| ソック・サバーイ67号 |
| 2005年9月発行 |
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目次
JVCカンボジア事務所 活動地干ばつ支援報告
2004年のカンボジアの干ばつ
鳥インフルエンザについて考える
編集後記 |
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| JVCカンボジア事務所 活動地干ばつ支援報告 |
東京事務所カンボジア事業担当 鈴木 まり
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2月から3月にかけて呼びかけた干ばつ支援へのご寄付が、総計2,132,990円となりました。当初の緊急アピールの目標額に達しましたので、すでに干ばつ支援指定寄付を終了し、支援を実施しました。暖かいサポートをありがとうございました。
追加の井戸の掘削を進めながら村人たちとの話し合いを重ね、本格的な雨季開始に先立って活動地2集合村の54村の全世帯を対象に、各世帯20kgの種籾支援を実施しました。種籾は、村の既存の助け合い活動(コメ銀行がある村はコメ銀行、ない村では牝牛銀行や女性の相互扶助グループがあればそのグループ)を通じて提供され、来期の収穫後に返済されるコメはコミュニティー活動に活用する計画を立てています。
配布するコメの品種については、まず村ごとに希望する品種を聞き、希望が挙がっている品種のうち、入手することが可能かどうかという点と、より多くの人々が希望しているかどうかという点を吟味しました。
当初、プノンペンのNGOや企業で種籾を支給できるところに打診したり、活動地近辺のコメ問屋とも交渉を進めてきましたが、活動地近隣のコメは全て不作でコメの品質が劣ることがわかりました。1世帯あたりわずか20kgの種籾なので、できる限りの努力をして良い品質の種籾を確保するべきでは、というスタッフの提案で、カンボジアの穀倉地帯であるバッタンバンのコメ倉を回ってみることになりました。
カンボジア正月明けの4月19日に、JVCカンボジア事務所SARDスタッフのナリン、ヴィラック、ネアリーの3名がバッタンバンへ1泊で出張し、緊急支援用の種籾を直接バッタンバンで買い付けられるかどうか可能性を調査。良質の種籾を確保することが可能であることが判明し、「マリッ」という品種の種籾をバッタンバンから買い付けることにしました。この品種は人々が希望した品種でもあり、村で既に作っている農家もいます。まっすぐ伸び、短期間で育つ品種です。発芽試験を行い種籾として耐えうる品質のものが、今回の配布に必要な60トン入手できることが確認できたので購入を決定して、4月25日から配布を開始しすでに終了。配布にあたっては、各村への配布予定家族分の種籾分配をモニタリングし、各戸が受け取るのを確認しました。各農家ではさっそく苗床作りを始めました。
例年だと5月の中旬には本格的な雨季に入り、苗床の準備が始まります。それから約1〜1ヵ月半程度にわたり苗を育てて、田植えとなります。田植えには、通常1世帯あたり50〜80kg程度の種籾を使いますが、JVCが支援する種籾は20kgと十分な量ではありません。そこで、種籾を節約してさらに収穫量を上げることができるように、農民の希望に応じて稲作栽培(幼苗一本植え)のトレーニングを実施しました。
7月に入って田植えを始める農家が見られるようになりましたが、昨年に続き今年も干ばつということも想定されます。その対策についてスタッフで話し合いながら、活動地内外の農家を訪問し、節水型の農法や耐乾性の樹木や野菜などについての調査も行っています。
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今年の雨季が始まる前にSARDフィールドワーカーのソチアットがまとめた、干ばつによる村の人々の暮らしと緊急支援準備時の報告です。(カンボジア・ボランティアチーム訳)
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| 2004年のカンボジアの干ばつ |
カンボジア事務所 SARD担当 チュアン・ソチアット |
おおよそ85%のカンボジアの人々は、その豊かな天然の雨によって農業を営んでいます。しかし、昨年は、雨季なのにカンダール、コンポン・スプー、タケオ、そしてプレイ・ヴェーンの4つの地域で強烈な干ばつに見舞われてしまいました。特にカンダール県オンスノール郡マカッ、トゥールプレッチ両集合村では、深刻な被害に見舞われました。766ヘクタールもの耕作地でほぼ100%、米の収穫ができず、またこれらの地域に住んでいる1,724家族のうち、約9割のものが2004年末までに食糧難に陥り、またほぼ全家族が2005年の耕作に必要な稲の種を、2005年の雨季を目前にして不足したままの状態になってしまっています。
