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 カンボジア写真館
ソック・サバーイ76号
2007年5月発行
目次

2007年カンボジア地方評議会選挙
生態系に配慮した農業による生活改善プロジェクト 始動!
カンボジアボランティアチーム2006年度会計報告
2007年カンボジア地方評議会選挙

カンボジア市民フォーラム/上智大学大学院 山田 裕史

4月3日の共同記者会見の様子
(右から2人目がカンボジア市民フォー
ラム共同代表世話人の田坂興亜氏)

 カンボジアでは4月1日、2002年に続いて内戦後2度目となる地方評議会選挙が実施されました。同選挙は、地方行政機構の末端にあたる全国1,621の行政村/地区(=コミューン)評議会の議員を比例代表制選挙によって選出するもので、各コミューンで第1党になった政党の名簿第1位の候補者がコミューン長に就任します。

 4月2日時点での非公式暫定結果によれば、フン・セン首相のカンボジア人民党が98.2%にあたる1,592選挙区で第1党となり圧勝。他方、野党サム・ランシー党は27選挙区、人民党と連立内閣を構成するフンシンペック党は2選挙区でコミューン長のポストを獲得しました。

カンボジア市民フォーラムによる選挙監視活動

 今回の選挙に際して、カンボジア市民フォーラムは10人の国際選挙監視員を派遣(JVCカンボジア事務所の米倉雪子さん、山ア勝さんも参加)し、カンボジアの選挙監視NGO「コムフレル」(カンボジアにおける自由・公正な選挙のための委員会)と協働して選挙監視活動を行ないました。具体的には、各政党による選挙運動のモニタリング、および、選挙管理運営機関や各政党、人権・選挙監視NGO、コミューン評議会などからの聞き取り調査、そして、1特別市・4州で投開票過程のモニタリングを行ないました。

 カンボジア市民フォーラムによる選挙監視活動は1998年以来、今回で5度目となります。カンボジアの人権・民主化問題に対する国際社会の関心が低下するなか、同国に対する最大援助国である日本からの国際選挙監視員の派遣は注目を集め、現地のテレビやラジオ、新聞でも大きく取り上げられました。

投票率の低下

投票所の外に掲示された選挙人名簿
の中から自分の名前を探す選挙人


 今回の選挙に関して特筆すべきは、投票率の大幅な低下です。今回の投票率は65%前後(約780万人の選挙人のうち、約250万人が未投票)になるとみられ、87.6%を記録した前回2002年地方評議会選挙と比べると、約20%も低下したことになります。ここで着目すべきは、未投票者のなかには「投票したくても投票できなかった人々」が相当数いるという点です。

 その要因として、投票の際に持参すべき身分証明証(IDカードやパスポートなど)に関する情報の不足、そして、選挙人名簿の記載内容に多くのミスがあったことが挙げられます。その結果、所定の身分証明証を持参せずに投票できなかったケース、また、身分証明証を持参しても、選挙人名簿への記載漏れや、身分証明証と選挙人名簿の記載内容(名前のスペル・ミスや性別、生年月日、住所といった個人情報に関する誤記)の相違を理由に投票を拒否されたというケースが各地で見られました。また、JVCカンボジア事務所のカンボジア人スタッフのように、所定の身分証明証を持って投票所へ行ったにもかかわらず、他の誰かが自分の名前で既に投票を済ませていて投票させてもらえなかった(!)というケースもありました。

2008年国民議会選挙へ向けて

 上記の選挙人名簿や選挙人への情報提供の問題のほかにも、人民党によるマス・メディアの統制(特にテレビ局は人民党が独占)や、票の買収、政治的理由による暴力や脅迫の問題など、まだ改善すべき点は多々あります。来年の夏には国民議会選挙が予定されており、今後、選挙人登録制度も含めた選挙制度改革の行方が注目されます。カンボジア市民フォーラムでは引き続きコムフレルなどカンボジアの人権・民主化NGOと連携しながら、2008年国民議会選挙に向けた提言活動を実施していきたいと思います。


生態系に配慮した農業による生活改善プロジェクト 始動!

カンボジア事業担当  鈴木 まり

サム・サオウさん
 ソック・サバーイ73号」でお伝えしたシェムリアップ県の調査活動地で、この4月より3年間のプロジェクトが始まりました。昨年6月から今年3月までの調査活動・農業研修(稲作改善、養鶏、家庭菜園など)を行ってきたチークリエン郡20村に加え、今年から同じく国道6号線のソトニコム郡、そしてポルポト派が投降する98年まで戦闘が続いたスバイルー郡で活動を開始します。昨年から研修や他県の農家との交流・視察研修に参加してきたチークリエンの村人たちが、今度新しく実践していく他郡の村人たちへも伝えていきます。

 サム・サオウさんは、8人兄弟の長男。スピエン・タナウト集合村トティア村村長の息子さんだ。JVCとCEDACの研修を受けて、昨年初めて幼苗一本植え(SRI)をやってみた。「どう植えるのですか」と聞くと「苗一本だけを、真っ直ぐ、間隔をあけて植える。植える前に堆肥を入れる」一本植えと2本植えるのと試した結果は、一本植えの方が分けつ数が多く一本の稲の茎が40本まで分かれた。他の農家へ田んぼの準備や植え方を伝えながら、トティア村の相互扶助活動として貯金グループを始めたところだそう。

