
コミュニティを中心とした教育へのアクセス・環境改善事業
スーダンでは国軍(SAF)と即応支援部隊(RSF)との軍事衝突が2023年4月に勃発し、3年以上が経過しました。現在もスーダン各地で戦闘と暴力は継続しており、とりわけダルフール地方・コルドファン地方等では激しい戦闘と住民への直接的暴力が続いています。2026年初頭時点で、約1,180万人が国内外で避難を余儀なくされていますが、ハルツームなど一部地域では避難民の帰還が始まっています。
特に子どもたちは脆弱な立場に置かれ、子どもたちの教育状況も深刻です。長引く紛争、経済の不安定化、そして広範な人道的課題により、全国で約800万人、スーダンの子ども1,700万人のほぼ半数が学校に通えていません。特に紛争影響地域では状況が深刻で、UNICEFと教育クラスターによれば、約2,000校が避難民の避難所として使用されており、2025年10月時点で再開した学校は全体の54%(1万500校)にとどまっています。
再開した学校であっても、学習環境は依然として厳しい状況にあります。国内避難民の流入により教室は過密化し、教材は不足しており、多くの教師が紛争地を離れるか給与未払いで離職しているため、人員不足が続いています。トイレや給水設備などの基礎インフラの破損も衛生環境を悪化させ、特に女子の通学に影響を与えています。

瓦礫の山が残るハルツーム市内。人々の帰還は始まっているが、復興はまだまだ追いついていない

至るところに略奪された車が放置されている
ハルツーム州では、2025年3月に国軍が地域を再び掌握したものの、それ以前の約2年間にわたり戦闘の前線となっていた影響が依然として残っています。この期間、多くの市民が避難を余儀なくされ、都市部の人口の約半数が移動したとされています。その結果、学校施設は十分に維持管理されず、多くの学校で設備の老朽化や損傷が放置されています。2025年9月時点で、ハルツーム州では、以前の約3,796校のうち1,830校が再開されたとUNICEFにより報告されています。しかし一方で、約280校以上の学校が砲撃、空爆、ドローン攻撃、略奪行為などの被害を受けており、修復が必要であることも報告されています。避難した住民の帰還が進む中、教育環境の整備と教育の機会を失っていた子どもの復学が急務とされています。

砲撃の被害を受けた学校

学校の壁に残る銃弾の跡

壊れたままの机(写真左)と学校のトイレ(写真右)
そこでJVCはUNICEF(国際連合児童基金)と協働し、学習環境の整備および就学促進のための地域連携の活動を実施しています。
この活動を通し、子どもたちに安全で適した学びの場とアクセスを提供し、教育の継続を通じて地域社会の再建や平和構築への貢献が期待されます。さらに、教師や地域への啓発を通じて、長期的に持続可能な教育環境の整備が可能となります。
| プロジェクト名 | コミュニティを中心とした教育へのアクセス・環境改善事業 |
|---|---|
| 活動地 | スーダン・ハルツーム州 |
| 期間 | 2026年1月~ |
| 協働 | UNICEF(国際連合児童基金) |
(1)学習環境の整備と就学促進
対象校45校各学校に必要とされる教室、トイレ、給水設備などの修復を行い、子どもたちが安全で衛生的な環境で学べるよう学習環境を整備します。また、教員や地域住民を対象に啓発活動を行い、就学率の向上を目指します。
(2)教員研修
教育と教員の質の向上を目的として、対象校の教員90名を対象に、学習法、児童保護、心理社会的支援などをテーマとした教員研修を実施します。
(3)児童クラブの設置
各対象校において、若者主導の児童クラブを設置し、ライフスキル教育や心理社会的支援活動を実施します。
(4)基礎計算力向上のための算数パイロット事業
対象校の対象学年において、JICAが開発した算数教材を活用した基礎計算力向上のパイロット事業を実施します。この事業を通し、今後の教育支援における基礎学力向上プログラムの展開可能性を検討します。