この出来事は、こうした干ばつに見舞われた地域の、何人もの農業従事者が、彼らの家族を養うのに必要なお金や食料、その他生活必需品を確保するための収入をもとめて、家を捨て都市部へ出稼ぎに出てしまう事態を招きました。また多くの若者が、学業を途中であきらめて、彼らの家族を救うために日雇い労働やモデル、ウェイトレス、ホステスなどに身をやつして働くようになったり、村に残った若者も、ギャンブルに手を染めるようになったりしてしまいました。年若い主婦の間でも、仕事を求めてプノンペンに出て、日雇い労働をしたりメイドとなったり、また海外、例えばマレーシアや韓国へ出稼ぎにいくようになっています。そうでなければ、自分の子どもを親や夫に預けて、男たちと同じように、プノンペンで土木作業をする労働者になったり、バイク・タクシーの運転手、出稼ぎ労働者になって働く人もいます。
こうした、いわば幸せに事欠くような人々の家庭では、夫が妻や子どもと離れ離れになったり、子どもが親から同じようにばらばらに離れてしまったり、貧困がきっかけで家庭内暴力が起きるようになってしまっています。
何より干ばつは、長期間続くことによって村の共同のため池が干上がってしまい、人間の生活や、動物など生き物たちの生活にも水が原因となる様々な問題を招いてしまっています。ただ、水不足についての細かな問題は解決されてきてはいます。いくつかの農家では新しく井戸を掘り起こすのに十分な資金はあるし、NGOがきれいな水源の確保と保健教育を進めているし、政府も農業用水力システムの計画を検討しているからです。しかし政府や、NGOやそのほかの人々の惜しみない努力と支援があったとしても、いまだに農民たちのニーズを十分に充たしているかというと決してそうではありません。彼ら農民は、更に食料・稲の種・きれいな飲料水や農業のために必要な水源の確保などを、今年の雨季の農作業のために引き続き援助してもらえるように緊急援助を呼びかけ続けているのです。
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鳥インフルエンザについて考える
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カンボジア・ボランティアチーム 日達 平一郎 |
皆さんがカンボジアや東南アジアを旅するときに食べる食材に、焼き鳥やカレーなど、鶏肉を使った料理は多いと思います。ところがこの鶏肉、現在大変深刻な事態を招いています。あの「鳥インフルエンザ」です。
この病気は、1997年に香港で初の人間の集団感染と死亡者が出て以来、東南アジアの多くの国で、毎年死者や感染者が確認されています。
鳥インフルエンザは、ヒトのインフルエンザ・ウィルスとは別の、動物の感染症です。このうち感染した鳥が死亡したりする、特に強い病原性を示すものを「高病原性鳥インフルエンザ」と呼んでいます。東南アジアで現在死者を出したりしているのは「高病原性鳥インフルエンザ・ウィルス」が原因ですが、今年茨城県で確認されたのは「低病原性鳥インフルエンザ・ウィルス」とよばれ、感染力の低いものです。現在の高病原性鳥インフルエンザの人間への感染は、日常的あるいは密接な感染鳥への接触が原因と考えられています。
鳥インフルエンザが今最も恐れられているのは、動物の感染症なのにもかかわらず人間への感染が起き、高い致死率を持っていることです。また突然変異などで、ウィルスが人間同士の間で感染するようになった時、今日の発達した交通機関によっておきる世界的な流行も懸念されています。
カンボジアでの鳥インフルエンザですが、今年は4人の感染者がでて(2005年6月現在)感染者全員が死亡しています。感染者はいずれもベトナムとの国境に近い地域に限定されていますが、カンボジア国内での致死率は過去からの発症者を含めて、今のところほぼ100%です。ただ、カンボジアでは流行している状態ではなく、感染や発症した事例もきわめて限定的なため、必要以上に心配することはないようです。
但し、カンボジアは今年は大干ばつで、水不足からくる今後の衛生状態の悪化は大変懸念されています。カンボジア政府では、昨年に引き続いて死者が出ていることや、隣国での感染増加もあるので、近隣諸国の担当省庁やWHOなど国際機関と協力して、充分な監視と調査を行う体制を整えていく予定のようです。
鳥インフルエンザというと、東南アジアから帰ってくると「大丈夫?」などと軽く冗談に紛らわせてしまいがちですが、日本の食生活の中でも、鶏肉や卵は身近な食べ物ですから、今後の状況に注目したいところです。
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| 編集後記 |
先月、「愛・地球博」に行ってきました。長久手会場の「地球市民村」に出展している地雷廃絶日本キャンペーン(JCBL)が主催するトークショーで、地雷の被害者で現在、地雷廃絶運動に携わっているカンボジア人、トゥン・チャンナレットさんのお話を伺いました。チャンナレットさんのお話の中で特に印象的だったのは「地雷は全ての人の心の中にある」という言葉。人を妬んだり憎んだりする心が地雷なのだ、とチャンナレットさんはおっしゃっていました。地雷という恐ろしい兵器を生み出したのは人間です。そして、地雷をなくすことができるのは人間だけなのです。一人一人の力は小さいですが、多くの人が協力しあえば世界を動かす大きな力になると思います。地雷がこの地球からなくなる日が一日も早く来るように、チャンナレットさんのお話から学んだことをより多くの人に伝えていきたいです。(小辻) |