パブリックコメント

対南スーダン国別開発協力方針(案)に対するJVCのパブリックコメント

2021年6月6日までの間、外務省の対南スーダン国別開発協力方針(案)に係るパブリックコメントが募集されました。これに対し、同国で活動するNGOとしてJVCもコメントを提出しました。後日、外務省より具体的な対応やコメントへの回答が出された場合には、あらためてご報告させていただきます。

JVCは今後とも、現地の声をもとに、南スーダンの開発のあり方について提言活動をおこなっていきます。引き続きみなさまのご支援をいただきますよう、宜しくお願いいたします。

参照

JVCが提出したパブリックコメント

地方部における支援の重要性

「1. 当該国(地域)への開発協力のねらい」において「南スーダンでは社会・経済インフラ、基礎サービス及び非石油産業の欠如が深刻であり、特に地方部における治安の安定化や統治機構の整備が課題である。」と記載されている通り、R-ARCSS締結以降、首都ジュバにおいては治安面での改善や統治機構の整備が一定程度見られるものの、地方部において統治機構の整備は非常に遅れている。地方行政の幹部が地域の紛争に関与しているケースさえ見られる。

統治機構(地方行政)の脆弱さは治安の不安定さに影響し、多くの難民・避難民が帰還することのできない状況にもつながっている。南スーダン社会経済の安定のためには農業・牧畜業・漁業を中心とする地域経済の復興が肝要だが、そのためには地方での行政の健全化や社会インフラの整備が必要不可欠である。
従って、「3.重点分野」の(1)(2)(3)に記載された支援を、首都のみならず地方で展開することが非常に重要である。

しかし、「事業展開計画」を見ると支援は著しく首都ジュバに集中している。ナイル架橋、ジュバ河川港などの大型インフラをはじめ、水供給や廃棄物管理についても対象はジュバである。「人道危機対応能力プログラム」には国連機関経由で地方への支援があるものの、この項目でもっとも予算を割いている「NGOによる人道支援」についてはJPFのウェブサイトを見る限り事業対象地はジュバが中心である。

ジュバに偏重した支援を是正するため、「2.我が国のODAの基本方針」または「4.留意事項」に、事業対象地について地方を重視することを記載すべきではないか。

社会・経済的不均衡に影響されやすい国内避難民等への支援

「3. 重点分野」の「(3)包摂的な社会サービスの向上」には「特に、社会・経済的不均衡に影響されやすい難民、国内避難民、帰還民及び女性・若年層」を包摂すると記載されている、しかし「事業展開計画」を読むとに「人口が密集する首都圏を中心に」(協力プログラム概要)とされており、個別の案件を見ても首都圏(ジュバ)の一般住民を対象にしていると思われる。重点分野の設定と具体的な案件とに齟齬があるのではないか。

例えば国内避難民であれば、全国で合計200万人(UNOCHA)のうち、170万人は首都圏以外で生活している。前述のコメントと重なるが、この重点分野(3)を実施するためにも、地方部の国内避難民や帰還民及び女性・若年層を対象とする案件を増やすべきではないか。加えて、そうした案件を実施するために、NGOや国連機関を経由する支援をもっと拡大、活用すべきではないか。

安全基準(ジュバを除く全土レベル4)の見直し

上記のコメントで指摘した「地方部での案件」を実施するためには、当然ながら日本人の事業関係者が地方に出張する必要があるが、現在は外務省の海外安全情報で首都ジュバを除く南スーダン全土が「レベル4」であり、地方に出張できる状況になっていない。

現在の南スーダン地方部の治安状況は、前述のような不安定さはありつつも、州都や主要都市の中には一定程度安定した状況が続いている場所も多い。国連・NGOの外国人職員も多く地方に駐在している。現地大使館が地方の安全状況の調査を行い、順次安全レベルを引き下げることを検討すべきではないか。それを留意事項に記載することを提案したい。

以上

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