
広報担当:広瀬哲子
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取材映像に見るイラクの人々
〜北部モスルの映像を中心に〜
「開戦以来のイラク人死者数は15万人以上」「500万人が避難」・・・。万単位の数字や、宗派というまとまりで報道されることが多いイラク。その大きな数字の中に、一人一人の悲しみや表情、物語がある。10月17日に行われた勉強会「取材映像に見るイラクの人々」では、ジャーナリストの玉本英子さんが取材した映像を通して、イラクを生きる個々の人間に近づくことができた。
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| ■ジャーナリスト集団「アジアプレス」の一員である玉本さん。これまで何度もイラクを訪れ、武装勢力へのインタビューも行ってきたジャーナリストだ。 |
今回まず上映されたのは、今年4月にイラク北部のモスルでイラク軍に同行取材した映像。迷彩服を着て、ヘルメットをかぶる玉本さんの姿に、イラクが戦場であることを改めて実感させられる。その瞬間、車の目の前で仕掛け爆弾が爆発する。「エイコ大丈夫か?!」「俺たちを狙っていたんだ」武装勢力がアメリカの仲間と見るイラク軍を狙うことは日常茶飯事だ。特にモスルはバグダッドなどから流れてきた武装勢力が集まり、今イラクの中で最も危険な地の一つとされている。
モスルの女子中学校にカメラは入る。ここには男性の軍人がついて来ない。数十人の生徒とのしばしの会話の後、玉本さんは質問する。「この中で、身内が殺された人はいますか?」その問いに半分以上の少女が手を挙げた。「父が殺されました」「警察官をしていた兄が」「中学の友だちが」・・・。日本のテレビニュース用に映像は短く編集されていたが、実際には彼女たちは一人一人、それぞれの死にまつわる長いエピソードを話していたそうだ。
バグダッドやモスルから逃げる人々が多く集まるのが、イラク北部のクルド自治区だ。親戚がいる人はそこに逃げ込み、家がない人はレンガを積み上げて小屋を作り、身を寄せ合って暮らしている。ガタガタのレンガの家の映像が痛々しい。警察官である家族のもとに脅迫状が届けられ、夜中に逃げてきた家族。「仲がいい友達にさよならを言えなかった」と小学生の子どもは話す。死や怪我だけではない、心の傷を多くの人たちが抱えている。
会の最後に玉本さんはこう話した。「バグダッドが少しは安定してきたのは事実だと思う。でもこの理由は、皆が疲れて戦うのを控え出したということ。同じイラク人同士で殺しあう状況に疲れ、もう怒りすら感じられないという状況。ここまで彼らを追い込んだのは、アメリカでもあり日本でもあり、それだけでなく国際社会だと思う。(ある街が落ちついたように見えても混乱は)他の場所に広がり、見えなくなる。ジャーナリストも行かない、誰も報道しない、それでも人が殺されているという状況を危惧しています」
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| ■勉強会会場の様子 |
イラク戦争の開戦から今年までに15万人以上が死亡し、その大半が民間人だとWHOは発表している。「この戦争は高貴な戦いだ。正義のための戦いだ」そう語るブッシュ大統領の映像が虚しい。玉本さんが命がけで取材したイラクの姿をどう受け止め、どう行動するか。厳しい問いが突きつけられた勉強会だった。
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