プレスリリース

プレスリリース:「日本の金融企業はミャンマー軍政を利する事業を終了させるべき」

ミャンマー軍による未遂クーデターから5年が経つ今も、大和総合研究所(大和総研)と日本取引所グループ(JPX)が、軍政を利する事業に関与し続けていることが問題となっています。

JVCと6つの団体は、大和総研とJPXが、国債取引の仲介や軍関連企業の上場を通じて軍政支配下の合弁事業に関与していることに懸念を表明します。2025年9月に両社へ質問状を提出しましたが、国際人権基準を尊重するとしながらも、実質的な回答は得られませんでした。日本政府と企業は、深刻な人権侵害を続けるミャンマー軍政の資金調達へ関わるべきではないと、私たちは追及を続けます。

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日本の金融企業はミャンマー軍政を利する事業を終了させるべき

2026年3月24日

アーユス仏教国際協力ネットワーク
アジア太平洋資料センター(PARC)
国際環境NGO FoE Japan
ジャスティス・フォー・ミャンマー
日本国際ボランティアセンター(JVC)
武器取引反対ネットワーク(NAJAT)
メコン・ウォッチ

ジャスティス・フォー・ミャンマー、メコン・ウォッチ、その他五つの日本の団体は、日本の金融企業である大和総合研究所(以下、「大和総研」)と日本取引所グループ(JPX)が、国債取引の仲介業務やミャンマー軍に関連する企業の上場など、ミャンマー軍政が支配し軍政を利する合弁事業に関与を続けていることについて懸念を表明します。

ミャンマー軍による未遂クーデターから5年が経ち、空爆や国際犯罪が増加するなか、大和総研とJPXは、制裁対象であり、ミャンマー軍関連企業とのつながりが証明されている事業体や企業の資金調達を可能にしている金融機関との関与を続けています。

2025年9月、私たち7団体は大和総研とJPXに対し、ミャンマーにおける事業についての懸念を伝え、未遂クーデター以降にミャンマーにおける活動に関連して人権デューデリジェンスを実施したか、またミャンマーにおける事業から資金を引き揚げる予定があるかなどを問う質問状を出しました。

大和総研とJPXはどちらも国際人権基準を尊重するとは表明したものの、私たち7団体からの質問に実質的な回答は示しませんでした。

軍政の資金源となる国債と株式

2日本はミャンマーの資本市場の計画、実施、そして運営において中心的な役割を果たしてきました。

ミャンマーの資本市場への支援は歴史的に、官民による包括的な「オールジャパン」の取り組みを通じて提供されてきました。この取り組みには、証券取引に関する法律や規制の起草、資本市場の監督機関の設立、また日本の政府や政府機関、また日本企業からの法的支援が含まれます。

大和総研のミャンマーでの活動の歴史は長く、この官民共同の取り組みにも深く関与してきました。

大和総研の当時の会長が初めてミャンマーに入ったのは、同国が以前の軍政下にあった1993年でした。大和総研は以前の軍事独裁体制と関係を築き、1996年に国営のミャンマー経済銀行(MEB)との合弁でミャンマー証券取引センター(MSEC)を開設しました。MSECは国債取引の仲介業務や株式の店頭販売を行っています。

2021年のミャンマー軍による未遂クーデター以降、カナダ政府が制裁を科しているMEBは軍政によって違法に支配されており、軍政が軍事調達のために外貨を獲得するのを可能にしています。
 
ミャンマーの人権状況に関する国連特別報告者は、金融機関は「ミャンマー経済銀行を含むミャンマーの国営銀行との金融関係をすべて停止または凍結」するべきだと明確に勧告しています。同報告者は、MEB以外の国営銀行に対する制裁が強化されるなか、軍事調達のための資金獲得においてMEBがきわめて重要な役割を果たしていることを強調しています。

2010年以降、MEBとMSECは政府証券のアンダーライターおよび販売代理業者に指名されています。ミャンマーでは、国債は軍政に違法に支配されている計画財務省の理財局から発行されています。一方でミャンマー中央銀行が国債の競売を行ない、国債の発行を管理しています。

