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調査研究担当 高橋清貴
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政府開発援助(ODA)大綱改定に向けて提示された政府原案に対して、以下の修正を提案します。これら修正提案(文言修正ならびに削除提案)の受け入れの可否について、その理由を明記し、ホームページにて公開、公表され、今回のODA大綱改定のプロセスとして政府文書に記録されることを求めます。
- ODAの理念・目的は、「途上国の安定と繁栄」に貢献することで、もって「世界の平和と発展の確保」に資することである。
「我が国の安全と繁栄の確保に資する」などと安易な文言を書き込むべきではない。
ODA大綱はそれ自体で、外交上のインパクトを持つものであり、また国内外に向けての政治的意図を明らかにするものである。
近視眼的な観点から、ODAを単に経済活動や政治活動の一手段としてしか見ていない国内の一部の意見に阿るものであってはならない。高い理想を掲げつつ、それに向けて日本が努力することを対外的に謳い、また国内外に理解を求めていくことこそ、日本が国際社会で名誉ある地位を占め、また、日本国内でのODAに対する信頼を増すための最善・最短の道であることを認識すべきである。
【提案】
「T.理念、1.目的」のうち、冒頭文を次のように換え、以下のパラグラフをその趣旨を明確にするように加筆・削除・修正する。
”日本のODAの目的は、途上国の安定と繁栄に貢献し、これを通じて世界の平和と発展の確保に資することである。”
- ODAは「ミレニアム開発目標(MDGs)」や人間の安全保障などの実現に最大限の努力をすべきものである。また、その実施には途上国の自主性(オーナーシップ)を尊重すべきである。
21世紀を迎え、国際社会が合意した「マニフェスト」達成に大きく貢献することこそODAのあるべき理念に合致するが、改定案からはその明確な意思が見えてこない。
先日パリで行われたエイズ・結核・マラリアと闘う世界基金ドナー会議においても、日本政府は新規拠出を表明することなく、批判を浴びた。エイズ治療薬の国際価格を左右するWTO会議においても米国支持のための途上国工作にODAが使われたと伝えられる。
世界のGDPの14%を占める経済力第2位の日本の外交と援助あり方は、世界4200万人のエイズ感染者の生死と未来を左右するものであり、ODAはそのように病気に苦しむ人々の希望を支えるものでなければならない。
大綱は貴重な税金をそのような国際社会の課題に取り組む意思として明確に書かれるべきである。また、「戦略性」とは、そのための戦略を表すものである。
【提案】
以下の修正・削除を含む、「基本方針」、「重点課題」、「重点地域」の書き直しをする。
- 「基本方針」のうち、「(1)開発途上国の自助努力支援」の第2段落を削除し、「また、住民主体の開発の推進を支援する」と入れる。
- 「基本方針」のうち、「(4)我が国の経験と知見の活用」を全削除
- 「基本方針」のうち、「(5)国際社会における協調と連携」のうち第2パラグラフを削除
- 「重点課題」のうち、「(2)持続的成長」を全削除
- 「重点地域」を、貧困撲滅等の目的に照らして、最貧国やアフリカ地域を重点とするよう修正
- 改定案では、「平和の構築」、“テロ”や紛争問題への取り組みが新しく書き込まれたが、国際社会の「平和」の貢献にどのように取り組むのか日本としてのビジョンや実施原則が明かにされていないので、以下の諸点に特別な配慮を求める。
国際社会の平和に向けて、紛争の要因に、特にその構造的要因に根本的に取り組む意味でODAが果たす役割は大きくないと考える。しかし、改定案では定義の定まっていない“テロ”を貧困問題と結びつけて言及する箇所があり、紛争問題のとらえ方が一面的である。裕福な一部の国家の政治的意図によって引き起こされる紛争や一部企業の規範なき行動によって拡大する軍備の問題もある。また、貧困そのものが紛争の原因なのではなく、貧富の格差という社会的差別状況が問題なのである。
すなわち国際平和には「援助する側」の姿勢として問われる課題が多く、安易に貧困問題と結びつけるような言及は、他国への無理解や不寛容が増長される懸念がある。また、それに伴って国軍や警察などの公権力強化をODAで行った場合、人権侵害を助長する恐れがある。
【提案】
- 「重点課題」の「(1)貧困削減」のうち、「また、国際社会におけるテロ等の不安定要因を取り除くためにも必要である」を削除
- 「U.援助実施の原則」の(3)のうち、文頭の「テロや大量破壊兵器の拡散を防止するなど」を削除
- 「重点課題」の「(4)平和の構築」の第一文を次のように書き換える。
”国際社会から武力紛争を根本的になくすために、軍縮や武器輸出のコントロール、国連など国際機関の強化などの活動と整合性を図りつつ、開発途上地域における紛争を予防するためにODAを活用する。”
- 拘束力のない大綱の「原則」が恣意的に運用されることによる危険性を避けるために、運用上の実施原則を明らかにし、また透明性、説明責任を高めるために必要な関連政策や制度を整える。
恣意的運用の危険性には3つある。ひとつは、「原則」があったとしても、ドナー側の事情によって判断基準や運用上の姿勢が十分な説明がないままに変わること。二つめに制裁の発動によってもたされる女性や子ども、病人など最も脆弱な人々が被害を受けることへの配慮が欠けること。三つめは、それらの結果としてODAないし日本の外交姿勢全体に対する不信感を招くことである。この問題を避けるために、大綱見直しに合わせて、以下のことを行う。
【提案】
- 大綱運用の実施基準を設け、公開するとともに、運用の結果をODA白書などで説明する。
- 制裁の発動(あるいは解除)によって最も被害を受ける人々への適切な対応を確保するために、「ODAはもっとも脆弱な人々を支援するものである」という理念原則を定めた基本法を制定する。
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