REPORT

避難民の子ども達等を達対象とした補習校運営や学用品の支援

2011年に発生した紛争の際に戦闘地域からカドグリに逃れた避難民たちは、親戚や知り合いを頼って市内や周辺の半農村地帯で生活を始めました。 JVCは、こうした人々に緊急食料支援を実施した後、彼らが自らの手で食べ物を得ることができるような農業や生計活動の支援に、活動の軸足を移しました。

2013年度からは避難民の居住区を中心に井戸掘削などの給水設備の支援も開始しました。 2014年度から2015年度にかけては避難民の再定住支援として、再定住用住居100戸の建設、トイレ設置支援などを実施しました。

2016年度からは、女性と子ども支援に重点をおいて活動を行っています。 避難民の子どもたちの多くは出生登録をしていないため、学校に通ったり、医療費の免除を受けたりすることに困難が生じます。 JVCは、避難民及び地域住民の児童が出生を登録できるよう、手続きを手伝ったり費用を支援したりしました。 また、多くの小学校で教室が不足しているため、より多くの児童が学校に通えるよう校舎の増設や改修を実施しています。

2016年に政府・反政府側の双方が「自主停戦」を宣言してからは、情勢は安定をみせています。 こうした中、カドグリ郡に隣接するリフ・アシャギ郡などでは、避難していた人々の帰還がみられるようになりました。 しかし、帰還先の給水施設や学校等のインフラは破壊されるなどしており、安心した暮らしを送ることが難しい状況です。

2021年度活動報告

現地の情勢

スーダンでは2019年の軍事独裁政権崩壊後に発足した暫定政権下で、ポジティブな社会変化がある一方、経済状況はむしろ悪化し、市民の不満は募っていました 。そうした中、2021年10月、軍部が文民の首相、閣僚などを拘束し、再び権力を掌握。JVCが活動する南コルドファン州を拠点とする反政府組織と政府の和平交渉も後退しました。

民族・政治的な分断は終わらず、反政府支配地域では学校・井戸などの基本的社会インフラが脆弱で困難な生活のため、政府地域に避難する人が後を絶たない状況です。JVCは両地域で、分断を越え安心して暮らせる社会を目指して活動を行いました。

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2021年10月の軍部による権力掌握に抗議する市民たち。現在も抗議活動・治安部隊による弾圧は継続してい る(スーダン 首都ハルツーム)

活動概要

反政府地域から避難民の流入が続く集落を中心に補習校を運営し、各教科の授業、課外活動、心理ケアを実施しました。 同時に、正規校に編入した児童が就学を継続できる環境を築くために、行政・学校・保護者の連携を強化する取り組みを進めました。また、10代後半以上の就業機会が限られた若者に対し、溶接、三輪自動車整備、縫製、食品加工の4職種の職業訓練を実施し、町工場での実地研修や社会人としてのラ イフスキル研修も行いました。 

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(職業訓練にて三輪自動車整備に参加した訓練生たち)

活動地で生まれた変化

補習校を修了した291名の児童全員が正規校に編入しま した。毎月のモニタリングでは95% 以上が継続して正規校で勉強を続けています。

職業訓練では 93名が修了し、半数 以上が町工場や公社に就職するほか、個人で生計を立ててい ます。「仕事に就けずずっと暇なのも苦しい」と言っていた若者が、今では培った実力を発揮し、自分の手で未来を切り開いています。 

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(職業訓練の実技試験を受ける縫製の訓練生)

活動地のストーリー

 家計の事情で小学校を中退しましたが、溶接の職業 訓練に参加して、知識を身につけ、技術も上達し、今ではさまざまなものを作れます。仕事を通じて多様な人々と巡り合い、刺激を受けています。配属された工場のオーナーに推薦してもらい、水道公社の正規職員として働くチャンスをもらいました。大きな組織で仕事をすればより高度な技術を得られるので、とても楽しみにしています!

(職業訓練・溶接の訓練生ハーリドさん・16歳)

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戦闘勃発から一年 スーダンの現地の声を聞く