活動の現場からREPORT
一時帰国通信➁～現地スタッフが「行きたい」といった場所
こんにちは。カンボジアから大村です。前回のブログ、10月の一時帰国報告の続きです。
この一時帰国は、途中から約1週間、現地スタッフのMr.Rithが出張して来ていました。Mr.Rithは勤務暦25年のベテランスタッフ（ドライバー兼試験農場補佐）で、初めての海外。フライトは緊張して一睡もできないまま（！）日本に到着、約1週間、全国各地をともにめぐりました。
（さすがドライバーさん、常に運転手さんの運転を見ていました。「日本の交通ルールは素晴らしい」とのこと）
Rithさんの希望、「日本のために何かしたい」
Rithさんが日本に到着してすぐ、私たちが向かったのは広島でした。Rithさんは夏頃から、「平成30年7月豪雨」の被災地をいつも気にしていました。
詳細は外部ブログ「西日本豪雨を受けて、カンボジアの皆から」にも書きましたが、当時、村を歩くたびに「日本は大丈夫なの？」と声をかけられ、毎日、多くの方が日本を案じてくれていました。Rithさんはいつも「日本にはお世話になってばかり。できることなら手伝いに行きたい」と言っていたので、この日本滞在中に、広島県呉市での土砂運びのボランティアをすることにしたのです。
Rithさんの得意分野は力仕事。また、カンボジアも水害の多い国で、Rithさんは本当に様々な自然災害の経験を持っています。当日の作業は、お庭が土砂で埋まってしまっているお宅の土砂運び。泥をかき、袋に入れ、「ネコ」と呼ばれる一輪車で決まった場所に運ぶ、その繰り返しです。
案の定、Rithさんは大活躍！圧倒的に泥の扱い、機具の扱いに慣れていました。強くて丁寧。周りの方と協力しながら、どんどん作業を進めます。
周囲の方も、Rithさんがカンボジアから来ていることや、どうして今回参加しているかを聞いて応援してくださり、そのあたたかさに私も感動してしまいました。
（作業後、長靴の泥を洗う。カンボジアから長靴を持ってきてくれていた・・・！）
夕方、作業を終えて受付センターに戻り、帰宅の準備をしているとRithさんの周りに何やら人だかりが。何かと思えば一緒に作業をした皆さんで、「来てくれてありがとう」「外国から手伝いに来てくれたことを忘れないよ」「カンボジアに行く時は連絡する」などなど、優しい言葉にあふれていました。
（再会の約束をして握手を）
（お世話になった皆さんと）
広島、長崎で戦争に触れて
広島での空き時間は、広島平和記念資料館へ。また、一時帰国中には長崎にも伺う機会があり、長崎では長崎原爆資料館へ。Rithさんは母国で「ポル・ポト時代」を経験しており、ご両親やご兄弟は亡くなり、自身も6歳で強制労働に従事していた過去があります。それでも、「日本の戦争の歴史を知りたい」と、両施設の見学を希望しました。
（数字の意味を伝えたところ、ずっと、眺めていました）
(広島でも長崎でも、長い間黙祷をしていました)
日本は希望？
両施設を見学後、Rithさんが言っていたのは、「日本は希望だ」ということ。
「原爆が落とされた後の光景は、自分が経験したポル・ポト時代の後によく似ている。でも、日本はそれをここまで立て直している。キレイな街並み、遵守される交通ルール、メイドインジャパンの技術力、どれもが自分たちの希望である」と言います。
私はこれを聞いて、「外から見たら、そう思う部分があるのか・・・」と、ちょっとハッとしてしまいました。
支援者の皆さんに直に会う
Rithさんは今回の出張で、多くのカンボジア事業支援者の方に、直に会うことができました。勤務暦25年のRithさん、特に株式会社童話館への訪問では、現代表のお父様である先代がカンボジアに視察に来る際には、いつも運転手をしていたこともあり、喜びもひとしおだったようです。
（現代表が子どもの頃から知っているRithさん。カンボジアの伝統布をプレゼント！）
(各所での報告会)
（切手収集を通して事業を応援してくれているボランティアチームのお手伝い）
（JVC代表交代イベントにも参加。多くのOBOGにも再会することができました）
（いつもどこでも人気者）
カンボジアでの日本出張報告会
日本出張を終えたリツは、カンボジアで他のスタッフに向けて、出張報告を行いました。よくあることなのですが、途中で停電してしまったため、プロジェクターではなくパソコン画面の写真を見ながら報告しています。
支援者の方との詳細なやりとりなどはここでは割愛しますが、
■とにかく美しい。ゴミが落ちていない。
■電車やバスが時刻どおりに来る。皆が異常に足早に歩いている。
■皆が交通ルールを守っている。ルール違反をする人がいない。
■戦後復興の姿として、ひとつの希望のかたちである。
「日本」という国について、Rithさんが強調していたポイントは、上の4つです。一緒に日本を周ることで私も色々と学ぶところがあり、大変貴重な機会となりました。
「滞在中お世話になった皆様、そしていつもカンボジアを支えてくださっている皆様、本当にありがとうございます」というRithさんの伝言を記して、今回の報告を終えようと思います。ありがとうございました！
（様々な想いを胸に）
JVCのことをまだ知らない、あまり知らない方はまずはこちらをご覧ください。
