『ヒット商品のデザイン戦略を解剖する』を読みました

この『ヒット商品のデザイン戦略を解剖する』という本は、10のヒット商品(ソフトバンクモバイル、ゼロハリバートン、今治タオルプロジェクト、理研ビタミン ノンオイルスーパードレッシングセレクティシリーズ、東京スマートドライバープロジェクト、R25、明治製菓100%ChocorateCafe.、HONDA フィット、ドトールコーヒー プレミアムビーンズセレクション、キリンビール スパークリングホップ)の裏にある、ブランド構築やデザインの裏づけ、広報のやり方などを、実際に関わった人たちが実名で当時のことを語る、といった形でまとめられたものです。本屋のデザイン関連の棚で見つけ、自団体のブランドを表現するための参考になれば、と思って読みました。

この本のあとがきは、以下のように始まります。

物が売れない時代といわれる中でも、必ずヒットする商品があります。

世に溢れるたくさんの物の中から、なぜ多くの人がその商品を選んだのか。その大きな理由はパッと見の魅力、デザインの力だという仮説から、本書の制作はスタートしています。

以前読んだ『誰のためのデザインか?』は、どちらかというとデザイン自体が論理的に破綻しないように構成するにはどこに注意すべきか、を説明した本だったのに対して、この本は、デザイン自体が「商品がヒットした」という事実とどういった関係にあったのかを説明することで、ビジネス全体のなかでデザインが果たす役割を考えようとしています。

それぞれの商品の章では、最初に内容をまとめる大見出しがあって、次に以下の内容に沿って話が進みます。

  • 商品が企画された背景
  • デザイン戦略立案のプロセス
  • ヒットの裏側に隠されたもの
  • さらにヒットを加速するために

上のそれぞれの内容に対しても見出しも立てられています。いまや3大携帯電話キャリアのひとつになったソフトバンクモバイルの例では、最初の大見出しが

10年かかるブランディングをたった1年で決着させる方法: 極めて単純。「ど真ん中」な表現で超・短期間に永続的なブランドを築き上げる。

というもの。続く各見出しは、

商品が企画された背景 競合を超えるブランドイメージを早急に立ち上げろ
デザイン戦略立案のプロセス 「分かりやすい表現」で存在感を瞬時に伝播させる
ヒットの裏側に隠されたもの オリジナルな価値だけが、ブランドを形作る
さらにヒットを加速させるために 経営者のビジョンを無限化し、定着させる

といった具合です。これは、キャメロン・ディアスやブラッド・ピットが歩きながら携帯電話で話している、あのブランディングの話ですね。

他にもさまざまな事例があるなかで、「そうそう、そうだよなぁ」と思った見出しをあげておきます。

ゼロハリバートン デザイン戦略立案のプロセス:
ブランドが秘める「物語」の上で、新たな世界を構築せよ
今治タオルプロジェクト 低迷する地場産業を復興させるブランディングの方法:
ブランドは、何かを付加して作るものではない。内なる本質を取り出して、磨き上げることだ。
理研ビタミン ノンオイルスーパードレッシングセレクティシリーズ さらに人気を加速するために:
消費者の視点で、絶えず「棚」を読む
東京スマートドライバープロジェクト 実体のないキャンペーンに確かな効果をもたらす方法:
説得ではなく、共感。コミュニケーションの力で、”気づき”のスイッチを入れる。
明治製菓 100%ChocorateCafe. デザイン戦略立案のプロセス:
空気を読むな。あるべき姿にとことんこだわれ。
HONDA フィット デザイン戦略立案のプロセス:
表層にとらわれるな。本質を革新せよ。
HONDA フィット さらに人気を加速させるために:
志を、骨太のメッセージに載せて訴える
キリンビール スパークリングホップ デザイン戦略立案のプロセス:
”球”を持って走る覚悟はあるか

もちろん、この見出しを見ただけで本の内容が正確にわかるわけではないので詳細はゆずるとして、要は「自分の中にある答えをいかに見つけるか。そしてそれを、適切なデザインに落とし込んで表現できるか(それが相手に共感されるか)」、というところでしょうか。

また、本文中で気になった部分をメモしておきます。「プレゼンは(デザインの)思考プロセスを説明するもの(今治タオルプロジェクト)=デザインの裏付けがある」、「客をホメる仕組み(東京スマートドライバープロジェクト)=客に気持ちよくなってもらう」、「知ったかぶりをしなくていい(R25)=客の役に立つ」、このあたりもデザインを考える上でのポイントですね。

さて、本書のあとがきは、最初に引用した部分のあとにこう続きます。

課題解決のための解答がデザインである。この思いは、インタビューを通じてますます明確になりました。目的が明確なデザインの強みは、その結果を見ても明らかです。

個人的には、もちろんデザインは大事ですが、もっと大事なのはそれより前の部分だな、とこの本を読んで思いました。そこをこそ、やらなくては。

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