのYoutubeサイトに飛びます)
ここからは、今回の院内集会に参加したJVCインターン生の感想をお届けします。
個人的な印象として、まず止まらない議論に圧倒されました。主催者側が用意した質問に対して外務省の方が澱みなく回答し、それに対する追及が瞬時に飛び出す、という展開に引き込まれ、あっという間に時間が過ぎていきました。登壇者の方全員の知識量と話力を、素直にすごいと思いました。
私は今回の集会に参加するまで、OSAに関する話題ついて、ODAの外交ツール化という点も含めて何となく不穏なものを感じてはいたものの、詳しいことは何も知りませんでした。そのような私でも、この集会で2時間半ほど話を聞く中で、この問題に関する知識がかなり増えたように思います。しかし、素人として参加した私にも分かるほど、議論が堂々巡りで答えが答えになっていないと感じる場面が度々あったのは残念でした。
参加者の方からの指摘で特に印象に残ったのは、今の外務省はまるで防衛省のようだというものでした。日本の「安全保障環境はかつてないほど厳しくなっている」と言われていますが、そういう困難な時代だからこそ、日本の外務省ならではの強みを維持し、従来通り協調や対話を主とする姿勢であり続けてほしいと思いました。
「国際協力」に関わる仕事に就きたいと考え、色々と進路を模索している私にとって、外務省やNGOといった各アクターの姿勢など、学び考えさせられることがたくさんありました。また、準備段階から本集会のお手伝いに行かせていただき、参議院議員会館の中に入り、メディアの方や国会議員さんなどを生で拝見し、日本外交の行方に関わる重要な意見交換の場に居合わせることができて、本当に貴重な経験となりました。このような機会をくださったすべての方に感謝いたします。
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