2012年5月の記事一覧
カドグリから北に向かって真っすぐに伸びる幹線道路。首都ハルツームに向かう長距離バスもこの道を走ります。その道路沿い、カドグリの町から数キロの場所にムルタ集落が広がっています。

私たちが実施する農具と種子の支援は、前々回の「現地便り」でご紹介したハジェラナル地区とともに、このムルタ地区が対象となります。ここは、ハジェラナルのような住居の破壊などの被害は受けなかったものの、やはり昨年6月に戦闘が起きた時には住民は全員が避難。「数週間後に戻ってみたら、家の中は略奪されて空っぽだった」地区です。
前々回の「現地便り」でお知らせした南北スーダン、正確に言うなら「南スーダン」と「スーダン」との軍事衝突は、国境を越えてヘグリグ油田地帯を占拠した南スーダン軍が4月下旬に撤退をしました。
南スーダン政府は「自主的に撤退」と発表しましたが、スーダン政府側は「わが軍の大勝利」と宣言、その日、首都ハルツームはまるでお祭り騒ぎでした。道行くクルマはクラクションを鳴らし、スーダン国旗を掲げる人々が街頭に出て歓声を上げる、こんな光景を見るのは初めて・・ではなく、実はこの光景、地元のサッカーチームが大きな試合に勝った時と少し似ていました。しかし、戦争はサッカーの試合とはわけが違います。
ハジェラナル地区の様子
カドグリの町の西北、山裾に緑の帯が広がっています。マンゴー、レモン、グアバの木々。乾季にも枯れない井戸と、豊かな土壌。ハジェラナルは、そんな地域です。「でも、あの時の戦闘で、何もかも変わってしまいました」そう話してくれたのはこの地区の世話役のひとり、アブドラさんです。JVCは、ハジェラナル男子小学校への支援のあと、地区の状況をもっと知るためにアブドラさんを訪ねたのでした。「ここはカドグリの中でも最も大きな被害を受けた地区です。私の家も破壊されました」