ナイ・ソポーンさん
 ご近所のナイ・ソポーンさんは4人家族。夫はコンポン・クデイ郡の建設労働に乾季は月20日くらい行って、一日5000リエル(約150円)稼いでいる。家を建てるため200万リエル(約500ドル)を月利10%で高利貸しから借りて10年で返していく予定で、家も土地も担保に取られている。食べるコメを50kg白米で借りると200kg籾で返す。収穫するコメは返すために使って足りなくなるので、SRIで収穫量を増やしたいと話してくれた。ソポーンさんは小3まで学校に行ったが、31歳の夫は全く学校へ行けなかった。これから村の貯金グループに参加して、子どもたちの教育費としてお金を貯めて、9歳(小2)の女の子と6歳(小1)の男の子を中学校くらいは卒業させたい、と話してくれた。

稲の育成状況を見るJVCスタッフのキムリー 水の近くに小さな菜園スペース

ソン・ケオ村のクレアン・コーンさん (聞き手:カンボジア現地代表 米倉 雪子)

クレアン・コーンさん

 JVCとCEDACが、新活動調査地として2006年6月から関わってきたシェムリアップ県チークリエン郡コー・スロック・ルー集合村ソン・ケオ村のクレアン・コーンさんの話。村の全体会議で代表農民に選ばれ、農業研修を受け、他県の農家へ訪問研修し、いろいろな会議に出席してきた。

 「活動が始まって、本当にいろいろな事を学ぶ事ができて嬉しい。カボチャの栽培には、この前、シェムリアップの有機農産物展(注1)に行った時にコンポンスプー県から来た農家の人に教わったコンポスト(注2)を利用している。縦1m横1m深さ1mに掘って底に石を入れ、ココナツの皮、バナナの茎、パパイヤの茎、丘からもってきた土、砂を順に入れてから、普通の土を少し入れた。こうしてまずコンポスト作ってからカボチャを植えた。私の足元の水がめを土の中に埋めるやり方は、JVCスタッフのネアリーさんがインド研修(T&E258号参照)から戻って来て教えてくれた。水がめには小さい穴があって少しずつ水が土にしみ出る。乾季でも水遣りしなくて1週間もつ。草で土を覆っておけば土は乾かない」すでにコンポスト用の穴を3つ堀り、他の2つはまだコンポストを作っている最中だった。

 「自然農薬の作り方も、何を入れるか、どう作るか、この前シェムリアップで会ったプレイベンから来た農家に教わった。前はなかった家庭菜園の柵も自分で作った」材料の竹やヤシの葉茎は身近にある。「養鶏の柵は、遠くまで自分で行って集めた枝などで作った」
コンポスト 自然農薬

 「幼苗一本植え(SRI)は、この15mx27mの田んぼの半分を使ってやってみた。いつもの伝統的なやり方だと収穫は50kgほどだが、SRIだと90kgほどとれた(注3)。今度はSRIを増やすつもり」収穫後の稲田には、土を良くすべく豆を植えている。学んだ事は、すぐ実践、あまりにエネルギッシュなので、「今までも新しく知った良い事は、どんどん実践する方でしたか?1人でやってるの?夫は?」と聞いたところ「良いと思ったらやってみる。井戸を掘ってみた事もある。夫も私のやる事に協力的!」と答えが返ってきた。シェムリアップの有機農産物キャンペーンには、活発な有機農民リーダーが各地から集っていた。農民同士が会う場をNGOが設けた。農民と農民が出会い、自由な情報交換や交流がもたらすものは測り知れないとクレアン・コーンさんの話を聞いてあらためて実感した。

(注1)2006年12月にシェムリアップでCEDACが支援する農民自然ネットワーク(Farmer Nature Network:FNN) が行なった有機農産
    物販売キャンペーンと展示即売会。

(注2)家畜糞尿や農業廃棄物に空気を入れ、微生物の力で分解してから土に戻す堆肥。また、その堆肥化の技術のこと。

(注3)15mx27m(405平方メートル)の半分で90kgなので、1ha(1万平方メートル)当り約4.5tほど。


カンボジアボランティアチーム2006年度会計報告

 カンボジアチームでは、
JVCのカンボジアプロジェクトを支援するため、2つの基金を行っています。2006年度(200641日〜2007331日)は合計1375804円の寄付ができました。クラフトの購入や、使用済プリペイドカードや切手、外国コイン等の収集にご協力ありがとうございました。

イベント基金 日本円分 米ドル分
前期繰越 18,914円 187.05ドル
収入 クラフト売上 219,100円
両替 121.36ドル
受取利息 50円
収入+繰越部合計(a) 238,064円 308.41ドル
支出 クラフト購入 23,691円 247.41ドル
両替 15,000円
JVCへの寄付 168,800円
支出の部合計(b) 207,491円 247.41ドル
収支合計(a−b) 30,573円 61.00ドル
次期繰越 30,573円 61.00ドル

テレカ基金 (受取件数 882件)
換金額 未使用プリペイドカード 23   枚 10,525円
使用済みプリペイドカード 682,238   枚 444,828円
使用済み切手 176.45kg 249,487円
外国コイン 54.00kg 109,857円
外国紙幣 292,470円
その他 119,837円
換金額合計 1,227,004円
経費(受取の発送費等) 20,000円
収支合計 1,207,004円
JVCへの寄付 1,207,004円
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