JVCのポリシー
行動規準
JVCは、各国現場で活動する際の姿勢を規定するものとして、以下のような行動規準を設けています。活動を立案する際だけでなく、普段の活動でのスタッフの振る舞いにおいてもこうしたことを常に心がけるよう努めています。
行動規準1「地域独自の知恵と多様な文化」
- 地域独自の知恵と多様な文化を軽視しない。優越意識から生じる見下した態度は、人々の尊厳を踏みにじることである。地域の人々と関わるとき、地域独自の知恵、異なる文化に敬意を払い、学ぶ姿勢を持つことを基本とする。
- 地域独自の知恵を学び、再評価することは、そこに潜んでいる可能性を見つけることであり、地域の人々を勇気づけることである。同時に、それは学ぶ側をも豊かにする。これを踏まえて、人々との間に共感に基づく信頼関係を築くと同時に、地域の知恵を地域づくりに積極的に生かしていく。
- 一方で、地域独自の知恵と文化は、その地域の固有の風土、歴史の中から長い時間をかけて形成されたものであり、時代の変化と共に変容する可能性もある。ある時代に適切であっても、状況が変わったときには必ずしも適切でないこともあるという限界を考慮する必要がある。
- 外部から持ち込まれる考え方ややり方については、基本的にその地域の人々の取捨選択に任せるべきである。こちらから価値観や意見を示す場合、人々に受け入れられ易く継続性を持つことができるように、地域の知恵・文化を尊重し、それにつながる形で行なうべきである。また、強制、誘惑などの「圧力」がない状態で提示されなければならない。
行動規準2「自然環境の保全と在来資源の地域利用」
- 自然環境の保全とは、人間も含めた生命活動の多様性と循環性を守ることである。在来資源とは、この循環の中から生み出される、再生利用可能な資源である。この基本概念を活動の初期の段階で地域の人々と共有する。
- 在来資源の地域利用を基礎とする人々の生産活動及び生活にとって、自然環境の保全が不可欠である。自然の循環系を破壊せず、その再生復元可能な範囲内で利用することの重要性を人々と共有し、その具体的方法を共に考える。
- 自然環境に直接関係する農業においては、農薬など循環の中で分解されない毒物や、化学肥料など効果が持続せず土壌の疲弊を招く物質を循環系に入れず、森林破壊や大規模単一作など循環を分断する行為を避ける。農業の生産性の向上については、多様性と循環性から生み出されるものを基礎として、将来にわたって安定的な在り方を目指す。
- 在来資源を管理・利用する権利は、それを生活のよりどころしてきた人々にある。また、自然環境破壊の影響を直接受けるのもその地域の人々である。外からの力による資源搾取を防ぎ、人々とともに公正な分配の仕組みを作るよう努力する。
行動規準3「活動への人々の主体的な参加」
- 地域に暮らす人々こそが、地域の問題点や可能性をもっともよく理解できる立場にあり、また、活動の結果の良い部分も悪い部分も引き受ける人々である。したがって、活動のあらゆる段階において、人々が主体となるアプローチをとるべきである。
- 活動を始めるにあたっては、地域の人々の切実なニーズを出発点とし、その人々自身が、問題の根本的な原因を深く理解できるようにする。
- 地域の人々が、問題の解決方法の選択や立案を自ら行なえるような方法をとる。
- 人々が解決策を選択するにあたり、可能な選択肢やそれぞれの長所短所等の情報を十分に持てるようにする。
- 人々が、持てる範囲で最大限の知恵、時間、労働力、資金・資材などを出す形で活動を進める。
- 社会的弱者、最も困難な状況にある人々、活動による影響を受ける人々の参加が、排除されないようにする。
行動規準4「人々の持つ多様な可能性の開発」
- 人々がよりよい地域づくりを行なうためには、人々が十分に力を発揮できることが大切である。従って、モノ・カネばかりでなく、人々が自らの潜在的な力に気づき、発揮できるような支援を行なう。
- 一人一人の潜在力が引き出されると同時に、人々が互いに協力し合って地域の開発の力となっていくようにする。
- 地域にある知恵や技術が世代を越えて伝わるようにする。
- 人々の多様な可能性の開発と気づきをたすけるために、同じような状況に置かれた人々との学びあいの場を積極的に提供する。
行動規準5「依存を生まない対等なパートナーシップ」
- 活動地における人々との関係を対等なパートナーシップとして認識し、十分な話し合いを通して互いの考え方を共有する。それに基づいて活動目標を設定し、計画・立案を行なうと同時に、互いの責任分担を明確にする。
- 地域の人々がJVCや地域外部への依存を高めてしまうことがないよう、活動の全過程において、モノ、カネなどの投入が人々の持続的に扱える範囲を越えることがないようにする。特に活動の初期の段階においては、上記の点に最大限の注意を払う。
- 必要以上に長い関わりによって依存関係を助長することがないよう、活動の計画時点から達成目標と終了のあり方を明確にしておく。
- 活動の実施に際しては、JVCが関わりを終えた後も地域の人々による活動の持続性が保たれるよう配慮し、特に外部からの様々な影響や圧力に対して自立を確保できるようなシステムをつくる。
行動規準6「女性と男性の対等な参画」
- 調査・計画から実施・評価に至るまで、女性と男性が対等に参画するよう配慮する。
- 特に調査段階では、女性の意見を聞き、計画にその視点が生かされるよう努める。
- 計画立案における意思決定の過程に女性が男性と対等に、また、主体的に参画できるようにする。
- 女性のおかれた社会的、文化的、経済的状況を踏まえ、女性の負担が軽減されるよう配慮する。
- 女性と男性が、自らのおかれた状況や問題および可能性に気づき、協力して、それぞれの社会的参画や、生活者としての自立に向けて行動変革できるような支援をする。