MSECはこれらの国債の取引を通じて、いっさいの処罰を受けずに国際犯罪を犯している軍政のために資金を調達しています。

MSECはまた、制裁対象である事業体が投資家から資金を調達することを可能にするプラットフォームを提供しています。MSECに上場されていた企業の一つに、EUから制裁を科されている森林製品合弁会社(FPJV)があります。軍政に違法に支配されており、米国、EU、カナダ、イギリスから制裁を科されている国営のミャンマー木材公社(MTE)がFPJVの株式の一部を所有しています。FPJVの上場は、未遂クーデターから少なくとも一年後まではMSECのウェブサイトで確認できましたが、その後その情報は削除されています。

ヤンゴン証券取引所(YSX)は軍関連企業とつながりのある企業の資金調達を可能にしている

JPXは大和総研とMEBとの合弁により2015年にヤンゴン証券取引所(YSX)を開設しました。

YSXの開設への日本からの支援は本格的で、制度や規制の考案やシステムの基盤構築と開発、それに人的資源や運営面の支援が含まれていました。

これには、国際協力機構(JICA)が政府開発援助(ODA)事業として実施した、MSECと監督機関を対象とした研修事業のほか、ヤンゴン証券取引所(YSX)に新たに上場された企業のためのコンサルテーションサービスが含まれていました。

懸念すべきことに、YSXには発足当時から、軍関連企業と取引をしているものも含めたクローニー企業が上場されています。YSXに上場されているエバー・フロー・リバー・グループ(EFR)は、軍所有企業であるMEHLとの関係が証明されているクローニー企業です。

同じくYSXに上場されている First Myanmar Investment Public Co., Ltd. (FMI) は、ヨマ銀行を所有しています。ヨマ銀行が金融サービスを提供する軍の企業や事業のなかには通信会社のマイテルがあります。マイテルは、国際的な制裁の対象となっている別の軍所有企業、ミャンマー・エコノミック・コーポレーション(MEC)が一部を所有しています。

YSXはまた、Myanma Agricultural & General Development Public Co., Ltd(MADPL)を上場前企業の一覧に加えました。同社はマイテルに出資しています。

ミャンマーでこれまでどおりの関与を続けることで、JPXと大和総研は制裁対象である軍関連企業との関連が証明されている企業の株取引を行なう証券取引所に制度としての信頼性を与え、それらの企業が証券取引所を通じて資金を調達することを可能にし、MEBのイメージ浄化を行なっている。

メコン‧ウォッチ事務局⻑の木口由香は次のように述べました。「JPXと大和総研はどちらも人権基準を尊重していると述べるが、人権デューデリジェンスの結果や日本政府との協議内容を明らかにしておらず、人権を尊重しているという表明の信頼性が疑問視される。ODAを供与するなど積極的に関与してきた日本政府にも、説明責任や企業に人権保護を働きかける義務がある。日本政府と企業は、深刻な人権侵害を続けるミャンマー軍政の資金調達に、いかなる形でも関わるべきではない。」

ジャスティス‧フォー‧ミャンマーのヤダナーマウンは次のように述べました。「日本の企業が、軍政に利益をもたらす資金の獲得に依然として役割を果たしていることは容認できない。軍政は国の全域で空爆を激化させており、いっさいの処罰を受けずに国際犯罪を犯している。ミャンマーの資本市場の発展に中心的役割を果たしてきた日本は、今こそ軍政への資金の流れや金融セクターにおける支援を止めるべきである。日本の企業は、国際的な人権基準や指針のもとで負う責任を果たすために、直ちに行動をとるべきである。」

2025年9月18日付で市民社会団体から送られた質問状はこちら

大和総研
JPX

2025年10月15日付の大和総研と日本取引所グループからの回答はこちら
大和総研
JPX

【本件に関するお問合せ】

メコン・ウォッチ
木口由香  
Mail:contact@mekongwatch.org


ジャスティス・フォー・ミャンマー
ヤダナーマウン  
Mail:media@justiceformyanmar.org

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