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パレスチナ出張記【2】ガザ入域「カメラが持ち込めない?」編

広報担当 大村 真理子
2017年8月 3日 更新

パレスチナ出張記【1】イスラエル入国~エルサレム到着編のつづきです。

東エルサレムのホテルからの朝焼け。エルサレム、美しい場所です東エルサレムのホテルからの朝焼け。エルサレム、美しい場所です

カメラが持ち込めない?

昨夜(というか朝)4:00に宿に到着した堀さんと私。仮眠をとって朝7:00に、現地駐在員(当時。現在は帰国)の並木と合流し、ガザ地区に向かいます。と、ここでひとつ心配なことが。実は並木、本来であれば前日にガザ入りしている予定だったのですが、活動記録のためのカメラの持ち込みが、ガザ入域前のイスラエルの検問で拒否され、やむを得ず入域を断念、私たちと同日に再挑戦することとなったのです。これまで一度も、カメラの持ち込みを拒否されたことはありませんでした。

実は3月の下旬に、ガザ地区を実質統治する「ハマス」(後述)の幹部が何者かに殺害されるという事件があり、犯人がつかまっていなかったため、ありとあらゆるリスクを避けるためか、検問などのチェック体制が大変厳しくなっていました。私たちの入域日(4月20日)にもその状態が続いており、カメラは、「部品を軍事転用する恐れがある」という理由などから、イスラエルがガザ地区への持ち込みを懸念しており、並木のカメラはその対象になったというわけです。(パレスチナ自治区のガザに入るのに、すべてをイスラエルがコントロール。これまたいびつな構造・・・)

撮影に来たのに、カメラが持ち込めないかもしれないとは!イスラエルの建設した分離壁で完全に封鎖されているガザ地区への入域は、基本的に国連職員や、JVCのようにガザ地区で活動をするNGO職員やその関係者のみが許されており、更にはその条件に当てはまっていても、1カ月以上前からパスポートや経歴書、家族の名前や入域理由などをイスラエル政府とパレスチナ自治政府に提出し、それぞれから許可がおりて初めて叶うものです。情勢が非常に流動的であるため、常に「万が一」を頭に入れて動いてはいますが、それでもここまで来て「カメラが持ち込めないかも」となると少し気分が滅入ります。スマートフォンは規制の対象ではなさそうなので(前日、並木が入れなかった理由は"カメラ"だったので)、最悪スマートフォンでの撮影も視野に入れた準備を行い、車に乗り込みました。

「東エルサレム」からガザまでは車で1時間半。ガザ入域のための検問所は現在2つありますが、人間が通れるのは北側の「エレツ検問所」のみ。エレツを目指します「東エルサレム」からガザまでは車で1時間半。ガザ入域のための検問所は現在2つありますが、人間が通れるのは北側の「エレツ検問所」のみ。エレツを目指します
ガザ地区拡大。赤丸が「エレツ検問所」ガザ地区拡大。赤丸が「エレツ検問所」

ガザ地区とは?

ここで検問の話に入る前に、ガザ地区について少し、触れておきたいと思います。東京23区よりも面積が小さい(3分の2くらい)ガザ地区では、2007年以降、イスラエルによる封鎖がさらに厳しくなり、人や物資の移動が厳しく制限されています。中に住む人々は基本的に外に出ることができません。外から入る場合については、上述のとおりの手続きが必要です。人命の関わるような緊急時においても、この出入域に関するルールは基本的には変わりません。「カメラを持ち込めない」ことを大きな問題に感じない程に、とてつもない「理不尽」が目の前に横たわっています。

元々漁業が盛んだった地域ですが、現在は海もイスラエル海軍によって封鎖されており、6海里(約11km)以上沖に出ることすら、許されていません。陸路は分離壁で封鎖されており、空路は、1998年に空港ができたものの2001年にイスラエルによって破壊され、閉鎖されたままです。繰り返されるイスラエルからの空爆などによる軍事攻撃によって、経済は壊滅状態にあり、失業率は42%(若年層にいたっては60%)と、世界最低水準が続いています。電気は1日に2~4時間しか通っておらず、それもいつ通るかが分からない状態。国連による支援においても、必要資金が集まっておらず、人口約200万人のうちの約8割の人々が何らかの人道支援を必要としている状況が継続しています。

水平線で光っているのは、封鎖された6海里ギリギリで操業する船の明かりと思われます。きれいな風景なのに...水平線で光っているのは、封鎖された6海里ギリギリで操業する船の明かりと思われます。きれいな風景なのに...

ガザ地区は誰が管理している?

ガザ地区は「パレスチナ自治区」ですので、公式上は独立したパレスチナ自治政府の自治が認められています。が、これまで出張記【1】で書いてきたとおり、実質はイスラエルの占領下にあるため、人や物資の出入りのコントロールは、イスラエルが行っています。

公式上の自治政府は2006年から「ハマス」という政党です。しかしながらここもややこしい点なのですが、「ハマス」の前に政権をとっていた「ファタハ(故・アラファト議長が有名ですね)」からの政権移管がうまくいっておらず両者が対立しており、現在は「ハマス」が「ガザ地区」、「ファタハ」が「ヨルダン川西岸地区」を実効支配するようなかたちになっています。ただでさえイスラエルとの関係が大変なのに、パレスチナ自治区内で、さらに「仲間割れ」しているとは。本当に複雑な事情を抱えた地域です。

赤丸が「パレスチナ自治区」。まさかこの両者で実質の政府が違うとは・・・赤丸が「パレスチナ自治区」。まさかこの両者で実質の政府が違うとは・・・

「ハマス」は2006年、パレスチナ選挙で勝利したにも関わらず、国際社会からは「イスラエルの存在を認めないイスラム政党」=「テロリスト」扱いとなっており、実質孤立しています。よって他国との関係も不安定。ガザ地区南側に隣接するエジプトとの関係も悪化しているため、現在、エジプトとの境にある「ラファ検問所」が閉鎖されています。このような複雑な政治事情に巻き込まれているのが、ガザに住む約200万人の人々です。

まとめるとガザ地区は、実質イスラエルの管理下にありつつも、自治政府は「ハマス」ということになります。(このあたりを更に掘り下げたい方はこちらをどうぞ(クーリエ・ジャポン×JVC)

エレツ検問所到着

さて、車を走らせ、ガザ北部・エレツ検問所に到着。大きな看板が出迎えます。
「エレツ検問所へようこそ」。後ろに見えるのが、厳しいチェックが行われる検問所です「エレツ検問所へようこそ」。後ろに見えるのが、厳しいチェックが行われる検問所です

後編に続きます

・・・本当は今回の記事でガザ入域まで書きたかったのですが、背景を書いていたら予想以上に長くなったので、今回は一旦ここで終わりにします。どんなに分かりやすく書こうとしても、難しい!けれども、ここを省略するわけには、と思ってしっかり書いてみました。(はやくこんな複雑な説明がいらないような地域にしたいです)

(2分25秒くらいまでを本記事とあわせてご覧いただくと臨場感があると思います!)

次回、エレツ検問所~ガザ地区入域までをお伝えします。
<パレスチナ出張記【3】ガザ入域「壁の向こう側」編につづく>

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